THE FLUTE 141号 Special Contents

エンタメミュージック〜映画編〜

さまざまなエンターテインメントの中で輝きを放つ音楽に注目し、3号連続企画としてお送りしている“エンタメミュージック”特集。第2弾の141号は「映画」とその音楽の魅力を紹介します。

まずは、2015年の年明けから音楽を楽しめる映画をピックアップ。さまざまなジャンルの音楽が映画に登場し、なくてはならない存在となっています。そんな中から、オススメ作品を掲載しています。
また、今号では1月末に公開されるオーケストラの映画「マエストロ!」を大きく取り上げました。
オーケストラをテーマにした物語はたくさんありますが、「マエストロ!」は特にフルートにスポットが当てられた作品。フルーティストにとっては見逃せない映画です。天才フルーティスト役のmiwaさんを
はじめ、個性と才気あふれる音楽家を演じた西田敏行さん、松坂桃李さんなどがスクリーンで見せた姿—そこに至るまでの道すじを、もうひとつの「マエストロ!」の物語としてお送りします!

そして、「マエストロ!」の大きなテーマでもある交響曲『運命』と『未完成』。この2つの曲について、フルートの聴きどころを含めて解説しています。知っているようで意外と知らない(?)2大シンフォニーの魅力を味わうことで、きっと映画もフルートライフも、もっともっと楽しくなること間違いなしです。

観たい・聴きたい! 2015年新春音楽映画

観たい・聴きたい! 2015年新春音楽映画

2015年1月から公開される、音楽に関連する映画をご紹介 します。
楽器が登場するもの、魅力的な歌声が聴けるもの……などなど、さまざまな音楽をストーリーとともに、ぜひスクリーンで楽しんでみてください。

>> 次のページで、2015年音楽映画情報をご紹介しています!

フルーティスト必見!オーケストラ映画『マエストロ!』

フルーティスト必見!オーケストラ映画『マエストロ!

映画『マエストロ!』は、オーケストラを描いたドラマの中でも、フルートがクローズアップされた作品。これが映画初出演となるミュージシャンのmiwaさんが、才能豊かな若きフルーティスト役に挑戦しているほか、映画やドラマで活躍中のモロ師岡さんもオーケストラのフルート奏者を演じています。
登場する奏者役のキャストたちはすべて楽器を特訓し、厳しい練習を経て撮影に臨んだというこの作品。フルーティスト役のお二人も、フルートは初体験。そこからどうやって奏者を演じるまでに至ったのか……など、ウラ話や撮影秘話を編集部が取材しました。

マエストロ!原作者インタビュー さそうあきら
マエストロ!原作者インタビュー さそうあきら

マエストロ!原作者インタビュー 漫画家さそうあきら

クラシック音楽やオーケストラに詳しい人をうならせ、詳しくない人も楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっている「マエストロ!」。原作は漫画ですが、舞台設定や世界観は楽器を演奏する人にとってもリアルで、音楽的な素養を感じさせます。謎の指揮者や天才アマチュアフルーティストといったキャラクターも、コミカルかつ魅力的。いったいどんな人が描いたのだろう……そんな思いを抱きつつ、原作者のさそうあきら氏へのインタビューを行ないました。

これだけは知っておきたい2大交響曲『運命』『未完成』

これだけは知っておきたい2大交響曲『運命』『未完成』

「マエストロ!」のテーマ曲ともいえる、ストーリーそのものへの関わりも深い2つの交響曲。誰でも一度はそのフレーズを聴いたことがある、クラシックの中では代表的なナンバーです。とはいえ、全曲通して聴く機会は案外少なかったり、曲の背景をよく知らないなど、あらためてちゃんと聴いたことがない人も多いのではないでしょうか。 ベートーヴェンの交響曲第5番、通称『運命』と、シューベルトの交響曲第7番『未完成』について、ここで簡単におさらいしませんか?
フルートオンラインでは誌面の内容を少しだけご紹介。もっと知りたい方はザ・フルート141号で!

交響曲第5番ハ短調作品67(『運命』) ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン 作曲』

「運命が扉を叩く音」

老若男女、『運命』と聞けば“ジャジャジャジャーン”……というくらい、ある意味、どんな唱歌や歌謡曲より知れ渡っている冒頭のフレーズ。でも、そもそも『運命』という題名はベートーヴェンがつけたわけではありません。弟子のシンドラーからの「先生、この出だしのメロディは何を表していますか?」という質問に、「それは運命が扉を叩く音だ」とベートーヴェンが答えたことから、このタイトルが付いたと言われています。
そして、実はこのフレーズ、『運命』以前の数々の作品でも使われています。『ピアノ・ソナタ第1番』を皮切りに『熱情』、『ヴァイオリン協奏曲』などで、よく似たモチーフや同音連打が登場するのです。ベートーヴェンは『運命』を作曲する以前からこのフレーズにこだわっていました。言うなれば『運命』は、彼の心の中で長い間鳴り続けていたモチーフの、集大成だったわけです。
『運命』が作曲されたのは、ベートーヴェンが難聴を自覚し始めた時期と重なります。音楽家でありながら、耳が聞こえなくなるという“運命”——「運命が扉を叩く音」は、ベートーヴェンにとっては不吉な予感でもあったのかもしれません。

交響曲第7番ロ短調D759『未完成』フランツ・ペーター・シューベルト  作曲

未完成ながら三大交響曲に

『未完成』という副題もまた、シューベルト本人が付けたわけではありません。書きかけのまま中断されたことから、後に名付けられたものです。しかし“未完成”とはいえ、シューベルトの交響曲の中で最もすぐれた作品であると評価され、ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』、ドヴォルザークの交響曲第9番『新世界』と並ぶ三大交響曲とも呼ばれているのがこの曲なのです。
シューベルトの後期の交響曲は、何度も番号が変更されてきました。『未完成』も第8番とされることがあり、少々混乱を招く原因にもなっていますが、これも未完成であることが理由の一つであるようです。

知れば10倍楽しめる!? フルートの聴きどころ『運命』&『未完成』

知れば10倍楽しめる!? フルートの聴きどころ『運命』&『未完成』

ここでは映画をもっと楽しく見るために、劇中で取り上げられた『運命』&『未完成』の解説と映画との関わりをご紹介します。ナビゲートしてくれるのは、映画でも楽器指導と演技指導を行なった榊原敬幸さんです。

なぜ『運命』&『未完成』なの?/意外と難しい『運命』/オーボエに敬意を/
時代や楽器で聴き比べも面白い!/「フルート、本気で楽しくなってきて……」

「マエストロ!」のウラのウラ:鼎談 佐々木理絵×小寺里奈×和田一樹

「マエストロ!」のウラのウラ:鼎談 佐々木理絵×小寺里奈×和田一樹

奏者役のキャストは、全員が所作や手元の吹き替えを使わずに乗り切ったこの作品。それだけに、撮影はハードなレッスンをこなしながら行なわれたといいます。映画の舞台ウラは、いったいどんなふうに進行していたのでしょうか——映画編の最後は、限られた期間で役者陣を“プロ奏者”にまで導いた指導者の方々にお話を伺いました。miwaさんとモロ師岡さんを指導したフルーティストの佐々木理絵さん、松坂桃李さんを指導したヴァイオリニストの小寺里奈さん、佐渡裕さんとともに西田敏行さんの指導を行なった和田一樹さんにご登場いただき、汗と涙とハーモニー溢れる(?)撮影秘話をお送りします。

 

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フルート奏者カバーストーリー