THE FLUTEオンライン記事:THE FLUTE 146号特集|テクニック別 エチュード活用法 アルペジオ編
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エチュード活用法 アルペジオ編

THE FLUTE 146号 Special Contents

アルテスやケーラーなど、初級〜中級程度のプレイヤーの皆さんによく使用される教則本を使い、テクニック別の練習法をレクチャーするこの企画。THE FLUTE 147号誌面の特集では、「タンギング」「音の跳躍」「アーティキュレーション」について4人の解説者に教えていただきました。
ここでは、WEB特別編として、誌面には掲載していないテクニック「アルペジオ」について、引き続き4人の方々に解説をしていただきます。

“アルペジオ編” 〜横山聡子〜

 ケーラーOp.33-1 №2より

アルペジオがたくさん出てくる曲は、比較的細かい音型が並んでいることが多いので、楽譜が真っ黒に見えて、早く吹かなくては……と焦ってしまいがちです。音と指の動きに気を取られて息の流れが止まり、スラーなのに音がゴツゴツ聞こえてしまう場合があります。そのような状態を避けるための練習方法をご提案します。

譜例:ケーラーOp.33-1 №2

16分音符=40くらいに設定し、一つ一つの音をロングトーンの練習をするように鳴らしてみてください。音と音の間が滑らかに繋がっていますか? 口を変化させることなく、息をまっすぐ出したまま指だけ動いているか、確認しましょう。その時に、フレーズを考えて強弱をつけられたらさらに良いですね。息が滑らかに流れているのを確認できたら、少しずつメトロノームのスピードを上げていきます。少しでも音がゴツゴツしてきてしまったら、またテンポを落として息の流れを確認するということを繰り返します。非常に体力のいる練習方法ですが、上手に演奏するためには繰り返すことが重要です。

横山聡子
横山聡子
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。フルートを、佐野悦郎、ローレント・コバーチの各氏に師事。第5回“万里の長城杯”国際音楽コンクール管楽器部門一般の部A第2位受賞。現在、フリーで演奏活動を行う傍ら、都内各地の音楽教室や、自身が主宰する埼玉県狭山市の横山フルート教室にてフルートを指導している。フルートカルテット「フィオーレ」、「トリオ・フルール」メンバー。
横山聡子ホームページ|http://satofl.com/
YouTube演奏公開中|https://www.youtube.com/TheSatofl

 

“アルペジオ編” 〜町井亜衣〜

 ケーラーOp.33-1 №2より

譜例:ケーラーOp.33-1 №2

技術的には、譜例のように高い音に上がってから下がるような場合、お腹の支えを使って息のスピードをあげて、また元の位置に戻します。下降形の時に、頭や楽器・姿勢も下に向けてしまいがちですが、そのようにすると音程も一緒に下がってしまいますし、音色も暗くなってしまいます。頭や姿勢の無駄な動きは最小限にするように心がけましょう。指・腕・肩の力も抜いて脱力し、確実にできるテンポからしっかりと音を出していく練習をします。音の跳躍の時と同様に、アンブシュアを柔軟にコントロールします。高い音に向かうときには、下あごを前に少し出しながらアパチュアを小さくして息の方向を変化させ、低い音に向かうときには息の方向は下向きで、楽器の中に息を入れていきますが、姿勢も一緒に下を向かないように気を付けます。

町井亜衣
町井亜衣
東京音楽大学音楽学部器楽科フルート専攻を首席で卒業後、サンモール音楽院(フランス)高等科及び最高課程を最高評価で修了。その後パリで音楽活動を行った後、ルガーノ音楽院(スイス)大学院課程を最高評価で修了。約9年間に亘るヨーロッパ生活を終え、昨年、デビュー10周年& 帰国 記念-のソロリサイタルが銀座・王子ホールで開催。「ハンガリー田園幻想曲~ドップラー作品集」、「テレマン12の無伴奏フルートのためのファンタジー/ソナタヘ短調」(トリム楽譜出版)が好評発売中の他、3 枚のCDをiTunes から世界配信中。
町井亜衣ホームページ|http://aimachii.com/

 

“アルペジオ編” 〜久保順〜

 アンデルセンOp.15 24の練習曲 No.1より

アンデルセン「24の練習曲」は、中級者には是非トライしてもらいたいエチュードの1つです。最初見た時は音の多さと長さに圧倒されるかもしれませんが、1段ずつ、1小節ずつゆっくり練習すれば、上級の曲を演奏する時に必要なテクニックとスタミナを身につけることができます。少しずつトライしてみましょう。

譜例:ケーラーOp.33-1 №2

① アルペジオを見つける
クラシック音楽は、すべてスケールとアルペジオでできていると言っても過言でないほど、決まってアルペジオは出てきます。基礎練習の大切な点は、どんな曲に当たっても技術的に準備ができていて、演奏が楽しめるようになっていること。今までのエチュードにもたくさんアルペジオは出てきましたが、ここではいろんな種類のアルペジオが混ざって出てきます。しかも必ず同じ形で出てくるわけではなく、分散されて「跳躍」になったり、3度や5度から始まるものもありますが、アルペジオが指に入っていたら、それ以外の難しい指回しさえ克服すれば、大丈夫!

② 音のバラつきは、ハンドポジションの直し場所
アルペジオの練習ですぐ気がつくのは、2つの音の間に他の音が混ざってしまうこと。そういう時は1音=60など、ゆっくりなテンポで、鏡を見ながら指がきちんと同じ高さと角度で、同時に動いているか確認してください。1小節を新たなエチュードにし、繰り返して練習するのも、有効な活用法です。

久保順
久保順
ジュリアード音楽院 、シンシナティ大学音楽院 、ニューヨーク大学音楽教育学部卒業 。ジュリアス・ベーカー、アラン・マリオン、レイモンド・ギオー、アンドラーシュ・アドリアン、 ロバート・ディックに師事 。国内外のコンクールに数多く入賞し、多方面のジャンルで活躍中 。SCOOP Recordsより新ユニット、フェイブルのCD2枚をリリース全国発売中。「フルートを始めよう!」YMM出版、著者。

 

“アルペジオ編” 〜池邊昇平〜

 ベルビギエ 18の練習曲 No.6より

分散和音とそこから派生する音の跳躍は、順次進行とは異なった魅力と難しさを含んだパッセージとして、頻繁に記される音型ではないでしょうか。

譜例:ケーラーOp.33-1 №2

冒頭から分散和音の音型が連なり、音型の変化、転調、和音の広がりを見ることができます。
音高や音型、指の動きなどによって質が変わらないように気をつけて演奏しましょう。息のスピード、角度(方向性)、歌口との距離感などの大きな変化が生じる可能性があります。音色や音程に悪影響のないよう、指のレガートにも気を配りましょう。

池邊昇平
池邊昇平
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学器楽科を卒業。第50回全日本学生音楽コンクール(高校の部)全国大会第1位。第3回びわ湖フルートコンクール入選。ソリストとして新星日本交響楽団、藝大フィル、神戸室内合奏団等と共演。フルートを岡本謙、三上明子、P.マイゼンの各氏に師事。ムラマツフルートレッスンセンター講師。ソロ、室内楽、オーケストラ等、幅広い分野で活動中。

 

4人の奏者からメッセージ
エチュードをもっと活用しよう、楽しもう!

次のページでは、今回エチュードの活用法を教えてくれた奏者の方々による練習についてのアドバイスを紹介します!

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