“すばらしい音色”のつくりかた 番外編
徹底練習! スケールとアルペジオ
フルートを演奏するうえでの基本のキともいえるのが、“良い音色で演奏する”ということ。本誌149号の特集「トレヴァー・ワイに教わる“すばらしい音色”のつくりかた」では、「トレヴァー・ワイ フルート教本」の内容を中心に、音づくりにシビアなこだわりを持ち続けてきたワイ氏ならではのレクチャーをQ&A形式で掲載しています。
本誌Q&Aでは、「トレヴァー・ワイ フルート教本」は1巻だけを買う人もとても多いと話していたワイ氏。1巻には“音”という副題が付き、音色の磨き方が音程と関連づけて書かれています。まさに“すばらしい音色のつくりかた”にあたる内容ではありますが、氏が「毎日いろんな練習を並行してやらないといけません」と語っていたことも、忘れないようにしたいところです。
そして……
「スケールとアルペジオにまさる練習はありません」
と繰り返し話していたことも、フルートを学ぶ人にとっては大事なポイントです。
そこで、ここではスケール、そしてアルペジオの練習のしかたをワイ氏がどのように解説しているか、「トレヴァー・ワイ フルート教本」からほんの一部ではありますが、紹介してみましょう。
『表現的音階と分散和音』(「トレヴァー・ワイ フルート教本」5巻 P11より)
表現的音階
この後、d-moll、B-dur、g-moll……と転調しながら、スケールが続いていきます。 ワイ氏はこの課題を「フルートを全音域にわたって美しい音で吹きこなすのに最も重要なものである」と解説しています。
表現的分散和音
表現的音階と同じように、この後、d-moll、B-dur、g-moll……と転調しながら同じパターンが続いていきます。この課題については、「オクターヴの間隔を確かめ、第3オクターヴの音程の問題の解決法を会得し、音程感覚と正しい音高(ピッチ)を聞きとり、さらには倚音(いおん)—不協和音とその解決—の働きを感じとることである」と解説がされています。
上記の練習法は、こちらに掲載されています。
トレヴァー・ワイ フルート教本第5巻 —— 呼吸法と音階練習(音楽之友社刊)
また、日々のエクササイズのための教本「Complete Daily Exercises for the Flute(日課練習大全)」にも、さまざまなスケールとアルペジオを用いた練習を掲載しています。
ノヴェロ社(ロンドン)刊。日本語版は出版されていない
「トレヴァー・ワイ フルート教本」は“フルートを始めて1年ほどの人や音楽大学の学生も含む、あらゆる年齢の奏者を対象としている”とあり、毎日続けるのを少々ハードに感じる人もいるかもしれません。そこで、もう少し易しく練習ができるのが「トレヴァー・ワイ 初級用フルート教本」です。さまざまな曲のフレーズを使いながらスケールやアルペジオの練習ができるという、楽しい教本です。上下巻とピアノ伴奏譜に分かれ、上下巻の中に出てきたフレーズの原曲を伴奏付きで演奏することもできるという、工夫が凝らされたつくりでもあります。
フルートを始めたばかりの子どもにも、ぴったりの教本かもしれません。
「スケールを毎日練習している人は?……していない人はお祈りでもしているのですか?」と、
厳しい指導が時折入るマスタークラス
巻頭インタビューから特集まで、トレヴァー・ワイ氏が“すばらしい音色”づくりについて教えてくれるTHE FLUTEvol.149は、こちらから
「トレヴァー・ワイ/フルートセミナー2015東京」より一部公開
取材協力:管楽器専門店ダク、トレヴァー・ワイ フルートセミナー実行委員会