THE FLUTE 156号 Special Contents

タンギング&フィンガリング レベル・テクニック別練習法

レベルにかかわらず、フルートを吹く人が突き当たる壁が、タンギングとフィンガリング。この二つをどんなふうに練習すればよいのか、プロのレクチャーで学べる特集です。
ここでは、THE FLUTE156号の誌面より、4人のプロ奏者からのアドバイスをダイジェストでお送りします。

“下ごしらえ”の意味を再確認!
基礎練習はどうして大事? ~好きな曲だけを吹いていたらダメ?~

段田尚子

基礎練習を料理にたとえると下ごしらえのようなもの、という段田さん。タンギングもフィンガリングも、とにかく上達のためには下ごしらえをしっかりすることが大切。とはいえ、続けるうちにその意義を意識しなくなってしまったり、つい曲の練習だけに終始してしまったり……ここであらためて、基礎練習の大切さについて、段田さんに聞いてみました。

♪基礎練習の大切さ♪

基礎練習は、料理に例えると下ごしらえのようなものでしょうか。料理の専門家でなくても、下ごしらえの良しあしで料理の出来が左右されるのは想像しやすいことと思います。私にとって基 礎練習は心身を整えて演奏に集中するための大切な過程です。

♪好きな曲だけを吹いてはいけない理由♪

誰にでも好きな曲があり、それを気持ちよく演奏したいと思うものですが、フルートは息を吹き込めば音が簡単に出る性質の楽器ではないことは周知のとおりです。 的確な音(音色)を出し表情豊かな演奏をするには、フルートを吹く上で必要な個々の運動能力(呼 吸・運指・発音・アンブシュア、etc…)の総点検と向上が欠かせません。それらを体系的に効率よく習得できるのが基礎練習です。
一方で、基礎練習が音楽と切り離されたものになっては本末転倒です。好きな曲のフレーズの流 れや音色のイメージを大切にしながら、基礎練習に励むと基礎練習はとても楽しくなり、充実した時間となります。

♪私が実践している基礎練習とは……♪

私は稀にみる不器用な人間で、思い描くフルートの美しい音で音楽を演奏することに常々苦労してきました。しかし、しつこさだけは取り柄。基礎練習に関しては先生に勧められたものだけでなく、楽器店で「これは効きそうだ!」と見つけた練習法などもいろいろ試してきました。
基礎練習はオーソドックスなものからまず入り、後に自分にあった基礎練習のメニューを作っていくことも大切なのではないかと考えます。私が取り組んでいる基礎練習の中から、いくつかご紹介します。

»»具体的な教則本を使用した基礎練習のメニューづくりについて、THE FLUTE156号誌面で段田さんがレクチャーしています。

段田尚子

段田尚子 Naoko Tanda
多感な時期を関西及びニューヨーク州で過ごす。上野学園大学器楽学科フルート科を卒業。野口龍氏に師事。 在学中、第4回日本フルートコンベンションコンクールアンサンブル部門金賞受賞。アメリカ合衆国アスペン音楽祭に奨学金を得て参加。桃華楽堂にて御前演奏。第 63回読売新人演奏会出演。イタリアのミラノ市立音楽院ポストディプロマコース修了。ラファエレ・トレヴィザーニ氏に師事。ウンブリア音楽祭など、イタリア各地でデュ オリサイタル、室内楽コンサートに出演。帰国後は演奏活動の傍ら、上野学園中学、高等学校及び大学にて後進の指導に力を注いでいるほか、銀座十字屋ハープ&フ ルートサロンの講師も務める。2015年には、イタリアフルート協会の招聘により、サレルノ大学で開催されたフルートセミナーFALAUT CAMPUSの講師を務めた。 2016年に角家道子氏とフルートデュオ・フリュートンズを結成。

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