THE FLUTEオンライン記事:
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丸田悠太 インタビュー

東京佼成ウインドオーケストラ フルート・ピッコロ奏者 丸田悠太 インタビュー

♪CD「丸田悠太 フルート・ピッコロリサイタル」リリース
♪全日本吹奏楽コンクール課題曲 練習&演奏アドバイス

 

この2月にリリースしたCD「丸田悠太 フルート・ピッコロリサイタル」について、THE FLUTE本誌158号でもピッコロで大曲を演奏するに至ったきっかけを語った丸田さん。FLUTE ONLINEのインタビューでは、ピッコロの練習法や、2017年全日本吹奏楽コンクール課題曲へのアドバイスも伺った。さまざまな学校などで吹奏楽の指導も行なっている丸田さんならではの、ポイントを押さえた内容は、フルートパート必見だ。
課題曲『スケルツァンド』と『マーチシャイニングロード』でこの夏出場する予定のあなたに、ぜひお読みいただきたい。

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CDに収録されている中でも、シューベルトの『「しぼめる花」の主題による序奏と変奏』などをピッコロで演奏したというのは、(ライブ収録された)コンサートを聴いた人たちからも驚きの声が上がったようですね。

丸田
シューベルトの『しぼめる花〜』にしても、モーツァルトの『ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第25番ト長調』にしても、とても難曲ですよね。『ピアノとヴァイオリンのためのソナタ』に至っては、ヴァイオリンで弾く前提で書かれているので、それをピッコロで自然に表現するのは自分としても難しかったです。

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ピッコロをピアノ伴奏のソロで演奏する場合、フルートとどんなところがいちばん違いますか?

丸田
奏法上はフルートもピッコロも変わらないので、基本的に取り組み方はどちらも一緒ですね。ただ、ピッコロはオクターブによって音色のキャラクターが全然違います。1オクターブ目は陰があってくすんだ感じ、2オクターブ目になると透明感が出てきて、3オクターブ目は華やかさが出てくる。特に1オクターブ目はとても特徴的で、だからこそラヴェルやマーラー、ショスタコーヴィッチなども、1オクターブ目のピッコロ向けにソロを書いたんだと思うんです。
そういう音域の特徴をつかんで、音色のバランスをとりながら演奏するのが、特にピッコロの場合に気をつけている点ですね。

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『しぼめる花~』をピッコロで演奏したのは、そういったピッコロの特徴を生かして表現したいという意図があったのですか?

丸田
そうですね。自分への挑戦でもありましたし。コンサートでは、『しぼめる花~』は当然フルートで演奏すると思ったら……!と驚かれたのですが(笑)、だからなおさらのこと、ピッコロでこの曲の表現力に挑戦したいという気持ちがありましたね。“この壁を超えてみたい”という。

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そんなふうにピッコロを吹きこなしたい!と憧れる人も多いと思いますが、ピッコロが上手になりたい人は、どんな練習をすればいいのでしょうか?

丸田
レッスンで行った先などでもしょっちゅう聞かれるんですが、「この練習をするとピッコロが上手になる」という方法は、はっきり言ってないと思います。奏法はまったくフルートと同じなので、フルートと同じ基礎練習とかエチュードとかをピッコロでそのままただやるだけ、というのが本当のところです。
フルートではできることがピッコロではできない、という人は、力加減が上手くできていないだけ。ツボの違いを意識して、あとはズレを埋める作業をするといいと思います。

 


2017年全日本吹奏楽コンクール課題曲へのアドバイス

課題曲『スケルツァンド』

♪曲全体について♪

まずは、軽快なニュアンスをしっかり作れるように注意することが大事です。この曲はテンポの速い部分が多く、スタッカートもたくさん出てきます。軽快さの表現として音を短くするだけの表現にならないように、音のリリース=終わりの瞬間のニュアンスの作り方により気をつけると、表現の幅がぐっと広がります。
どうしても音の始まりに意識が行きがちなのですが、むしろ終わりの形を意識すると、その場所に見合ったニュアンスを作ることができると思います。

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たとえばB の28小節目なども、多くの人がもしかしたら「タ~ラッ、タ~ラッ、タ~ラッ、タ~ラッ……」という感じでスタッカートふうに吹く可能性が高いと思いますが、そうしてしまうと、すごくカタいニュアンスになってしまいます。ここはすごくゆっくり吹いて練習してみましょう。そうすると、長すぎず短すぎないニュアンスが作れると思います。“自分の耳でよく聴いて”“確かめながら”練習することが大切です。
この曲は、クレッシェンドやデクレッシェンドなどもかなり細かく書き分けているので、まずはしっかり楽譜に準拠して演奏するのがいいと思います。そうすることで、曲のパーツが見えてくると思います。その後、バンド独自に、より音楽的に解釈や理解を深めていくといいでしょう。


近年のコンクールの傾向として、なるべく正攻法で(音楽を)作ることが求められている部分があると思います。ですから、大きく楽譜と違う表現とか、力で押し切るような演奏ではなく、楽譜に忠実な演奏を心がけましょう。
ですがそんな中でも、『スケルツァンド』は表現の幅が広い曲。たとえばスタッカートが1つのニュアンスにしても、より軽やかさを目指そうとか、ここはソステヌート気味にしようとか、表現の幅が許されている曲なので特色を出しやすいと思います。「ここはこういうふうにしよう」という明確なイメージをもって、ニュアンスづくりに励んでください。

●フルートパートの聞かせどころや難所は…

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B の32小節目、アウフタクトから始まるフレーズですが、マーチのような躍動感が要求されます。それに対して、続く33小節目、最後の3連符のアウフタクトからのところは曲の中でもいちばん最初にしっとりする部分で、音量も下がります。ここはできるだけ柔らかい表情を作るようにするといいでしょう。前後とのメリハリをつけたいところです。
C からはまた f に戻りますので、34〜37小節はなお歌うように表現できるといいですね。

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あとは、66〜67小節の極端な音量の変化なども出せるといいと思います。67小節のピッコロの音ですが、ここで音を出しているのはピッコロとタンバリンだけなんですね。それだけに、ここはとても重要なポイントとなる合いの手的な意味があるので、音のスピード感などをよく考えて吹いてください。


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それから、トリルの音間違いというのが、これまでレッスンをしていてよくありました。
たとえば、80小節目や82小節目などは、トリル音を間違えやすいです。80小節目ならレ♭とミ♭のトリルですが、レ♭とレのトリルにしてしまっていたり、82小節目ならレとミのトリルですが、レとミ♭にしてしまっていたりするパターンが実際にありました。
レッスンのコーチが入っている学校ならそんなミスはないと思いますが、そうでない学校は要注意かもしれません。こういう細かいところはパートに任されていたりすることもあるので、一度チェックしてみるといいかもしれませんね。
あとは、85小節目からの p のニュアンスはかなり難しいです。ここまでは f で突き進んできて、 senza rit. なので、そのままのテンポでいかないといけない。突然ろうそくが灯ったかのような p のニュアンスを一瞬で作らないといけないので、すごく難しいポイントです。ほかのパートとも合わせないといけないので、すごく自然なタンギングとイントネーション、息のかたちをつくるようにしましょう。音量が大きくならないようにすることも大切です。

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G の2拍目のピッコロもまた、67小節目と同じパターンで、グロッケンと一緒ですが管楽器ではこの動きをするのはピッコロだけになります。“ソロ”とは書いてないですが、ピッコロは実質的に一人で吹かないといけないところが出てくるので、心構えが必要ですね。

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