THE SAX 75号 連載<第4回>

Dr.Sawamuraの「ゼロから始めるアドリブ入門!」Lesson4

Sonic Solfa Music Method TM.(渋谷アクタスSelmer Japan 後援)
難しい音楽用語を一切使わずに自由にアドリブが出来る様に工夫 された、効率の高い新しい学習システム、Sonic Solfa Music Method TM.を確立した沢村満氏が、アドリブができずに悩んでいる読者に向けて送るアドリブ入門クリニックが、THE SAX71号よりスタート! 音楽のスタイルではなく、根本的に自分のアイデアで自由にアドリブができるように、この連載を通して沢村満氏がナビゲート! 本誌には演奏例も記載しているが、手順を覚えたら、見ないでやってみることが効果的だ。ここではモニター受講生の動画を中心に紹介しよう。

 

LESSON 4  自由にアドリブするための正攻法手順 
モニター受講生と一緒にやってみよう!
今回も3人のモニター受講生に、連載に沿って実際に体験してもらいました。このプログラムは「自由にアドリブできるための手順」を体感することが目的です。受講生は、それぞれの症状に応じながら処方を受け、手順を体感します。みなさんも自分の状況に照らし合わせて、動画を参考に手順を追ってみてください。手順を覚えたら、誌面の譜例や動画の音をなぞるのではなく、何も見ずに自力でやってみましょう。なお、今回も、sonic歴6年の下總さんにもご協力いただきました。
アドリブ入門モニター受講生
下總友貫
処方箋6
変化音「Di」「Te」
自分の心を変える音という意味で、前回より「変化音」が登場しました。引き続き、ドレミ読みを卒業して英語圏の音楽教育と同じ階名読み、DRMを使って体感していきしょう。

※ 変化音とは……自分の心を変化させる音という意味で、DRMFSLTD(ドレミファソラシド)から外れた音を、変化音といいます。自分の心は何を感じているのか? 誠実に自分の心に問う姿勢が大切になります。プレイヤーを目指すクリエイターにとって、人生経験の中でどの音が共鳴するか、その音でしか出せない自分の気持ちは? を感じることが大切なことになってきます。

(1)まずは、ドの音を変化させた変化音「ド#」=「Di」を加えて、音の変化を感じてみましょう。
■まずはこちら→|S F M R D〜|S F M R D〜|S F M R D〜|S F M R D〜|
■次にこちら→|S F M R Di〜|S F M R Di〜|S F M R Di〜|S F M R Di〜|
※「ド」=「D」と「ド♯」=「Di」のニュアンスの違いを感じ取りながら
カラオケ音源6inC
カラオケ音源6inB♭
カラオケ音源6inE♭
→ Dの音が半音上がるとどう感じますか?


(2)次に、シの音を変化させた変化音「シ♭」=「Te」を加えて、音の変化を感じてみましょう。
■まずはこちら→|S L T L S〜|S L T L S〜|S L T L S〜|S L T L S〜|
■次にこちら→|S L Te L S〜|S L Te L S〜|S L Te L S〜|S L Te L S〜|
※「シ」=「T」と「シ♭」=「Te」のニュアンスの違いを感じ取りながら
カラオケ音源7inC
カラオケ音源7inB♭
カラオケ音源7inE♭
→ Tの音が半音下がるとどう感じますか?


モニター受講生 &下總さん動画

大内さん(演奏歴8ヶ月)


米山さん(演奏歴10年)


富山さん(演奏歴50年)


下總さん(演奏歴17年)



Di Teを含むスケール

■手順A:スケール(練習用カラオケ⑧)
上記の基本スケールを踏まえて、前回(74号)の変化音「Le」に、今回の「Di」「Te」を加えた8小節の心のストーリーにチャレンジしてみましょう。

■手順B:ストップタイム(練習用カラオケ⑧)
スケール練習の最中に、速く吹きたい時は速く、遅く吹きたい時は遅く、また自分が止まりたいと思った時は、音をストップしてみます。先ほどの練習用カラオケ⑧を使って吹いてみましょう!

■手順C:枠はずし(練習用カラオケ⑧)
通常、スケールと言うとドからドまでを練習しますが、これを習慣にしてしまうと、ドから下へ、上のドから上へ、とっさに行きたい願望に駆られた時に指が動かない症状が出ます。ここでは、練習用カラオケ⑧を使って、ドからドの枠をはずして、箱の長さを気にせず夢中になって吹いてみましょう。ここまではスケールの範疇ですので、途中の音は飛ばさないように。「Le」と「L」のコントラストが感じられるように、メロディアスにスケールすることがポイントです。

■手順D:メロディ創作(練習用カラオケ⑧)
ストップタイムで唯一できなかったアピールは、音を飛ばすこと。今度は、音の横並びをやめて、音を飛ばして自分の個性を最大限アピールしてみましょう! スケール練習ではないので、始めて変化音「Le」の時間帯で「L」を負荷なくて良くなるわけです。言い換えれば、メロディ創作では変化音「Le」の時間帯で「L」は絶対に吹かないようにしましょう!「Le」「L」は近いところにいるので、隣合わせの音は、「Le」の気持ちの邪魔をしてしまうのです。 そこに気を配って、練習用カラオケ⑧を使って、自分なりのメロディを創作してみてください。

曖昧な吹き方は心に迷いを生みます。正確な一本線のスケールの答はどこからスタートしても一つです。これができて初めて自由に発想したままの形で吹くことができます。
手順は前号と同じ。どの音からでも、
スケール>ストップタイム>枠はずし>メロディ創作 ができるように練習しましょう!
※手順の詳細は前号(74号)をご覧ください。


処方箋6:モニター受講生動画

大内さん(演奏歴8ヶ月)


米山さん(演奏歴10年)


富山さん(演奏歴50年)

処方箋7
変化音「Fi」
ここで、新たに変化音を追加します。練習用カラオケ音源⑨を使って、変化音「Fi」=「ファ♯」を感じてみましょう。
■まずはこちら→|L S F L D〜|L S F L D〜|L S F L D〜|L S F L D〜|
■次にこちら→|L S Fi L D〜|L S Fi L D〜|L S Fi L D〜|L S Fi L D〜|
※「ファ」=「F」と「ファ♯」=「Fi」のニュアンスの違いを感じ取りながら
カラオケ音源8inC
カラオケ音源8inB
カラオケ音源8inE
→ Fの音が半音上がるとどう感じますか?


Di Teを含むスケール
次回までのホームワーク
変化音「Di」「Te」 「Fi」を新たに加えた16小節のストーリーです。
■前回(THE SAX 74号)で処方した変化音「Le」に、「Di」「Te」 「Fi」を新たに加えた16小節のストーリーです。 
WEB練習用カラオケ音源⑩を使って、スケール>ストップタイム>枠はずし>メロディ創作
の手順で練習しましょう。下總さんのお手本動画もご活用ください。
*カラオケはリピートしています
カラオケ音源10inC
カラオケ音源10inB
カラオケ音源10inE

変化音含む16小節

処方箋7(ホームワーク):モニター受講生 &下總さん動画

大内さん(演奏歴8ヶ月)


米山さん(演奏歴10年)


富山さん(演奏歴50年)


下總さん(演奏歴17年)
講師紹介  沢村満 

Profile 沢村満…………1975年タンパ・フロリダ州立Chamberlain高校卒業。1981年ボストン・バークリー音楽大学卒業。フィル・ウッズ、ジョー・アラード教授に師事。在学中に2年間理論補講クラスの講師を務める。在学中に結成したグループがランディ・ブレッカーに認められ、来日の際にランディ・ブレッカーの「Jazz Life」誌インタビューで紹介されたことをきっかけに、日本の音楽業界で活動を始める。その後、YMOリーダーの細野晴臣のために作成したデモテープが採用され本格的にレコーディング契約を結ぶ。また、坂本龍一や渡辺香津美などのツアーメンバーとしてサックスとキーボードを担当。さらにキリンビール、キャノン、日産自動車などのCM音楽を手がける。その後、パリコレクションの音楽担当などを経て、細野晴臣主宰の代々木アニメーション音楽学校の理論主任を務めるなかでSONIC SOLFA MUSIC METHOD TM. 登録商標を獲得。以降、メソッドはスキルや知識情報伝達に関しての合理的なシステム開発へと進む。現在、自己のソロアルバムをレコーディング中。

 

 

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