THE SAX vol.78 特集1

横田寛之＜NEW GENERATION アーティスト紹介＞

2016-08-05

中学校の吹奏楽部からサックスを始めた横田寛之氏。ジャズは多田誠司氏に師事していたという経歴も持つ横田氏の音色は、クラシックやビバップの伝統も踏まえており、正統派と言っても過言ではない。サックスの基礎が確かだからこそ、氏が傾倒しているダンスミュージックや実験的で柔軟な音楽も、聴くものを魅了するのだろう。現在、ETHNIC MINORITY、横田寛之カルテット「ゴウダヴ」の2バンドを中心に、精力的な活動を行なっている。
ここでは、本誌に載せきれなかったアンケート回答と、ライヴ・レポートを掲載しよう。

--どのようにサックスを学びましたか？
横田　楽器を始めた頃はずっと東京スカパラダイスオーケストラを、振り付けと一緒にコピーしてました。その後、フュージョンを通過してジャズにのめり込み、早稲田大学ハイソサエティオーケストラでジャズを学びました。学生時代は多田誠司さんに師事しました。

--プロになったきっかけは？
横田　明確なきっかけはありませんが、大学を卒業し少しした頃、マイクプライス氏のトラとして六本木の高級キャバクラのお仕事をいただき、演奏させていただきました。少し怖かったのですが、これが初めてのプロとしての仕事だったと思います。

--よくやる練習方法は？
横田　昔はたくさん練習しましたが、今は無駄な練習をしないように気をつけています。 pppのロングトーンはよくしています。また、重心コントロールのために、漫画バガボンドを読んだりしてイメージトレーニングをすることもあります。

使用楽器＆セッティング
楽器：American Selmer（#116236）
マウスピース：Meyer 5MM
リード：La Voz Medium
リガチャー：Selmer純正品

横田寛之 CD Information
「イレブン・ストーリーズ」横田寛之カルテット「ゴウダヴ」
【SDDR-1501】M581 RECOREDS
［演奏］
横田寛之(Sax)、堀秀彰(Pf)、安東昇(Bass)、横山和明(Ds)
［収録曲］
CMYK、明くる日に、ファラオマン、New Life、ガウディの夢、江國さんと雨、イ・ブルモンスター、A Drop Of Water、ギャルソンワンダーランド、空には月が浮かび、海には蒼きクジラが揺蕩う、I'm Sorry for Genius ～腸と天才とベートーベンに捧ぐ～

＜横田寛之 YouTubeチャンネルより『イ・ブルモンスター』＞

横田寛之 Live Report

■7/23(土) @高円寺コネクシオン
[出演] "ETHNIC MINORITY" 横田寛之(sax)、サトウヒロ(bass)、島野和樹(ds)

横田寛之氏の実験的な試みの場として定期的に行なっている、エスニック・マイノリティによる48回目となるイベント、“ノイズボッサ”が開催された。
会場は、高円寺駅南口からほど近い、カフェ＆バー「コネクシオン」。ビルの地下に降りていく階段途中で演奏が聞こえてきた。お店のドアを開けてすぐのところで演奏しているので、いきなりドラマーとご対面！という入場になった。店内奥にはバーカウンターと、オールスタンディング用にテーブルと椅子は端に積まれていた。広くない空間だからこそ、至近距離での演奏が楽しめる。

横田氏の周辺にはMAC、ミディコントローラー、エフェクターなどが配置されており、サックスを吹きながら、足でエフェクターを、手でミディコントローラーやMACを操作している。基本、テーマを吹いた後にアドリブに突入するのだが、本人の気が済むまでアドリブを展開し、ここぞというところでメンバーにキュー出し、ミディコントローラーを操作、次の展開へと音楽が進行するといった流れだ。ミディコントローラーからはコードが打ち出され、キーボードの役割を兼ねている。

ドラムとベースの強力なビートに乗って、横田氏のサックスソロが延々と繰り広げられる。時にパーカッシヴに、またある時はビバップ的に、音色や表現も豊かで、1時間半休憩なしのライブは飽きることなく、観客も体でビートを感じながら聴き入っていた。
会場は若い人が多いのだろうと思いきや、同年代の男女はもちろん、50代と思われる男性の姿も。終演後は、音楽に熱心なファンたちからの質問に丁寧に答えていた横田氏の姿が印象的だった。