THE SAX vol.79 Gear Report-1

「Senzo」の魅力に迫る!|中村均一

伝統的なクラシックのスタイルに留まらず、新しいサウンドへの探究心も人一倍強い、中村均一氏。
そんな氏の愛器であるビュッフェ・クランポン社の「Senzo」に、新たに「金めっき」仕様が発売された。THE SAX79号では、中村氏がビュッフェ・クランポンのサックスを選んだ理由、そして現在氏が使用しているモデルと「Senzo 金めっき」モデルを吹き比べていただき、それぞれの魅力について訊いた。ここでは、その一部を紹介しよう。


噂の “Senzo”「金めっき」とは?

─ご愛用中の“Senzo”から、「金めっき」仕様が発売されましたね。実際に試奏されて、いかがでしたか?
中村 今使っている「銅めっき」はソフトな音で繊細な表現ができる反面、アーティキュレーションで音を立てるために強めの息で支えを作ったりするのですが、その点「金めっき」は、吹いた瞬間すぐに「ポーン」と音が立ち上がってくれる。音質は、「銅めっき」に比べると若干タイトに感じますが、管体は銅でできているので、まろやかで柔らかい音色も出せます。ダイナミクスのレンジも素晴らしい。大きい音も鳴るけど、小さい音で抑えて吹いても、しっかりと響いてくれるんです。

─キィの仕様などは、いかがでしょうか?
中村 キィにも「金めっき」が施されていますが、それ以外は今僕が使っているモデルと同じ仕様です。左手のパームキィとスパチュラ・テーブルの仕様が“Senzo”の特徴で、これは本当によく研究されていますね。 “Senzo”のパームキィはネジ式になっていて、簡単にそのネジをクルクルっと回して、自分の手のサイズに合った高さに調整できるんです。 そして、スパチュラ・テーブルは何が凄いかというと、独自の仕様によって正しい指のストロークが身に付くことなんですね。B♭キィは面積が大きいので、間違ったところに指を置いてしまう人が多く、やりにくさが倍増するんです。その点“Senzo”のスパチュラ・テーブルは、正しい位置に小指を誘導できる仕組みになっている。これは“S1”の時代から受け継がれている仕様ですね。

─「金めっき」は、どんなジャンルに向いていると思いますか?
中村 オーケストラはもちろん、音の立ち上がりが良いので、色んなジャンルの音楽に適応できるのではないかと思います。 僕は今、“Clops”というグループでポップスのプレイヤーさんたちとも一緒に吹いているのですが、そういった所でも「金めっき」を吹いてみたいですね。

 

Profile
中村均一(なかむらきんいち)
鳥取県生まれ。1983年東京芸術大学を卒業。1982年アルモ・サクソフォーン・クァルテットを結成。1986年第21回民音室内楽コンクール(現東京国際音楽コンクール室内楽)でサクソフォーンとして初の1位。日本フィル、札幌交響楽団などオケ奏者としてのほか、クァルテットやソロ、アンサンブルなどCDリリース多数。8人編成の吹奏楽アンサンブル「マジカル・サウンズ」をはじめ、管楽アンサンブル「シュパース」、ポップスとクラシックのコラボ「Clops」に参加するなど、新しいサウンド作りにも積極的に取り組んでいる。サクソフォーンを宗貞啓二、冨岡和男、大室勇一の各氏に師事。1999〜2010年、東京芸術大学講師。現在、日大芸術学部音楽科および尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。ドルチェ講師。ビュッフェ・クランポン・ジャパン契約講師(専属アーティスト)。

 

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