Interview for Future

田尻大喜

田尻大喜

これから音楽の道に進もうとしている人たちへ向けて、いま活躍している人に話を訊くコーナー。
今回は幅広い活躍が話題の熊本生まれケニア育ちの“トランペットプレイヤー田尻大喜”にインタビュー。彼は学生時代に入っていた吹奏楽部で音楽に対する向き合い方を見つけ、のちに「人のため」に演奏することの大切さを体感する。

 
――
田尻さんの楽器との出会いを教えてください。
田尻
小学5年生の時に、父親の仕事の都合でアフリカのケニアにある日本人学校に通うことになりました。ケニアでは室内で過ごすことが多かったので、部屋でできる何かを始めたいと思い、父親が元々クラリネットをやっていたこともあって、楽器を始めることになりました。確か自分からトランペットをやりたいと言い出した記憶がありますね。
――
中学3年生の途中から日本に帰国してきたようですが、その後楽器は?
田尻
帰国後は通っていた中学校の吹奏楽部に入り、その年のコンクールにも出場。当時ケニア帰りの俺にとっては普通だったんですが、携帯電話を学校に持っていってしまい、先生を激怒させてしまいました。結果、コンクール前なのに部活一時停止。部活の仲間にもひどく怒られました……。
でも無事コンクール本番も迎えられたし、楽器だけは吹けたのでソロなんかも吹かせてもらいましたね。
高校でも吹奏楽部に入りました。ただ部活の掟が厳しかったせいか、25人いた同級生も3年時には3人に……。部員は減ってしまいましたが、最後まで残っていた数少ない仲間は今でもライブに来てくれたりする、心からの友だちとなりました。吹奏楽部に入っていなかったら彼らに出会っていなかったわけだし、入っていてよかったなぁと思います。
――
演奏することを職業にしていく中で、大切にしていることはありますか?
田尻
上京してからは、現場経験も人脈作りも「すべては自分のため」でした。その考え方が変わったのが東北で演奏をしたある日のこと。目の前で演奏する俺を見ながら笑顔でボロボロ泣いていたおばちゃんの顔がすごく印象的で、終わった後に「あなたが今日演奏してくれたから明日生きていける」と言われ、その日以来「自分のためでなく誰かのために音楽をしていきたい」と強く思うようになりました。その出来事は忘れないように今でも大切にしていますし、活動の糧にもなっています。
譜面を一生懸命演奏するのも大事ですが、本当に大切なのはその先。伝えたいことを伝えられるかが一番重要だと思います。
――
以前より、熊本を想う活動「YELL PROJECT FOR KUMAMOTO」が話題を呼んでいます。内容を詳しく教えてください。
田尻大喜
田尻
2016年4月14日に故郷の熊本で震災が起こった直後、いてもたってもいられず、炊き出しや援助活動をしようと東京にいる仲間たちと熊本へ向かいました。熊本入りした後に震度7の本震が発生、自分たちも大きな地震を経験することになり、絶望的な状況を体感しました。何かできることはないかと思い母校の音楽室へ向かうと、端っこにあったはずのグランドピアノが教室のど真ん中に。途方に暮れながらピアノの椅子に座るとパッとメロディが浮かんできたんです。それが『YELL ~君と明日へと~』という曲なんですが、その曲を収録したCD を作り、売上金(一部渡航費を除く)を義援金として熊本に届けるという活動をしています。これは「YELL PROJECT FOR KUMAMOTO」というバンドで行なっていて、これからもずっと続けていきます。
用途は町おこしや音楽のイベント、大学の運営費に使ってもらっています。
――
田尻さん個人としては、今後はどのような活動をしていきたいですか?
田尻
たくさんの現場にもお邪魔し つつ、アーティスト「田尻大喜」を確立させていきたいという思いがあります。あとはYELL PROJECTはもちろん、たくさんの人に勇気や感動を届ける活動がしたいです。万人が聴きやすい音楽《イージーリスニング音楽》をもっとやっていきたいですね。夢はトランペット界の葉加瀬太郎さん! 言いすぎかな……(笑)。
田尻大喜
――
最後に、吹奏楽部で頑張っている人たちへメッセージをお願いします。
田尻
音楽じゃないとしても何かに打ち込んでいる時間は大切で、妥協しなければ絶対自分に返ってきます。あとは、楽しくやって仲間を大切にしようということですね。

Profile

田尻 大喜 T a i k i T a j i r i
熊本県生まれ。幼少期に育ったケニア共和国にて父の手ほどきを受けトランペットを始める。2012年東京音楽大学トランペット科を卒業、桃尻大喜として作曲活動も行なう。オーケストラ、吹奏楽の客演を務める他、アーティストのサポート、CM などのレコーディングに参加。

CHECK!

田尻大喜「Just Sing A Trumpet」

1stアルバム「Just Sing A Trumpet」¥2,500

あなたの心にそっと寄り添うイージーリスニングミュージック。全曲オリジナルで気取らない素直な音色がスッと耳に届く。

 
「YELL ~熊本に思いを込めて~」

「YELL ~熊本に思いを込めて~」¥2,000

熊本の復興を願う強い思いから生まれた。売上金が義援金として寄付される。

 

INFORMATION

1stアルバム「Just Sing A Trumpet」 のリリースを記念して、レコ発ライブが行なわれます。
詳しくはコチラをチェック!

▶ライブ案内◀
▶ご予約ページ◀

<前の記事
画像
Interview for Future
次の記事>
画像
Interview for Future

記事一覧 | Wind-i&mini
トピックス | レッスン | イベント | 人物 | 製品