THE SAX 73号 特集1

タンギングに強くなる!CLASSIC編

サックスの演奏に必要不可欠なタンギング。この基本的なテクニックにじっくり取り組んだこと、みなさんはありますか? タンギングの仕組みや練習法について、正直に言うとよくわからない……というあなたのために、THE SAX73号では、プロのプレイヤーに解説をお願いしました。
クラシックの分野に関しては、現代音楽に積極的に取り組み幅広いレパートリーをお持ちの大石将紀さんに教えてもらいましょう!

 


クラシック【初級編】大石将紀
基本は正しいアンブシュアと、アゴが動かないこと

大石将紀

ーー正しいタンギングをするために、気をつけることは?

大石:正しいアンブシュアで吹くことと、タンギングの時に顎が動かないことが基本です。そして、舌の動きをできるだけ少なくします。タンギングは、舌でリードの先端を触って音を切るので、その動きをできるだけ最小限にします。さらに、舌とリードの接する面もできるだけ最小限にする。点と点をイメージすることが大事です。これはタンギングの強さや音の切り方、ハッキリ切るか柔らかく切るかでも違ってくるので、タンギングの種類によって変えます。

 

ーー初心者が練習する時、どうやって始めたらいい?

大石:まず、舌のどの位置がリードに触れるかを見つけます。この位置は、人それぞれ違います。舌の長さや大きさが関係するので、先端の人もいるし少し中の人もいます。見つける方法は、まずマウスピースを咥えずに「フトゥ」と言います。次に「フトゥトゥッ」「フトゥトゥットゥッ」「フトゥトゥットゥットゥッ」と続けていきます。次に、声を出さずに息だけで同じことを言ってみます。「フトゥ」と言っている時、肺から出ている息の流れに舌をのせているので、力を抜いて舌を動かしている状態になります。最初から「フトゥットゥットゥッ」とやると力んでしまうので、最初は「フトゥッ」から。そこから、だんだん増やしていくのが大事なポイントです。 それが言えるようになったら、マウスピースを咥えて楽器を吹きながら音を出して「フトゥ」をやります。マウスピースなしの時、舌は歯の裏側を触っていますが、楽器をつけると舌はリードの先端に触るわけです。このとき大事なのが、息の流れを意識すること。弱い息だと舌が息の流れに上手く乗りません。力む必要はないけれど、ある程度息のスピードを出します。そして、「トゥ」と言っているときにリードに触れたところが、その人の一番ベストなタンギングのポイントになります。

 

ーータンギングのスピードを上げるには?

大石:たとえば16分音符でタンギングする時、最初から「トゥトゥトゥトゥ」と練習すると舌に力が入ってしまうので、やはり「フトゥトゥトゥ」と、最初は“フ”から始めるといいと思います。それから、音階スケールで練習することも効果的です。指と舌がずれないようにすることも、タンギングでは大事なことですから。実は、これが一番難しいです。スケールの練習には、メトロノームを必ず用います。テンポはすごくゆっくりから。自分が安定してタンギングできるスピードを確認して、必ずしも急いでテンポを上げないことが大事です。速度にこだわらず、じっくり練習していくことがコツですね。

 


プロフィール
大石将紀(おおいしまさのり)

1977年石川県生まれ。東京芸術大学、同大学大学院修了後、2001年渡仏。パリ国立高等音楽院、同大学院課程(室内楽科)終了。文化庁派遣芸術家海外研修員として研鑽を積む。在学中は現代音楽、若手作曲家の作品発表を精力的に行ない、フランス国内のコンクールで入賞を果たす。2008年に帰国し、東京オペラシティ文化財団主催「B→C」に出演。その後はリサイタル、音楽祭の出演、テレビ、ラジオ出演、TVCM録音など幅広く活動している。東邦音楽大学、同大学院非常勤講師、洗足学園音楽大学非常勤講師、東京芸術大学非常勤講師。サクソフォンをC.ドゥラングル、須川展也、平野公崇、彦坂眞一郎、冨岡和男、A.ボーンカンプの各氏、室内楽をL.ハダディー、中村圴一の各氏、即興演奏をA.サブレ、A.マルケアスの各氏に師事。
www.m-oishi.com

 


参考動画と合わせてご覧ください、より分かりやすいです

(次ページへ続く)
【初級編】
・なぜ「トゥ」ではなく「フトゥ」なの? 
・タンギングの練習に効果的なエチュードは?
【中上級編】
・ダブルタンギングのやりかたは?
・ダブルタンギングはどんな時に使う?
・トリプルタンギングを使うことはある?
・バリトンやソプラノではタンギングを変える?
・スラップタンギングってどうやるの?
・スラップタンギングのコツを掴む

 

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