THE SAX vol.91 秋の特別企画

サックス・アンサンブルで仲間とスキルを磨こう!《ソアルテ・サクソフォーン・アンサンブルに学ぶ》

さあ、芸術の秋! 暑さも和らぎ、じっくり練習に励んでいる方も多いことでしょう。 今回、サックス・アンサンブルにスポットを当てて、一人で練習するだけでは得られない、様々なお話を、結成20周年を迎えたサックス・カルテット、サキソフォビアと、結成3年目を迎えたソアルテ・サクソフォーン・アンサンブルのみなさんに聞きました。音楽仲間がいる方はもちろん、一人で練習している方にも新しい発見があることでしょう。さらにTHE SAX vol.91には、それぞれのグループの最新作より、スコアを掲載しました。ぜひチャレンジしてみてください。


 

Soalte Saxophone Ensemble ソアルテ・サクソフォーン・アンサンブル

同世代で組んだ、サクソフォーン・アンサンブル

――
最初に、結成の経緯を教えてください。
萱生
僕はもともとアンサンブルが大好きなんです。堀恵二さん(高橋達也と東京ユニオンのリードアルト奏者として永年在籍していた名プレイヤー)のメロウ・サキソフォン・アンサンブルに何度か参加させて頂いたのですが、それがとても楽しくて。その後2014年に堀さんが亡くなられて、自分たちの世代でもこういうことをやっていきたいなと思ったことが大きなきっかけとなりました。
また、名アレンジャーの内堀勝さんにお願いしてアレンジについて教えて頂いていた時期がありました。まあ、劣等生でしたけど(笑)その経験を活かして、実際にいろいろ譜面を書いているうちに楽しくなってきまして。グループを結成しようと。
――
メンバーはどのように決めたのですか?
萱生
様々な現場で知り合ったミュージシャンです。セクション・アンサンブルをとても大事にしていて、研究熱心!? そして、ソロも個性的で素晴らしい人に声をかけました。
――
グループ名のSoalte(ソアルテ)とは、どういう意味ですか?
萱生
バリトンがいないサックスアンサンブルを組みたかったので、ソプラノ、アルト、テナーの頭文字からとりました。実際は、ソプラノのパートってほとんどないんですけど(笑)。
――
アルト2、テナー2、3リズムの編成にした理由は?
萱生
サックスだけで完結するためには、誰かが伴奏にまわる必要がありますよね。でもそうではなく、全員がソリストでいたいという思いがあったんです。となると、コンボ・スタイルと一緒ですよね。3リズム(ピアノ、ベース、ドラム)に対して、4管ぐらいがバランスもいいかなと思って、この編成に落ち着いています。
――
結成から現在までの活動状況を教えてください。
萱生
この3年間、2ヶ月に1回くらいのペースでひたすらライブ活動に励んでいます(笑)。そしてこの9月に、1stアルバム「Palette」を発売します!

 

1stアルバムをリリース

――
1stアルバムのコンセプトは? また、選曲はどのように決めましたか?
萱生
シンプルな譜面を、プレイヤーの力でどれだけ色を出して吹けるか? というのが第一にあります。選曲に関しては、自分が影響を受けた曲をはじめ、ポップスやアメリカ歌曲、クラシックなどが中心になっていて、それらを4ビートで楽しむというのが僕らのスタイルです。
中江
萱生さんの選曲とアレンジは、自分たちには思いもよらぬアイデアがギュッと詰まっていて、みんなすごく楽しんでやっています。 辻野 『わらの中の七面鳥』なんて、最初曲名を見たときに、これ、ジャズでやって大丈夫?と思ったんですけど、やってみると、すごくスイングしてマッチしている。
吉本
例えば、カウント・ベイシーがビートルズのカバーをやっているアルバムがあるんですけど、ポップスをすごく自然にジャズにアレンジしているスタイルという点で、共通している部分があるように思います。
――
聴きどころを教えてください。
萱生
この何でもありな感じをアルバムとして聴いていただいたときに、あ、これがソアルテなのかなと思ってもらえたら嬉しいです。何かで統一されているわけではなくて、やりたいことを全部詰め込みました。あとは、スイング感の違いを楽しんでいただきたいですね。古いスタイルの曲では、ヴィブラートを深くかけていたり、あえてストレートに吹いているものもあります。
――
レコーディングはどのようにされましたか?
萱生
リズム・セクションだけは先録りして、サックスは一人ずつ違うブースに入って、リズム・セクションの録音を聴きながら、サックス4人は同時に録りました。本当は全員一緒に顔を合わせて、せーの!で録るほうがいいのかもしれないけれど、ライブでやり慣れた曲ということもあり、スムーズにいきました。
――
アレンジはどのようにされていますか?
萱生
サックスアンサンブルに合う曲はないかな~といつも考えています。どんな曲でもカッコよくなるかというと……そうでもないのです。とても恥ずかしい感じになったり? 頭の中で、良い感じにサウンドしたものはまずテーマから書いてみます。基本的にピアノ、そしてシベリウス(楽譜作成ソフト)です。
――
お手本にしているアンサンブルはありますか? 
萱生
やはり、カウント・ベイシーのマーシャルロイヤル率いるセクションサウンドは多々影響を受けています。

 

(次ページへ続く)


Doremi-Songfactory_YouTubeチャンネルより

プロフィール
Soalte Saxophone Quartet
(ソアルテ・サクソフォーン・カルテット)
4サックス(萱生昌樹、辻野進輔、吉本章紘、中江裕気etc)+3リズムからから成るジャズアンサンブルユニット。スタンダード・クラシック・J-POPなど耳馴染みのある楽曲を題材に、サックスセクションのアンサンブル&ソロ・アドリブを存分に楽しめるグループ。ビッグバンドやアーティストサポートなどでアンサンブルを得意とするミュージシャンが揃い、心地よいサウンドが好評を博す。楽曲アレンジは萱生昌樹(As)が担当。ヴィブラートや深いスウィング感が特徴のカウント・ベイシー楽団マーシャルロイヤルセクション等をオマージュしたプレイスタイル・アレンジから、コンテンポラリーに仕上げたスリリングなナンバーまで幅広いレパートリーを持つ。カバー、オリジナル共にポップであることに重きを置き、4ビートサウンドを中心として活動している。3リズムと共に、聴きごたえのある各人のソロも必聴!。
オフィシャルサイトhttp://www.masakikayo.com/soalte.html
CDショップ CD「palette」のお求めはこちら

 

 

CD Information

 

「palette」/ ソアルテ・サクソフォーン・アンサンブル

【DSFA-1102】¥2,000(税込) Doremi-Songfactory
[曲目]Diamonds(奥居香)、Just Friends、時代(中島みゆき) 、Beautiful Love、わらの中の七面鳥、All the Things You Are、What a Wonderful World
[演奏]萱生昌樹、辻野進輔(As)、吉本章紘、中江裕気、鵜木孝之(Ts)、板垣光弘(Pf)、三浦トオル(Bass)、粕谷謙介(Ds)


THE SAX 11月号(vol.91)に掲載!
誰よりも早く新曲をマスターしよう!

『わらの中の七面鳥』for 2As, 2Ts
ソアルテ・サクソフォーン・アンサンブルのニューアルバム「palette」に収録されているトラディショナル・ナンバー『わらの中の七面鳥』のカルテット譜面(編曲:萱生昌樹)を、THE SAX vol.91誌面に掲載! 
 
 

 


次ページにインタビュー続く
・ソアルテの各パートの役割
・アンサンブルでは質感を共有する
・これまでやってきたピッチ改善法
・リズムに強くなるためのトレーニング法
・音色とフレージングづくり

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