レッスンマスター

XA-LM30とRD-R20に触れる

JVCケンウッド

レッスンマスター開発者インタビュー

これまでに楽器、演奏ジャンル問わず幅広い楽器演奏愛好家やアーティストの方々から、その使いやすさ、従来のレコーダーにはない機能など熱い支持を得てきた「レッスンマスター」シリーズ。 ここでは「レッスンマスター」開発に長年携わってきたI氏に、開発のきっかけ、特徴そして開発秘話を聞かせてもらった。
─ レッスンマスターを作ろうと思ったきっかけは?
I. 音楽奏者向けのデジタルレコーダーを作りたいと前々から思っていたところ、邦楽系の財団から開発依頼があり製品化が実現しました。製品化にあたり、邦楽に限らずすべてのジャンルの演奏者に向けた製品にすることに配慮しました。
─「レッスンマスター」という名称をつけた理由は?
I. 楽器演奏はプロ、アマ問わず練習が大切です。その練習に於いてなくてはならない相棒であり、あるときには先生の立場に近い存在にもなることを願って「レッスンマスター」とネーミングしました。
─ レッスンマスターを開発する上でのこだわりポイントは?
I. 最も時間をかけたのは操作性です。パソコン上で実機をシミュレーションし、実際に操作しながらユニバーサルデザインを研究しているチームのコメントももらい、みんなでわいわいがやがやと操作仕様を磨き上げていきました。 操作性の次にはやはり音質です。いくつかのスピーカーユニットを試しながら音の輪郭がはっきり出るような仕上がりにしました。 3つ目はビジュアルです。レッスンマスターは全部で3種類ありますが、それぞれの商品の特長が出るように工夫しています。XA-LM1はいろいろな楽器、そして広い世代の人に愛される柔らかいデザインに。XA-LM3は機能性、RD-R2は高音質録再をアピールできるようにと考えました。
─ ほかのレコーダーと「ここが違う」というアピールポイントは?
I. やはり、“操作性と音質”です。弊社は多くのオーディオ商品を手掛けており、ユーザーとの親和性、音へのこだわりやそれをベースにした部品選定など、総合的なノウハウは、ほかのレコーダーメーカーに負けないと自負しています。実際にレッスンマスターシリーズを担当したチームも歴代のデジタルオーディープレーヤーを商品化してきたベテラン揃いです。
─ 開発する上で、苦労した点は?
I. 近年では、スマートフォンの普及によりレコーダーの機能を備え持つスマホアプリも随分と利用されるようになってきています。そんな時勢のなかでレコーダーを新たに開発するわけですから、「スマホアプリにはない専用機の良さをいかに最大限発揮できるか」ということをいつも考えていました。
─レッスンマスター開発秘話
I.XA-LM3、RD-R2で搭載している「リバーブ機能」は当初の仕様では搭載されていませんでした。しかし、1つの曲として仕上げるために演奏はきれいに聞こえたほうが良い、特に重ね録音には必須だ、と私から企画メンバーを説得し追加してもらいました。追加して良かったと言ってもらえるよう、ソフト担当者と一緒にいろいろパラメータの試作を繰り返し、最終的に3つのリバーブパターンを選択しました。
─「XA-LM3」は、「LM-1」から外見がスタイリッシュな印象に変わりました。その理由は? 
I.「XA-LM1」は、“簡単に使えるツール″であることを最優先に仕様やデザインを決めましたが、「XA-LM3」は重ね録音という機能にチャレンジする、少しテクニカルなユーザーを想定し、キーボードやギターなどを演奏する方にも使っていただきたいと思いました。ターゲットユーザーの年代も若い方向へ振り、簡単さをアピールするXA-LM1の柔らかさに対し、XA-LM3はシャープな印象としました。
─ XA-LM3では「キーコントロール」「重ね録音」「パートキャンセル」といった機能が追加されています。こういった機能を追加した理由は?
I. XA-LM1の上位機種を検討するにあたり、少しステップアップしたユーザーをイメージしました。演奏の上手下手ではなく、録音して自分自身の曲を作り上げる、あるいはパートキャンセルを利用してほかの楽器とのアンサンブルを楽しむなど、より積極的な使い方を望まれる方に使っていただきたいと考えました。 楽器を演奏する人にしか味わえない自分の演奏で曲を作り上げる録音の楽しさを、今まで“機械の操作”という点で躊躇していた方にも手軽に味わっていただきたかったのです。
─ RD-R2は「このサイズで大音量再生」がこれまでのレコーダーにはなかったと、皆さんから大変好評ですが、開発された意図やきっかけは?
I. RD-R2で使用しているスピーカーユニットは磁気回路に一般的なフェライト(※1)の約3倍の磁力を持つネオジウム(※2)合金を採用しており、これと剛性の高いコーン紙、低い周波数をカバーできるダンパーと組み合わせることによりこのサイズからは想像できない広い帯域の再生を可能にしています。価格重視のラジカセでは採用できないこのスピーカーユニットは、LMシリーズの音を大切にするターゲットユーザーにピッタリだと考えました。
─ RD-R2のマイクの位置のこだわりは?
I. マイクの幅はほぼ人間の耳の幅になるように設定しています。録音された音を聴いたときに最も自然になる幅と言われています。
─ RD-R2にラジオ機能を搭載した理由は?
I. 本機は「幅広くいい音」をお楽しみいただき、オーディオ機器としてもライフスタイルの一役を担えるよう企画しました。従来のラジカセに代わる位置づけとして「FMは欲しい」とのお客様からの要望がありましたので「ラジオ機能(FM)搭載」としました。
─ 開発者視点での、レッスンマスターのイチオシ機能は?
I.「トラックマーク機能」です。曲の途中でも現在練習している位置へマーキングしておけば、再生時に一発で頭出しできるし、繰り返し聞きながら演奏するときもBWDSKIPキーを押すだけでその位置に戻れるので実際使ってみると非常に効率的に練習できます。
─ レッスンマスターを、どのような方に使ってもらいたいですか?
I. 楽器の練習を始めた方にすぐに使っていただきたいです。録音して自分の苦手な部分や、余り上手く演奏できない部分などを客観的に評価し、その後の上達を実感したり、メトロノームを使って練習する癖をつけることで、リズム感を養ったりすることは日常の練習でとても大切なことだと思います。レッスンマスター搭載機能を使って効率良く上達していただけると、とても嬉しいです。
─ ありがとうございました。
※1 フェライト(ferrite):酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称 ※2 ネオジウム(neodymium):銀白色の金属。レア・アースの一種