リコーダー記事

世界の偉大なるリコーダー奏者たち

Legendary Recorderist in the World│特別全文掲載

今日のリコーダー界の発展には、長い歴史の中で多くの名奏者たちの貢献があった。ここでは現代に繋がる12人のプレイヤーをピックアップして、その偉業を紹介しよう。

 

ハンス=マルティン・リンデ

ハンス=マルティン・リンデ(ドイツ 1930-)

独ノルトライン=ヴェストファーレン州ヴェルネ生まれ。フライブルク音楽院でグスタフ・シェックにフルートを、コンラート・レヒナーに合唱指揮を、それぞれ学ぶ。音楽院を卒業後、しばらく故郷の音楽学校でフルートと合唱指揮を教える。その頃にリコーダーやフラウト・トラヴェルソに興味を持つようになり、1955年にはケルンの西ドイツ放送局のオーケストラにフルート奏者として採用される。1972年には「リンデ・コンソート」を結成。1976年から1979年までバーゼル音楽院の院長を歴任し、1979年から1995年までは、同音楽院で合唱指揮の講座と音楽院の合唱団の指揮を担当した。さらに多数のリコーダーの教本を出版していることでも有名。

 

フランス・ブリュッヘン

フランス・ブリュッヘン(オランダ 1930-2014)

1934年にオランダのアムステルダムに生まれる。アムステルダムの音楽院でリコーダーとフルートを学び、次第にリコーダーおよびトラヴェルソに注力するようになる。グスタフ・レオンハルト(Cemb)やアンナー・ビルスマ(Vc)らと組み、オリジナル楽器によるバロック演奏を推進して多くの後継者を育成。リコーダーの表現技法の発展と拡大に大きく貢献した。1981年に18世紀の傑作を当時の楽器で演奏することを目的とした「18世紀オーケストラ」を結成。本格的な指揮活動を開始する。2005年から2013年まで新日本フィルの指揮などで8度来日を果たし、日本でも巨匠として広く知られている。2014年8月13日、オランダ・アムステルダムで逝去。享年79。

 

デイヴィッド・マンロウ

デイヴィッド・マンロウ(イギリス 1942-1976)

1942年8月12日、英バーミンガム生まれ。本名はデヴィッド・ジョン・マンロウ。1960年よりペルーのリマで英語教師を務めながら南米の先住民族音楽について研究を重ねた後、ケンブリッジ大学ペンブローク校でリコーダーおよびクルムホルンなどの管楽器を習得した。1967年に「ロンドン古楽コンソート」を結成し、なじみの薄い古楽を広めることに尽力。国内外での演奏会や画期的な録音に奔走し人気を博した。中世・ルネサンス音楽やバロック期のリコーダー音楽のほか、映画やTV・ラジオ番組のための演奏・作曲なども行ない、古楽器の普及に尽力した。ロンドン王立音楽院やレクスター大学などでも指導していたが、1976年5月15日、33歳で急逝。

 

ハンス・マリア・クナイス

ハンス・マリア・クナイス(オーストリア 1940-)

1943年にオーストリアのウィーンに生まれる。ウィーン国立音楽アカデミーでチェロ、リコーダー、ピアノを習得し、1964年にチェロでデュプロマを得て卒業。その後にウィーン放送交響楽団にチェロ奏者として勤務するが、それと並行して古楽器演奏グループ「コレギウム・ムジクム」の創設を中心となって推進し、指揮者としても活動するようになる。1964年にはウィーン音楽大学の教授に就任。1972年には教え子5人とともに「ウィーン・ブロックフレーテ・アンサンブル」を結成し、1985年に解散するまでのコンサート活動は高い評価を受けた。1990年からはリンツ音楽大学の学長も務める。

 

マリオン・フェアブリュッヘン

マリオン・フェアブリュッヘン(オランダ 1950-)

1950年にオランダのアムステルダムで生まれる。地元の音楽学校を経て、ハーグ王立音楽院でフランス・ブリュッヘンに師事する。1972年ブリュージュ国際コンクール第1位をはじめ、多数の古楽コンクール受賞歴を持っている。また、オランダ現代音楽祭ではニコライ賞を受賞するなど、現代音楽にも積極的に取り組んでいる。さらにソロとしての活動に加えて「アムステルダム・バロック・トリオ」のメンバーとして室内楽の分野でも目覚ましい活躍を見せた。近年では「ポートランド・バロック・オーケストラ」の指揮も務める。1974年からはユトレヒト音楽院で後進の指導にもあたっている。

 

ミカラ・ペトリ

ミカラ・ペトリ(デンマーク 1958-)

1958年にデンマークのコペンハーゲンで生まれる。1968年よりドイツのハノーヴァーの国立音楽大学でフェルディナンド・コンラードに師事。同年のティヴォリ・コンサートホールでソリストとしてデビュー以来、イギリス室内管弦楽団、アカデミー室内管弦楽団、イタリア弦楽合奏団、ギルドホール弦楽アンサンブルなどと共演し、アメリカ,カナダ,ヨーロッパ,日本などに幅広く演奏ツアーを行なう。バロック初期から現代作品にわたる幅広いレパートリーをもち、卓越した技巧は高く評価されアーノルド、ホルンボー、ノアゴーなどの作曲家が彼女のために曲を書いている。ジャズ・ピアニストのキース・ジャレットとの共演作も有名。

 

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