『Jazz Sax Quartet』発売記念ライブ
2026年7月8日(水)in 中目黒 楽屋
SAXOPHOBIA
─ 出演 ─
井上ヒロシ[Bs,Fl]inoue "JUJU" hiroshi
岡 淳[Ts,篠笛, Fl]oka makoto
緑川英徳[As, Ss]midorikawa hidenori
吉本章紘[Ts,Fl,Cl]yoshimoto akihiro
<1st Set>
1. Living for the City
2. April in Paris
3. Pygmie Song
4. Confirmation
5. All the Things You Are
6. As Time Goes By
7. Manteca
8. Naima
9. Psychedelic Sally
<2nd Set>
1. Carnival
2. They can't take that away from me
3. Lotus Blossom
4. Ob-La-Di, Ob-La-Da
5. Tea for Two
6. Un Homme et une Femme 男と女
7. 星めぐりの歌
8. (Every Time I hear)that mellow saxophone
Encore. Stardust
開演を告げるSE、パット・メセニーの『Third Wind』がフェードアウトすると、リーダー・井上JuJuヒロシを先頭にサキソフォビアの4人が隊列を組んで登場。おなじみのオープニングナンバー『Living for the City』を演奏しながら客席の間を練り歩き、ステージへと向かう。各メンバーが定位置に着くや、吉本のテナーソロが力強い咆哮を響かせ、ライブは鮮やかに幕を開けた。
演奏後は岡によるMC。この日のステージが新刊楽譜集『Jazz Sax Quartet Vol.1 & Vol.2』の発売記念ライブであることが紹介される。制作時の苦労話、そして楽譜集に収録された全曲をこの日演奏することなどがユーモアを交えて語られ、メンバー紹介を経て本編へ。
1曲目は、すでにバンドの定番レパートリーとなっている『April in Paris』。4本のサックスが織りなす厚みのあるハーモニーが実にゴージャスで、会場を心地よく包み込む。続く岡のオリジナル曲『Pygmie Song』(アルバム「AFECTION」収録)では独創的な世界観を披露し、今回の楽譜集にも収載された『Confirmation』へ。Aメロ前半はAsとTs1、後半からTs2とBsへメロディが受け継がれ、さらに定番の2nd Riffではなくソニー・スティットのアドリブをクオートするなど、随所に散りばめられた粋なアレンジが光る。
続いて、いずれもVol.2収載曲で岡アレンジによる『All the Things You Are』、『As Time Goes By』を披露。さらに、この日のハイライトのひとつとなった『Manteca』では、各パートが異なるバッキングリズムを刻みながら強烈なシンコペーションを生み出し、圧巻のアンサンブルを展開した。とりわけアフロ・キューバンのリズムをキープし続けるバリトンサックスの存在感は絶大。複雑なリズムが寸分の狂いもなく噛み合う様は、まさにサキソフォビアならではの醍醐味だ。なお、このアレンジはリーダー・井上JuJuによるもの。
続く『Naima』では、岡が篠笛、井上JuJuがフルートに持ち替えて演奏。モーダルな響きの中で繰り広げられる吉本の洗練されたアドリブは、観客を深い音世界へと誘った。
1stセットのラストを飾ったのは、ホレス・シルヴァーのグルーヴィーなナンバー『Psychedelic Sally』。緑川のフリーキーかつファンキーなソロが強烈なインパクトを残し、前半を締めくくる。
休憩を挟み、2ndセットへ。

冒頭はサキソフォビアのアルバム『A Night at SOMETIME』にも収録されているエディ・ハリス作『Carnival』。印象的なオスティナートが楽曲を力強く牽引する。続く『They can't take that away from me』は、2007年に刊行された曲集『Jazz Standard』にも収載されている、おなじみのレパートリーだ。
次曲『Lotus Blossom』は、岡による秀逸なアレンジが光る一曲。原曲のAメロは6/8フィールで、ウッドベースが1小節に6つの8分音符をイーブンに刻むバッキングをしているが、この8分音符をBsとTs2で分けて(1+2、1+2)フレージングするという大胆なアイデアが盛り込まれている。難易度の高いアレンジでありながら、それを淀みなく聴かせる息の合ったアンサンブルは見事というほかない。
陽気なカリプソリズムが心地よい『Ob-La-Di, Ob-La-Da』は吉本によるアレンジ。ソロはTs1岡、As緑川、Ts2吉本とリレーされ、最後は井上JuJuによる熱量あふれるバリトンサックスのアドリブソロが会場を沸かせた。
井上JuJuアレンジの『Tea for Two』は、軽快にバウンスするアンサンブルが印象的なファニーな一曲。続く耽美的なメロディが印象深い『Un Homme et une Femme(男と女)』では、岡が「幼い頃から好きだった曲を、いつかサキソフォビアで演奏してみたかった」と語り、その思いを込めた繊細な演奏で客席を魅了した。
終盤は『星めぐりの歌』。宮沢賢治作曲による郷愁あふれるメロディを、岡の篠笛が優しく歌い上げ、静かな感動を呼び起こす。
そしてラストは、ロイ・モントレル作『(Every Time I hear)that mellow saxophone』。岡のグロウルを効かせたロックテイストあふれるソロを皮切りに、緑川、吉本へとアドリブが受け継がれ、最後までファンキーかつエネルギッシュなブロウで本編を締めくくった。
メンバー紹介を終えて一度ステージを後にした4人だったが、客席からの鳴り止まぬ拍手に応え、アンコールでは吉本アレンジによる『Stardust』を披露。4本のサックスが織りなす美しいハーモニーが会場を優しく包み込み、その豊かな余韻を残したまま、発売記念ライブは幕を閉じた。
(text by nejisuke)















