サックス記事 【第2回】オガケン先生直伝!お悩み解決ツボ活用術! ~合谷編~
オガケン先生の東洋医学で気楽に音楽

【第2回】オガケン先生直伝!お悩み解決ツボ活用術! ~合谷編~

みなさん、こんにちは! クラリネット奏者、鍼灸マッサージ臨床家のオガケンです。
演奏家のカラダについて、「東洋医学」の視点から学ぶ本連載。初回は「凝りやむくみの原因」や「演奏におけるカラダの仕組み」について学びました。今回からは、奏者のカラダのお悩みを改善する「ツボ」についてお話していきましょう!

「ツボ」ってなに?

普段の生活の中で、肩こりや腰痛のときに、押すと気持ちがやわらぐ部位ってありますよね? 古代中国の人々も「この症状はここを刺激すると良くなるぞ」という経験を積み重ねた結果、特定の効果が集約された身体の“ツボ”を発見しました。書物の時代によって少し違いますが、人間のカラダには約360種類ものツボがあります。1年は太陽暦で365日、太陰暦では355日、円の角度は360°など、古代の人々は森羅万象の摂理を人体にあてはめたともいわれています。まさに東洋医学的思想の「人体は小宇宙である」ですね!
ちなみにツボは専門用語で「経穴(けいけつ)」と呼ばれ、体内のエネルギーが外界と通じるポイント(穴)だとしています。その穴を、エネルギーが宿る「壺(つぼ)」とも言っているのです。

演奏家のみなさんは、本番の演奏など様々な精神状態と向き合いますし、楽器の姿勢(かまえ)による疲労は避けて通れません。……ということで!「演奏家あるある」なカラダの悩みに使えるツボをランキング形式で発表しましょう!

『奏者必見!あるある別オススメのツボ BEST5』

このリストは、私が臨床現場で接してきた演奏家のみなさんの悩み、ビュッフェ・クランポン社員時代に国内外のトップアーティストから聞いたたくさんの悩み、そして私自身が経験した悩みをもとにランキングしたものです。東洋医学的にそれぞれの症状にとっても効果的なツボになります。普段聞いたことないような漢字が並んでますが、各ツボの説明とセルフケアの仕方を順次ご紹介していくので安心してくださいね!

使用頻度NO.1! 万能なツボ〈合谷〉

今回は、360以上あるツボの中でも「使用頻度NO.1のツボ」といっても過言ではないほど万能なツボ〈合谷〉をご紹介しましょう!

まず場所ですが、手の甲が見えるように開いてください。親指と人差し指のスジが交わる谷間のあたりで、押さえると「ズーン」とした感覚が響くところが〈合谷〉です。

ツボの場所がら「手指の疲れや痛み・しびれ」に使うのはもちろんのこと「腹痛や頭痛、発熱、目の疲れや鼻血、歯の痛みから顔面神経麻痺」など、まだまだ書ききれないほどの効能を持ち、臨床現場でもひんぱんに用いられるまさにツボの代表格のような存在です。

演奏家は10本の手指を使い、さまざまな音楽表現を行ないます。なので、指の動きはとても重要で疲れが溜まりやすい部位。管楽器奏者は楽器を持ち(抱え)ながら演奏するので、楽器を支え、操作する指を必要とします。とりわけ“親指”は非常に重要な役割を担っています。
フルートやオカリナなどの笛族、シングル・ダブルリード族も、右手親指で楽器を支えますし、ファゴットやLow Cのバスクラなどは、支えるだけでなく複数のキィ操作まで行ないますよね? 金管楽器も右手・左手親指で管体を支えたり、スライドトリガー操作やロータリーバルブの切り替えを行なったりと、管楽器奏者にとって“親指”は必要不可欠な存在なのです。

それだけに負担も大きく、長時間の演奏では疲れを感じる方も多いのではないでしょうか? 手指の痛みをカバーするために姿勢を崩したり、別の部位に負担をかけてしまうことも……。そうならないためにも、この〈合谷〉のツボ押しセルフケアをしてみましょう!

〈合谷〉を使って簡単セルフケア!

解剖学的に言うと、このツボは“親指のうごき”に密接な「第一背側骨間筋」にダイレクトに効きます。また、その奥(手のひら側)には「母指内転筋」なども存在するので、1部位の刺激で複数の関係する筋肉をケアすることができます。そう、〈合谷〉は名前のとおり、いろんな筋肉が「合わさる谷間」なんです! 命名の由来については、なにせ2000年以上前から存在する名前なので諸説ありますが(笑)。ちなみに各ツボを位置づける定義のひとつとして、複数の筋肉や神経、血管が合流する交差点のような要所を指すことが多いです。

~セルフケアのコツ~
ツボ押しのセルフケアではまず、反対側の指で〈合谷〉をつまみ「気持ちいいな」ぐらいの圧で押してください。

息を吐きながら押す→息を吸うときにゆっくり脱力する

といったリズムで行なうと呼吸も整います。「ぐりぐり」と揉むのもいいでしょう。指圧棒を使ったり、ティースプーンの曲面を使ってツボ刺激しても構いません。いずれにしても力の入れすぎにはくれぐれも注意して、強い痛みやしびれが出たり、肌が腫れたり真っ赤になったりしないようにしてください。決して「強ければ強いほど効果が上がる」というわけではありませんので! 資格を持った先生のところで定期的にケアするのが一番ですが、ご自分のカラダを知り、セルフケアを行なうことで痛みやケガの予防、練習・本番の疲労回復となり、いつでも・どこでも、良いパフォーマンスができるように自身と向き合うことができます。

豆知識 ヒトの進化は“親指”のおかげ!?

みなさん、日常の生活でどんなときに“親指”を使っているかパッと挙げられますか? 「洋服のボタン留め、お箸・ナイフ・フォークで食事、ものをつまみ上げる……」など、私たちの日常行動に欠かせない動きをしていますよね。「スマホの片手打ち」や「ゲームコントローラー操作」などでも、現代人の生活で当たり前のように使われています。この親指の複合的な動きは、人間の活動にはなくてはならないものなんです。これらの動作は専門的には主に〈母指対立筋〉〈母指内転筋〉〈第一・第二背側骨間筋〉という筋肉が担っています。実はおサルさんの手はこれらの筋肉があまり発達していないので、親指を内側に曲げて掴むことができません。そのため楽器を持つこと自体とっても困難なんです。
ヒトがものすごく細やかな手作業ができるのも、親指が上下・前 後・左右に動かせるからなんですね。この親指のおかげで人類は現在のように進化した!ともいわれています。そんな役割の大きい親指ですが、やはり「何時間も楽器を支えつづける」という行動は、人類の進化にも組み込まれていない特殊な動きということですね!(笑)

いかがでしたか? 次回はランキング第2位の「本番前の緊張・集中」に効くツボ労宮ろうきゅう〉、〈内関ないかん〉をご紹介していきます!

これからのコラムで、分かりやすく東洋医学とカラダのお話をさらに深めていきます。どうぞお楽しみに!

ご質問や、「こんなこと知りたい!」などのご要望がありましたらアンケートフォームからお送りください。(※無料のアカウント登録が必要になります)
皆さんがますます“気”も“音”も楽しんで、気楽に音楽ができることを応援いたします。最後まで読んでくださりありがとうございました!

—本日のまとめ—

1. ツボは先人たちの経験の積み重ね
2. 人体の要所要所にツボが点在している
3. 何かと使える! 万能なツボ〈合谷〉(ごうこく)
4. 〈合谷〉で親指の疲労を回復
5. 親指でヒトは進化した!?

 

ベル・エール・トウキョウ
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現在移転のため、都内レンタルサロンまたはご自宅・オフィスへの出張にて施術対応しております。
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フランス語の「Bel-Air(ベル・エール)」とは、英語の「Beautiful-Air (ビューティフル・エアー)」、すなわち「美しい-空気」「澄んだ-気」の意味。 院長 小笠原賢二の人生とゆかりの深いパリ12区に、メトロ6番線「BEL-AIR(ベ ル・エール)」駅が存在します。「美しい空気、澄んだ気」という語意にちなみ、治療を受けにいらした患者様が素敵な空気の中で、身体だけでなく気持ちまで整っていただきたいといったコンセプトのもと名付けました。

 

 

小笠原 賢二 Kenji Ogasawara
クラリネット演奏家からメーカー社員、そして東洋医学の世界へ転身という異例の経歴!
国立音大、エリザベト音大大学院卒⇒フランス留学⇒ビュッフェ・クランポン・ジャパン⇒鍼師/きゅう師/あん摩マッサージ指圧師の国家資格および教員資格⇒現在は東京銀座 鍼灸マッサージサロン『ベル・エール・トウキョウ』で治療活動&教育活動を行う。
クラリネットを武田忠善(国立音大招聘教授)、ミシェル・アリニョン(元パリ音楽院教授)の各氏に師事。バスクラリネットをフィリップ=オリヴィエ・ドゥヴォー氏(元パリ管弦楽団奏者)に師事する。現代フランスの作曲家ジャン=ミシェル・フェラン氏からバスクラリネットとピアノの為の作品『Apostasis』(KLARTHE出版)の献呈を受ける。祖父は古代中国の東洋医学書『黄帝内経』を日本語意釈した先駆者、小曽戸丈夫。

 
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