THE SAX 63 Insight into the Brand New Sax-1

すべてを見直し、アルトをゼロから新しく

世界三大サックスブランドの一つとして、世界中で愛されているヤナギサワサクソフォーン。これまで10年以上の長きにわたり90、99シリーズを展開していたが、いい音、そして使いやすさを求め、まずはアルトが進化を遂げる。ニューモデル、WOシリーズが1月21日に発売された。約3年の開発期間を経て誕生したWOシリーズの秘密に迫ろうと、柳澤管楽器の代表取締役である柳澤信成氏、そして開発を担当した製造部の増山勝彦氏と、企画開発の村越聖氏に開発のコンセプトや変更点などを聞いた。

大きく変更されたのは音。理想としている音に近づけるため、このWOシリーズではこれまでの設計を一新し、テーパー形状からトーンホール位置にいたるまで、ほぼすべての部分に改良が施されている。
また、これまではベーシックモデルとプロフェッショナルモデルの差が明確であったが、今回のWOシリーズではベーシックモデルにあたるライトタイプのWO1、WO2をグレードアップさせ、プロフェッショナルモデルであるヘヴィータイプのWO10、WO20、WO37により近づけているが、コンセプトが異なる。生まれ変わったライトタイプは吹奏感が軽く、音ヤセしないしっかりとした響きによって、初心者をはじめ、プロも納得させるモデルに仕上げられた。一方、ヘヴィータイプはしっかりとした響きで、音が太くツヤのある音色が特徴。重厚感のある吹き心地に、程よい抵抗感もプラスされ上級プレイヤーも十分に楽しめる。もちろんヤナギサワサクソフォーンの伝統であるアッパースタイルネックも健在だ。

ほかにも各部の変更が行なわれたWOシリーズの開発には、宮崎隆睦氏や本多俊之氏といったプレイヤーも携わっている。そこで、サックスプレイヤーの宮崎隆睦氏と、柳澤管楽器の代表取締役である柳澤信成氏の対談を実施。宮崎氏の提案により、位置や形状が変更されたフロントFキーについての裏話も掲載されている。

この対談では本音トークが展開され、柳澤信成氏はこのWOシリーズを「800、900の集大成ともいえる楽器であり、いかに育てていくかという基礎になる楽器」だと語っていた。今後さらなる高みを目指し、WOシリーズがどのように進化していくのか楽しみである。

 

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