THE SAX 68 New Gear Report

D'Addario WOODWINDS JAZZ SELECT MOUTHPIECE

ヴィンテージのデザインが現代の生産技術によって甦らせた画期的なマウスピース、ダダリオウッドウィンズ「ジャズセレクト・アルトマウスピース」。生産工程で、素材を削る際の機械の刃の消耗度合いまでを考慮し、それによって生じる個体差に対してシリアルナンバーを刻印してコンピュータ管理。本来のデータどおりになっているかを一本一本計測しチェックして市場へ送り出すという徹底ぶり。このマウスピースについて、開発者でもあるケヴィン・ギャレン氏(GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BANDメンバー)と、国内を代表する多田誠司氏の2人のアルトプレイヤーに語ってもらった。


ケヴィン・ギャレン

 

目下、アメリカの若手アルトプレイヤーとして、
GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BANDで活躍するなど、着実に実績を残しながら躍進するケヴィン・ギャレン氏。インタビューの際もどこかシャイで、音楽に対する謙虚な姿勢が好印象の青年だ。2012年からダダリオのスタッフとしてジャズセレクトマウスピースの開発に着手し、ニューヨークのミュージシャンたちから多くのデータ収集を行なったという。そこで、最も開発のベースとなるモデルがニューヨーク・メイヤーの4Mだったということを証してくれた。ただ、ティップオープニングサイズが現在のジャズユースにおいては狭かったため、D5M、D6M、D7Mの3種類の設定におちついたとのこと。また、リードやリガチャーとのマッチングに拡張性をもたせるとため、あらゆる銘柄のものと組み合わせテストし、製品化にこぎつけた。本人いわく、「私はリガチャーオタク」とのこと。

 


多田誠司

一方、ジャズセレクトマウスピースのサウンド面について語ってくれた多田誠司氏。2014年の夏に初めて試奏し、その作りの均一性や、低音域から高音域色までのスムーズな吹奏感に惚れ込み、直後の屋外ジャズフェスティヴァルに早速投入し、「プロの期待に応えてくれるマウスピース」とのこと。同時に、アマチュアプレイヤーに対しても、「入門者や初心者がよりよい音色を作り上げていくために使用したり、吹奏楽からジャズに転向する際や、フェイル・ウッズやキャノンボール・アダレイあたりの音色にあこがれる人たちにも安心して薦められるマウスピース」とも語ってくれました。選定にかかる時間とコストの有利性を特に強調されてインタビューは終了、今後ますますユーザ層は拡大していくことだろう。

 


 

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