サックス記事

佐藤淳一 「B→C」から「B→B」へ

THE SAX 69号 -Spot Light 2-

1998年に始まって以来、大好評の東京オペラシティ名物シリーズ「B→C(ビートゥーシー):バッハからコンテンポラリーヘ」、17年目のシーズンを迎えた。バッハ作品と現代作品を軸とし、演奏家が自由にプログラムを組むことによって、さまざまな「B→C」を多くの方々にお届けするこのリサイタルシリーズに、THE SAXでもおなじみの佐藤淳一さんが登場する。サクソフォン奏者として、また研究者として現代音楽に積極的に取り組む佐藤さんならではの「B→C」ならぬ「B→B」とは?
 THE SAX 69号では、そんな佐藤さんへ意気込みを語っていただいた。 ここでは、その一部を紹介しよう。

何度も仮想していた憧れのリサイタル

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今回、出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか?
佐藤
喜びと驚きとプレッシャー、色々な感情が湧いて複雑でした。このシリーズには錚々たる演奏家が出演していて憧れも興味もありましたから、よく自分ひとりで「仮想B→C」をやっていたんです(笑)。自分ならどういうプログラムを組むか、何パターンか考えていました。リサイタルを行なう際には、演奏だけでなくどう聴かせるかというプログラミングも重要ですから、僕はどんな時も複合的に考えます。そのほうが聴衆の皆さんにも、より浸透感があると思うんです。今回のようにコンセプトがしっかりしているリサイタルは、とても好きです。実は、「B→C」というテーマにもう少し縛りをつけて「B→B」という形にしました。バロックから現代に行く中で、Bがつく主要な芸術家を並べたらより面白いと思ったんです。

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Bで始まる作曲家が並んでいますね。バッハ、ブラームス、ブリテン、ベリオ、ブーレーズ。フェルドハウスはBが付きませんね。
佐藤
フェルドハウスの『ザ・ガーデン・オブ・ラブ』は、ウイリアム・ブレイクの詩が基となっているんです。ブレイクはベートーヴェンと同じ時代に生きた詩人で、年代順に並べるとバッハとブラームスの間に入るのでこの曲順にしました。それぞれの曲を分析してみると、どの作曲家もバッハの影響を受けていることがわかりました。新しくても古くても根源は変わらない。それをB→Cでしっかり表現できたらと思います。
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バッハ『無伴奏チェロ組曲 第2番』はテナーサックスで吹くことが多いですが、今回はバリトンを使うそうですね。
佐藤
テナーは低いながらも機動力があるので演奏しやすいのですが、一番の問題点は原調で吹けないこと。一番下のCまで使うので、バリトンなら出せます。チェロの音の深さと形からして、バリトンは親和性が高いと思い選びました。第2番はニ短調の調性感を大切にしている曲でしたから、なおさらですね。
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リサイタルへの意気込みをお願いします。
佐藤
自分の憧れていたリサイタルシリーズで、最高の共演者とやらせていただくという貴重な機会をいただきました。このチャンスに、自分の考えと演奏をしっかり発揮して、聴いてくださる皆さんに理解してもらいつつ、お互いに良い共有ができるような空間を作りたいと思っています。ぜひ、聴きにいらしてください。

佐藤淳一

東京オペラシティ リサイタルシリーズ
B→C佐藤淳一サクソフォンリサイタル

 

[日時] 2015年3月17日(火)19:00
[会場] 東京オペラシティリサイタルホール
[料金]¥3,000(税込)
[出演] 佐藤淳一(Sax)
             羽石道代(Pf)、有馬純寿(Ele)
[問合せ]東京オペラシティリサイタルホール
             (03-5353-9999)              https://www.operacity.jp/

 

Profile
佐藤淳一(さとうじゅんいち)
千葉県出身。洗足学園音楽大学を経て、同大学大学院管打楽器首席修了。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。「ルチアーノ・ベリオの肖像」と題した一連のリサイタルシリーズと博士論文によりサクソフォン領域において日本初の博士号(Ph.D.)取得。在学中から演奏活動を開始し、リサイタルやオーケストラへの客演など幅広く活躍する。2011年トーキョー・エクスペリエンタル・フェスティバルでのリサイタルに対して奨励賞を受賞。現代音楽に積極的に取り組み、ベリオのコンチェルト「レシ/シュマンVII」やブーレーズの「二重の影の対話」などを日本初演し高い評価を受けている。「パイパーズ」や「THE SAX」などで執筆活動にも多く携わり、海外における活動はバーゼルのパウル・ザッハー財団に滞在しベリオの手稿譜の研究に携わった他、2012年にはマンハッタン音楽院において講義と演奏を、台湾ではコンサートを開く。サクソフォンを宗貞啓二、大和田雅洋、冨岡和男、平野公崇の各氏に師事。北海道教育大学専任講師。博士(音楽)。