サックス記事

サックス吹きのためのエフェクター・スピード入門講座

by 宮地スグル

The Ossan Bandでエレクトリック・サックスを担当する宮地スグルです。今回はエフェクターを繋いで様々な効果を狙っているというプレイヤーに向けた初心者講座をやってみたいと思います。


Profile : 宮地スグル(Sguru Miyaji)


両親の影響で幼少よりジャズを聴いて育つ。6歳でエレクトーン、15歳でサックスを始める。関西学院大在学中よりプロ活動を始め、90年、同大学を中退して米国ボストンのバークリー音大に奨学金を得て留学。この頃、ジェリー・バーガンジ(ts)に師事しメソッドを全て習得。93年に同大パフォーマンス科を卒業後は居をNYに構え、エブリン・ブレーキー (vo)、ティト・プエンテ(timb)、ブルース・バース (p)、ホルへ・ロッシー(ds)、ジョン・ステッチ(p)と「バードランド」などのライブハウスにて共演、 レコーディングを経験。96年に帰国後、首都圏で活動を始め、様々なJ-Jazzレジェンド達と共演。その後リーダーバンドを結成。NHK「Session」などの音楽番組に多数出演。雑誌にも活動が取り上げられる。2012年10月、シアタークリエに於けるミュージカル「デュエット」で演奏、2013年3月、NHK・BS1「エル・ムンド」に“SOULOGIC"の一員として2日間にわたり出演。 2015年、自主レーベル「Noizz Music」を設立。精力的にアルバムをリリース中。2019年、月刊ザテレビジョン5月号の「橋本環奈・First Story」でサックス講師として出演。8月スタートのNetflixドラマ『全裸監督』(山田孝之主演)にサックス奏者として出演。

必要な機材は?

サックスプレイヤーが主に使用する機材関係についてご紹介します。まず、必要となるのはマイクです。「ダイナミック型」と「コンデンサー型」が有り、前者は直接接続するだけで使用でき、後者は電源供給が必要です。そのため、コンデンサーはちょっと面倒ですが、その分音のクオリティーが高いです。

また、両者ともにマイクの出力レベルは低いため、特殊なエフェクターでない限りプリアンプを先に繋いで信号を増幅させる必要があります。コンデンサー型の場合は、プリアンプからファンタム電源で電力を供給する事が出来るので、付いているのかどうか確認をしましょう。

後に続く話にはなりますが、昨年、ZOOMから発売されたアコースティック楽器用のマルチエフェクター『A1 FOUR / A1X FOUR』はプリアンプを噛ますことなく、ファンタム電源で電気供給を行なえるようです。

プリアンプの次は、いよいよエフェクターの登場です。ギター用の個別のエフェクターを繋ぐことも可能ですが、プリアンプは必須になりますし、何よりオールインワンのマルチ・エフェクター(ボリューム・ペダル付き)が種類も豊富で便利で経済的です。ボリューム・ペダル内蔵のモデルがあればそちらを選ぶようにしましょう(理由は後述)。

僕は、グラフィックEQで音質を整えてオートワウに繋いでいます。オートワウも「タッチワウ」だとアタックを付けた所でエフェクトが掛かるのでニュアンスが出やすいです。

その後にディレイやリバーブの空間系、そしてピッチシフトでハーモナイズさせたり、シンセサイザー的なエフェクトに繋いで行き、さらに表現力を増して行っています。ちなみにディストーションは確実にハウるので、特殊なマイクが必要と思われます。

 

セッティングについて

セッティングですが、PAとの兼ね合いが大切になってきます。エフェクター、もしくはプリアンプ側のレベルが大き過ぎると、必要以上に周りの音(特にドラム)を拾い過ぎます。そのバランスはPAスタッフとの遣り取りで決めていく必要があります。

スタジオでのバンド練習などは自分でミキサーを操作できますから、そこでバランスを研究出来ると思います。 自宅ではアンプに繋いでヘッドフォンでモニターすれば良いでしょう。僕はたまにスピーカーから出してエフェクターごとのハウリング・チェックとかをしました。

接続の手順は特にありませんが、PAからのマイクシールドも含め、エフェクター、プリアンプ、マイクの全てを接続した上で電源をオンにします。 その際、ボリューム・ペダルは最小にしてください。

ライブ後の撤収は逆の手順です。この手順を間違うと、場合によってはお店のモニター類を損傷してしまう可能性がありますのでPAスタッフにミキサーのフェイダーがゼロになっているかの確認も時には必要です。

また、ハウリングの原因は自らの出音を更にマイクが拾う事によって引き起こされるものなので、必要以上にモニターから自分の音を返して貰う事は避けましょう。モニターやスピーカーの向き等もかなり影響してきます。

そして、避けて通れないのはドラムとの兼ね合いです。

特にスネアの音は必ずと言っても良いくらいマイクで拾ってしまい、それに勝手にエフェクトを掛けてしまうという悲惨な事故を起こしがちです。 そこで、自分が演奏していない時はボリューム・ペダルを最小にするという配慮が必要となってきます。なのでボリューム・ペダルは必需品なのです。

演奏中も間が空いた瞬間はどうしてもドラムの音を拾ってしまいますが、音を出していればエフェクターは一番身近な音を処理する能力しかないので、ドラムにエフェクトが掛かることはほぼありません。いずれにせよ、ステージでの立ち位置はなるべくドラムから最も離れた所にするべきです。可能であればドラムとの間にパーティションを設置する事を推奨します。

 

これらの機材を使用してできることとは…

前述したマルチ・エフェクターは様々な機能を備えています。僕はZOOMから出ているギター用のマルチエフェクター『G5』を使用しています。昨今、様々な機材が発売されていますので、操作性やエフェクトのかかり具合等、効果を試してからの使用をおすすめします。

▼実際に宮地氏が使用している機材各種。
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マルチエフェクター = Zoom G5
プリアンプ=Audio-technica Slick Fly
マイク=Audio-technica ATM35

僕は主にワウでディストーションに近いサウンドを出して、オクターバーやピッチ・シフトで普通サックスでは表現できない和音を、それにディレイで宇宙的な表現を加え、更にギター・シンセの様なエフェクトや、スライサーというロング・トーンを点で刻む様なエフェクトも使います。

また、アコースティックなサウンドも必要なので「アコースティック」というページをエフェクター上に作成し、EQでなるべく生音に近い音質にHzごとに設定し、その上にリバーブを掛けるようにしています。リバーブも種類が色々有るので、好みのものをチョイスし、残響の長さなど設定する必要があります。あくまでカラオケの「エコー」にならないように!(笑)

ルーパーはマルチ・エフェクターに導入されてるものも多く、僕もかつてソロ・パフォーマンスでそれを使用していましたが、ただでさえ一つのスイッチで複数の作業が必要とされるマルチ・エフェクターで更にルーパーの作業をしようとすると、トラブルが発生しやすいので、もしやるとすれば外付けで別にルーパーを接続した方が良いかと経験上思います。

 

以上、エフェクターを初めて使うサックス・プレイヤーへの初心者講座でした。ギター・サウンドに憧れている方、サックスでは表現できない斬新なサウンドを求めている方、是非、チャレンジしてみて下さい!実際、僕がどんな感じでエフェクターを使用しているかは、The Ossan Bandのライブで確認してみて下さいね。

宮地スグル氏の演奏視聴音源はこちら

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