THE SAX vol.105 Gear Report

Wood Stone Automagicジョイントスクリュー登場!

アタリのリードをつけたときのようなイメージ

オートマジックの吹奏感や自分に音が返ってくるモニタリングの印象も変わってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
T
音量もそうですが、吹いているフィーリングが全然違います。より管の振動をたくさん感じます。ズバッという音の鳴りを体感するとともに、跳ね返ってくる音も当然明確に聞こえるようになります。
音の指向性が増すということでしょうか?
T
そうですね。音がよく飛んでいく、遠鳴りするということだと思いますが、マイク乗りが非常に良くなるとも感じます。コンデンサマイクなどで録音する際、モコモコしていると感じる人は、よりクリアに音を拾ってもらえるのではないかと思います。
素材、重量などについて、それがもたらす影響をどう分析されていますか?
T
最初にスクリューの硬さを感じました。これは僕の意見ですが、もともとサックスについている純正スクリューに比べて、素材が硬いほうが良く鳴る印象です。即ち、スッと音がスムーズに出るフィーリングがあるということと、やはり銀の音色がするということですね。
従来のウッドストーンのスクリューも銀の音色はしていましたが、より強く銀の音色を感じます。Wood StoneのNew VintageやセルマーのマークVIやシリーズII、IIIなどライアースクリューを装備しているタイプのサックスには、「オートマジック ジョイントスクリュー」に加えて「オートマジック ライアースクリュー」も付けることで、さらに銀の音色が増すので、お好みによってオートマジック ライアースクリューも試していただくと良いと思います。
ただ、銀という硬い素材を楽器につけた場合、通常、重い音色、重い吹奏感になるはずですが、低音も軽く吹けるようになる、そこがこのオートマジックのすごいところ、一番の特徴だと思います。
世の中には色々なスクリュー、ねじが発売されていて、それぞれに個性があって素晴らしいですが、そのほとんどが重しのような役割をするもので、音が大きく鳴りますが、反作用として特に最低音の部分の反応も重くなります。この作用のイメージをわかりやすく例えるなら、重しタイプのスクリューは、より硬いリードをつけるような効果です。即ち、大きな音が出る反面、低音は出しにくくなり、抵抗感も増して口に力が入るイメージです。 対して、オートマジックは、アタリのリードをつけたときのようなイメージで、解き放たれたように気持ちよく楽に吹けるようになる、そんな効果があります。
音が大きくなるのに低音などの抵抗感が減り、機能性が増すのが特徴で、私の知る限り反作用がない唯一の製品です。まさにいいとこ取りの素晴らしいスクリューです。

音の反応の改善と全音域での音の均一性

何故これほどまでの効果が出るとお考えですか?
T
わかりません……(笑)。ただサックスは、何か部品を変えれば音に必ず影響が出ます。スクリューのような小さな部品でも音や楽器の反応に変化が出ます。スクリューに限らず、サムフックなど重いものをつければ重しの役割となり、音が大きくなる半面、特に低音などで重さが出て抵抗も強くなる。
このオートマジックは、重しの役割を与えるのではなく、管体をより自由に自然に振動させるように改善する効果があると感じます。それゆえ、低音が重くなることなく、音域全体で抵抗が軽減され、より管が自由に振動することができるようになった結果、大きな音も出るようになるという現象が起きているのだと思います。
オートマジックの効果を特に発揮する音楽スタイル、ジャンルなどは何でしょう?
T
ビッグバンドのリードアルト奏者には、よりリードらしいエネルギーと突き抜けるキャラクターを与えるでしょうし、ファンクスタイルのポップなプレーヤーには付けるだけでパワーと勢いを与えてくれるアイテムです。クラシックとジャズでは音色の傾向、嗜好性も異なると思いますが、音圧や音の反応の改善、全音域での音の均一性が得られます。音程のコントロールが向上するため、音の跳躍が多くあるクラシックの現代曲などでアドバンテージになるでしょう。吹奏楽の方は、正確なアンサンブルをするためのパワーアップアイテムと感じてもらえると思います。
すべてのサックスに効果がありますか?
T
今日試奏したアルトはもちろん、ソプラノからバリトンまで一通り試しました。特にソプラノでは、高音部の負担の軽減、重い楽器であるバリトンでは低音部での発音など、相対的に楽器の重量によって効果が強く出やすい部分は多少異なりますが、これまでに述べたオートマジックの特性は楽器の種類に関わらず効果を発揮します。
従来品のネックスクリューでは選定品も過去に出されていますが、オートマジックにも個体それぞれの違いや個体差はあるのでしょうか?
T
かのマイケル・ブレッカー氏も、スクリューの効果だけでなく、スクリューそのものにも個体差があることにも驚かれていたと聞いています。むしろ私にはそれも大きな魅力の1つです。この新製品オートマジックは、鳴りの大きさという点では従来品よりばらつきが減りましたし、もちろんこれまで述べた効果をすべてのオートマジックで実感いただけると思います。ただし、音色のキャラクターや含まれる倍音がスクリューごとに微妙に異なると感じます。噂ではそれも計算して作られていると聞きましたが……。実際にオートマジックを試して自分の楽器に合うもの、好みの音色のものをみつけてみてはいかがでしょうか?
ありがとうございました。
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