サックス記事 イエロージャケッツのフロントマンとしても活躍するテナー巨人
  サックス記事 イエロージャケッツのフロントマンとしても活躍するテナー巨人
[1ページ目│記事トップ
THE SAX vol.120 Cover Story

イエロージャケッツのフロントマンとしても活躍するテナー巨人

ARTIST

日本の皆さま、寒い日がまだ続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。さて今号の表紙を飾っていただいたのはサックス奏者からだけでなく、多くのジャズ・ファンからも絶大な人気のあるBob Mintzer氏です(2009年のvol.35の表紙を飾って以来の登場になります)。今回はイエロージャケッツのバンドでの演奏の間にお時間をいただきインタビューと撮影をニューヨークのマンハッタンにある「バードランド・ジャズクラブ」からお届けします。

Special Thanks:Bob Mintzer and Gianni Valenti
(www.birdlandjazz.com)

 

「Seventh Avenue South」は多くのバンドが誕生するきっかけになった

Yuki
こんにちは今日は大変お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。Bobとは私が大学生時代からのお付き合いになりますので、もう30年近くなりますね。日本のファンもBobさんのことはご存じですが、ここ最近の近況などを含めインタビューさせていただきます。
マンハッタン音楽院卒業後、ティト・プエンテなどのバンドでプロの音楽家としてキャリアを歩み始めますが、当時はニューヨークはどのような感じでしたか? 確か“ロフト”時代でしたよね。70年代のニューヨークのロフト・シーンの話は故マイケル・ブレッカー氏、デイブ・リーブマンなどから多くの話を聞いたことがあるのですが……。
Bob
その当時はとてもエキサイティングな時代だったよね。毎晩いろいろなところで朝までセッションしたり、多くのミュージシャンや様々なアーティストの交流だったりね。当時はジャズ・ミュージシャンとして生計を立てようというより、常に音楽に没頭していた良き時代だね。今では考えられないけどね(笑)。Yukiが言っていたように近所にはマイケル・ブレッカーや彼の兄のランディもいたし。そして彼らが一時期70年代後半に経営していた伝説のクラブ「Seventh Avenue South」は多くのバンドが誕生するきっかけになった場所でもあるんだよ。Steps AheadやJaco Pastoriusのビッグバンド「Word of Mouth」、そして私のビッグバンドのメンバー、故デヴィッド・サンボーンやマイケルとかね。私の今があるのはこういった素晴らしい音楽家などとの出会いがあったからこそだと思うから、人との出会いはとても大切だ。同じ志を持っている仲間たちは特にね。
Yuki
私もJacoのバンドのレコーディングは多く聴きました。80年代初期のBobが参加しているレコーディングは特にです。最近はバスクラリネットを演奏するサックスプレイヤーが大変増えました。クラリネット奏者もバスクラリネットを演奏することでいろいろな音楽のジャンルや演奏活動の幅が広がっています。私も若いころはクラリネットのクラシックのレッスンをたくさん受けて、サックスを演奏する上でとても役立ちました。Bobもクラリネットを大学で勉強されました。私の世代ではエリック・ドルフィーやジャコ・パストリアスのバンドでBobがバスクラリネットを演奏するのを聴き、インスパイアされて始めた方がたくさんいます。バスクラリネットにピックアップをつけて、エフェクターかけて演奏していましたね(※注:YouTubeでジャコのバンドで『Donna Lee』を演奏している映像は必見です)。
Bob
Jacoのバンド在籍時代は、とても刺激的だったし、サックス奏者としてだけでなく、スモールグループ、ビッグバンドの作曲や編曲、いろいろな面でも成長させてもらったね。バスクラリネットはとても難しい楽器なんだけど、とても魅力のある楽器なんだ。音色やレンジもテナーサックスにはないものがあるしね。今はEWIもあるけど、バスクラリネットはとてもスペシャルな楽器。でも演奏するのはとても難しいので、きちんと演奏ができるようにレッスンを受けるのはとても良いアイデアだね。
 
 

次ページにインタビュー続く
・ビッグバンドは本当にとても多くのことを学べる貴重な場所だ
・WDR(西部ドイツ放送)のビッグバンドでの活動はとても刺激的
・試行錯誤やリサーチを繰り返し、とても完成度の高い楽器になった

 

●PROFILE
ボブ・ミンツァー(Bob Mintzer、1953年1月27日-)は、アメリカ・ニューヨーク市の郊外のニューロシェル出身。サクソフォーン奏者だけでなく、バスクラリネット奏者、作曲家、編曲家など多くの非凡な才能をもつジャズ界の重鎮。1990年からフュージョン・グループであるイエロージャケッツのメンバーとして活動。また自身の率いるビッグバンドのリーダー兼コンポーザーとして知られている。2016年からドイツのWDR(ドイツ国営ラジオ局)のビッグバンドの首席指揮者に任命。多忙な日々を過ごす中、現在も自分のバンド活動だけでなく多くジャンルで大活躍中。

 
[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2   |   3      次へ>      
サックス