サックス記事 新作を発表したソプラノの名手に同郷の人気吹奏楽作家が迫る!
THE SAX vol.113 Interview

新作を発表したソプラノの名手に同郷の人気吹奏楽作家が迫る!

最近では「異動辞令は音楽隊!」など、ヒット映画の音楽などをいくつも手がけている作編曲家である小林洋平。が、やはり本誌読者にとっては魅力的なソプラノを奏でるサックス奏者としてのイメージが強いのではないか。そんな彼の両方の魅力が凝縮された新作「海の見える風景〜シーサイド・リラクセーション」が完成した。
葉山の海がモチーフとなった本作の魅力に、同郷かつ同窓でもある人気吹奏楽作家のオザワ部長が迫る!
(インタビュー・文:オザワ部長/取材協力:株式会社デラ)

ソプラノサックスは僕の声

海はすべての生命の源だと言われている。だからかどうかわからないが、きっと誰の心の中にもそれぞれの「海」があり、いまこの瞬間もそれぞれに波が寄せては引き、満ち引きを繰り返しているのではないだろうか。
作編曲家・サクソフォン奏者であり、特に劇伴での活躍が著しい小林洋平がリリースしたアルバム「海の見える風景〜シーサイド・リラクセーション」は、そんな「内なる海」を聴く者に思い出させ、海辺(シーサイド)へと誘ってくれる1枚だ。
小林のオリジナル曲8曲に、クリストファー・クロスの『セイリング』や成田為三『浜辺の歌』などカバー曲が5曲。全13曲に共通するのは、ある種の静けさと優しさ、そして、透明感だ。
小林は本アルバムの制作についてこう語る。
「今回ご縁があって、音楽レーベルのデラさんとアルバムを制作するにあたり、僕が神奈川県葉山町という海のある町に育ったこともあり、<心に深く残る海辺のシーン>をコンセプトにして、僕のオリジナル曲の他、海にまつわる名曲のカバーも合わせて収録することになりました。アルバムの中では、僕の声でありアイデンティティそのものであるソプラノサックスを演奏しています。僕は普段作編曲家でもあるので、表現したい風景によってあえてサックスを入れていない曲もあります。演奏は、僕のサックスと村中俊之さんにお願いしたチェロ以外、打ち込みで制作しました」
打ち込みということを感じさせない自然なサウンド感、風景や映像を目の前に浮かび上がらせる力は、さすが劇伴の人気作家である。これまで手がけてきた映画「異動辞令は音楽隊!」やNHKドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」などでも遺憾なく発揮されていたその実力を感じさせられる。

次ページに続く
・葉山の海で育まれた音楽性
・慈しみに満ちた音楽の贈り物


●PROFILE
小林洋平
神奈川県葉山町出身。神奈川県立横須賀高等学校、東京理科大学の宇宙物理学研究室を経たのち奨学金を得てバークリー音楽大学映画音楽科へ留学。在学中「Alf Clausen Award」を受賞し、首席で卒業。帰国後は作編曲家として数多くの映画やドラマ、報道番組などの音楽を担当。また、唯一無二の美しい音色と世界観を持つサックス奏者としてもファンを魅了している。主な作曲作品として、映画「異動辞令は音楽隊!」「繕い裁つ人」「たった一度の歌」「星に語りて」「咲む」、NHKドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」「夕凪の街 桜の国2018」「高橋留美子劇場」「チャンス」、CXドラマ「炎の経営者」、TBSドラマ「BUNGO-日本文学シネマ-」、MBSドラマ「アザミ嬢のララバイ」、NHKスペシャル「世界遺産 富士山~水めぐる神秘~」、NHK-BS「国際報道2014-2020」他多数。一般社団法人日本作曲家協会(JCAA)理事。洗足学園音楽大学の音楽・音響デザインコースにて後進の指導にも当たっている。6月には、音楽を担当した長編映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』『魔女の香水』『共に生きる 書家金澤翔子』の3作が公開予定。

CD information
 
「海の見える風景〜シーサイド・リラクセーション
【DLDH-1940】¥1,980(税込) デラ

[演奏] 小林洋平(Ss,Prog)、村中俊之(Vc)
[収録曲] 01.まだ見ぬ日に/02.潮騒/03.空高く/04.ザ・ウォーター・イズ・ワイド/05.虹の向こう側/06.愛を奏でて~『海の上のピアニスト』より/07.セイリング/08.残照/09.ひき潮/10.mangata/11.浜辺の歌/12.I'll Be There/13.The Sea Has No Memories
 
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