サックス記事 フェデリコ・コカ・ガルシアが待望の初来日!
THE SAX vol.114 Interview

フェデリコ・コカ・ガルシアが待望の初来日!

フランスのサクソフォンアンサンブル、アンサンブル・スクリャンテのソプラノサクソフォン奏者であるフェデリコ・コカ・ガルシア。
世界中を飛び回り大活躍中のスーパーソプラノ奏者、塙美里の招待により初来日公演が叶った。
スペイン人では初のパリ国立高等音楽院合格者であり、現在はマニュエル・カラ音楽院(スペイン マラガ)の教授を41歳という若さで務めている。
スペインとフランス、2つのルーツを持った彼の音楽はどのようにして生まれたのだろうか。

(通訳:塙美里)

衝撃を受けた運命の出会い

来日公演を行なうことになった経緯を教えてください。
フェデリコ
これは君が答えたほうがいいんじゃない?
そうですね。私が初めてパリに行ったときは、大学3年生のころでした。日本人向けの講習会を受けるためです。最終日にパリ国立高等音楽院(以下、パリ音楽院)の学生たちの演奏会を聴きに行ける機会があって、アンサンブルでトップを吹いていたのが彼でした。ソプラノです。初めてフレンチスタイルのソプラノを聴いて、衝撃を受けました。こんなに綺麗で艶やかな音色を奏でられるなんて、と。ソプラノはチャルメラみたいなイメージしかなかったからとてもびっくりしました。それに憧れて自分もソプラノをやってみたいと思うようになり、その後に私もフランスへ留学したんです。それから「いつかあなたを日本に招待したい」とずっと言っていて、そしてやっと1年前にツアーを計画し今に至るわけです。今回初めて来日してもらえて、もうすでに3回公演やりました。彼はもう「疲れて死にそう」って言っています(笑)。基本的にヨーロッパのコンサートは40分とか45分なので。日本だと2時間じゃないですか。
フェデリコ
3人違うピアニストだしね。コンサートごとに変わるから。
土地が離れているし、ピアニストの都合もあるので今回は3人のピアニストに頼みました。そうすると合わせも3人分。それが体力的につらくて、大変でした。ジュリアン・プティを招待したこともありますが、ジュリアンもへとへとだった。しかもフェデリコは来日前に、毎日仕事がしたいって言ってたので、「休み作らなくていいのね?」って言ったら「それでいい!」って(笑)。私も海外で演奏した経験があるので、絶対疲れるんですよ。行ったら次の日にコンサートなんてできるはずないのに。「できる!」とか言って。それでセッティングしたら実際のところ厳しかったみたいな(笑)。でも今はだんだん時差ボケもなくなってきて、だんだん良くなってきたかなという感じです。

次ページに続く
・無料の音楽院が60以上
・サクソフォニストである前に音楽家である

 

 

●PROFILE
フェデリコ・コカ・ガルシア(Federico Coca Garcia)
グラナダ生まれ。10歳でサクソフォンを始め、ハエンとグラナダの音楽院で1等賞を受賞し、マドリード音楽院でフランシスコ・マルティネスに師事。審査員全員から賞賛を受けて大学院を卒業。19歳でジャン=ドニ・ミシャ氏に師事。リヨン市立音楽院の満場一致の金メダルを獲得し、パリ国立高等音楽院を一位で卒業した最初のスペインのサクソフォン奏者。特別賞を受賞したギャップ(フランスの若いサクソフォン奏者のための国際コンペティション)、国際音楽コンクール・ヴィラ・デ・ベニドーム(スペイン)、タラゴナ(スペイン)、パリ(フランス)で行なわれたサクシアナサックスカルテットの国際コンクール等すべてのコンクールで第一位受賞。ヤマハ音楽財団 IN Europeから助成金を受け、キーウ(ウクライナ)の国際セルマー・パリ国際コンクールで入賞。マドリード交響楽団と共にマドリード・オペラ座のマドリディオ・オペラでサクソフォン奏者を務め、スペイン放送テレビ交響楽団、スペイン国立管弦楽団、カスティーリャ・イ・レオン交響楽団、ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン・ミュジーク・フェスティバル・オーケストラと共演。サクソフォンアンサンブル「スクランテ」のメンバーとしてヨーロッパ各地でコンサートや講習会を開催している。FNAPEC国際室内楽コンクールで優勝し「Coup de coeur」を受賞。コレリア・レーベルより3枚のCDをリリース。セルマーの専属アーティスト。現在スペイン、マラガのマニュエル・カラ音楽院教授。

 

●PROFILE
塙美里(Misato Hanawa)
類いまれな感性や深みを持つスーパーソリスト。U.F.A.M国際音楽コンクール優勝、審査員特別賞受賞。レオポルド・ベラン国際音楽コンクール、北欧国際音楽コンクール、ヒナステラ音楽コンクール第1位。釜山国際音楽コンチェルトコンペティションにてアーティスト特別賞受賞。フランス、セルジー・ポントワーズ音楽院、カンブレ音楽院を首席で卒業。前田記念奨学生奨学金を授与される。ソリストとして日本センチュリー交響楽団、イスラエル・フィル・ハーモニー、ウィーン交響楽団と共演。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン、NHK「リサイタル・ノヴァ」に出演。セルマー、ヴァンドレン・パリの所属アーティスト。増山美知子奨励ニューアーティストシリーズに出演。オクタヴィアレコードより「エディット・ピアフを讃えて」「ロンド・カプリチオーソ」をリリース。これまでにグラナダ、カサレス、ヤングスタウン、ピッツバーグ、コロンバス、フィアモンテ、フォルストブルグの各音楽大学にてマスタークラスを開催。東京オペラシティ文化財団B-C出演。文化庁新進芸術家海外派遣研修員としてスペインとフランスで研修を積む。さわかみオペラ財団助成アーティスト。“Golden Classical Music Awards”で優勝しニューヨークのカーネギーホールに招待されリサイタルを開催し満員の観客から賞賛を得た。

 
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