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THE SAX vol.122 Interview┃イマニュエル・ウィルキンス
ジャズの歴史を継承する注目の新世代プレイヤー
R&B/ファンク界の才人として知られるベーシストでシンガーのミシェル・ンデゲオチェロを共同プロデューサーに迎えた2024年の最新アルバム「ブルース・ブラッド」も大きな話題となったイマニュエル・ウィルキンス。昨秋の初来日公演から一年を開けずに再び今回は真夏のコットンクラブで3日間のステージを繰り広げた! そんな現在のジャズ・シーンで乗りに乗る若手気鋭に本誌初インタビューを試みた!!
インタビュー・文:櫻井隆章/取材協力:丸の内コットンクラブ
ハイスクール時代の学生ビッグバンドでの初来日から数えて5度目の日本!
昨年、自身のバンドを率いてブルーノート東京を満員にしたアルト・サックス奏者、イマニュエル・ウィルキンス。今年28歳の彼が、今年は丸の内のコットン・クラブに出演した。早速、話を聞いた。
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今回は、この日本公演だけですか?
イマニュエル・ウィルキンス
(以下IW)
(以下IW)
いや、東京に来る前にシンガポールでもライブを行なって来たんだ。日本の後は中国で、北京と上海でライブを行なうことになっているんだよ。
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へぇ~。シンガポールでのライブでは、お客さんの反応は如何でしたか?
IW
うん、とても良かったよ! シンガポールの人たちにとっては、ジャズというのは新しい音楽、という感じなんだ。でも、とても良いリアクションが得られたな。
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ところで、今回は何回目の来日になるのですか?
IW
実は5回目なんだよ。最初は、僕がハイスクール・ボーイだった16歳の時。全米から集められたメンバーたちでビッグバンドを作って日本のあらゆるところを回ったな。名古屋、大阪、そして東京。確か「TUC」という場所でもライブを行なったんだ(註:都内にあったビッグバンド専門のライブハウス)。もう、何もかもが印象的で刺激的だったな。一種の文化交流みたいなもので、各地でホスト・ファミリーの自宅に泊めてもらったり。とても親切なファミリーばかりで、それも強い印象として残っているよ。2回目は、カウント・ベイシー・オーケストラのメンバーとして来たな。その時に、初めてブルーノート東京で演奏したんだ。その際に、日本、というか東京のジャズ・ファンのクオリティの高さに驚いたんだよ。バンドの誰かが良いソロを取ると、実に熱狂的な拍手が起きる。そしてジャズに対する知識とか愛情とか、とにかく高いのが判ったんだ。それって、アメリカでは考えられないことでね。その際に、日本のジャズ・ファンは世界でも最高水準なんじゃないかって痛感したんだよ。そして、何かでもう一度来て、4回目が去年だったというわけさ。
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その去年の来日は、あなた自身のグループを連れての初公演でしたよね。お客さんの反応は如何でしたか?
IW
もう、最高だったな。お客さんの多くが、シッカリと僕のアルバムやら曲を知っていてくれて、実に良い反応をしてくれたんだ。それも嬉しかったな。今回の、昨晩の初日も良かったよ(註:このインタビューは、その初日の翌日のライブ前に行なわれた)。
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あなたは昨日も、そして今も、全身黒づくめの衣装ですが、それってあなたのイメージなんですか?
IW
あ、そうかい? 取り立てて何にも考えていないな。ただ、この上着はヨージ・ヤマモトだよ(笑)。これはニューヨークで買った(さらに、笑)。この黒のパンツも日本人のデザイナーによるものだ。これは昨日、都内で買った(また、笑)。日本に来ると、毎日がショッピングだよ!
とにかく、よく喋ってくれる人だ。そして明るい。一緒にいて楽しい男である。
次ページにインタビュー続く
登場するアーティスト
イマニュエル・ウィルキンス
イマニュエル・ウィルキンス
Immanuel Wilkins
米国フィラデルフィアに生まれ、2015年にNYジュリアード音楽院に入学。アンブローズ・アキンムシーレ、ジェイソン・モラン、ジョエル・ロスらと親交を深める。名門ブルーノートからのデビューアルバム「Omega」はニューヨーク・タイムズ紙の「2020年No.1ジャズ・アルバム」に選出される。2024年にはR&B/ファンク界の才人として知られるベーシストでシンガーのミシェル・ンデゲオチェロを共同プロデューサーに迎えたアルバム「ブルース・ブラッド」をリリースした。
(2025.08)










