カドソンの歴史と変遷

飛躍をみせるCadeson

プロも認める一流ブランドへ 中島楽器の手腕

発売以来、求める音色を表現できる楽器としてまずはプロ奏者の間で話題となり、現在ではプロ・アマ問わず多くのサックス奏者に支持されるに至ったカドソンサックス。 「この楽器の持つ魅力とは何か」を追求すべく、これまでに使用プレイヤーのインタビューなどを行なってきた。 そこからカドソンサックスという楽器の持つレスポンスは伝わってきたが、この楽器の本質が垣間見えてきたのは、楽器に息吹をあたえる中島楽器での検品・組み立て作業を目の当たりにしたときであった。 それでは、これまで本誌で掲載した記事の変遷を追いながら、カドソンサックスの魅力について掘り下げてお伝えしよう。

中島楽器

当初中島楽器では900シリーズなどがラインナップとして並び、プロアマ問わず人気を集める。ここでは楽器のリアッセンブルをメインに行なっていた。その後、現在のカドソンではおなじみの「カーリングトーンホール※」を採用した902シリーズが登場する。また、ブラッシュドサテン処理を行なったブラス素材にシルバープレート後、さらにラッカーを施したBSSモデルも加わり、スタイリッシュなルックスと気品ある音色で話題を呼んだ。 そしてついにカドソン待望のアンラッカーモデル92シリーズが登場する。管体とパーツをバラバラの状態で仕入れ、調整を施しながら組み立てていくという、まさに中島楽器のこれまでの技術の粋を集め完成したと言っても過言ではないだろう。92モデルについては、後ほどじっくりとその魅力についてお届けしよう。

※カーリングトーンホール トーンホールの先端を丸く加工する一部のヴィンテージサックスに見られる伝統的な技術。テーパー形状の管体トーンホール全てに加工を施すには大変手間がかかる。これによりパッド密閉度、音のつながり、キーレスポンスを高め、トーンホールの高さを低くすることにより、レスポンスをも向上させている。

カドソンサックスラインナップ

カドソンジャパン ラインナップ

 

●838L ラッカー仕上げ

●900GB ゴールドブラス ラッカー仕上げ

●900BN ニッケルシルバー ブラックニッケル仕上げ

管体ニッケルシルバー、ブラックニッケル仕上げに豪華手彫り彫刻など、ステージで映えるスタイリッシュな外見が人気のモデル。
鳴りの効率の他、音程面でも抜群の安定感を誇る中島楽器独自のトーンホールの高さ調整が施されている。ルックス、サウンドパフォーマンスともに充実したモデルとして注目を集めている。(34号)

 

●900Y ラッカー仕上げ

カドソン アルト902
“A-900Y”は、ナチュラルな響きと心地よい吹奏感が人気のA-838Lをアドバンスしたモデルで、キィレイアウトを再設計し、ストレスのないスムースなフィンガリングアクションを実現した。また、楽器表面の仕上げをクリアラッカーからゴールドラッカーに変更。従来の柔らかく艶のある音色に、さらに深みと力強さが加わった。もちろん、タンポやコルクを新しいものへ交換する作業や、音の遠達性を高めるトーンホールの高さ調整、管体の響きをダイレクトにベルまで伝える一番管(U字管)と二番管(主管)のハンダ付、スムースなキィアクションには欠かせないキイポスト調整など、中島楽器が独自に行なっている検品・調整作業を余すことなく実施。20万円台の楽器では考えられないハイスペックな楽器に仕上がっている。ジャズ、ポップス、クラシック、吹奏楽といった、ジャンルを問わずどんな音楽にも対応できる柔軟さ、初心者から上級者まで必ず満足できるであろう使い易さは大変魅力的で、どんな奏者にもオススメのモデルだ。(55号)

 

●902Y カーリングトーンホール ラッカー仕上げ

●902SG カーリングトーンホール サテンゴールド仕上げ

●902AS カーリングトーンホール アンティークブロンズ仕上げ

カドソンアルトサテン
A-902ASはヴィンテージサックスを彷彿とさせるシブく硬派なアンティークサテン仕上げのルックスが示す通り、存在感のある深く芳醇なサウンドが特徴的。また、リペア専門スタッフにより、すべての楽器に対し音色の均一性からキィアクションに至るまで、こだわりの検品、調整作業が行なわれている。 プロ、アマ問わず多くのプレイヤーの個性を引き出すA-902AS。 45号の特別対談で登場のゴスペラーズ 村上氏も愛用しているという A-902AS。そのハイクオリティなサウンドを是非試してみてはどうだろう。(45号)

 

●902V カーリングトーンホール ヴィンテージラッカー仕上げ

●902BSS カーリングトーンホール ブラッシュドサテンシルバー仕上げ

サックス
ブラッシュドサテン処理を行なったブラス素材に、シルバープレート後、さらにラッカーを施したBSSシリーズは、ブラッシュドサテン・シルバー特有の重厚で気品あるまろやかな音色に、ラッカーの艶やかな響きが加わった際立つ音色が特徴。シーンやジャンルを選ばない美しい音色とルックスをぜひ体感してみては!?(38号)

 

 

日本製カドソンサックスの原点は、緻密な検品作業からはじまった

THE SAX vol.29、vol.40

輸入楽器を扱う日本の代理店、販売店の多くは、楽器に対して調整、検品作業を施している。中島楽器でのその作業は、組み上がって仕入れた楽器をキィ・芯金のみならず、1番管・2番管と完全分解。細部まで時間をかけ徹底的に行なわれていた。 タンポの張り替えからトーンホール表面をなめらかににし、高さを調整することで音の反応・レスポンスを向上させる。さらにキィポストの調整まで全て手作業にて行なわれ、他の国で売られているカドソンとはもはや別物と言っても過言ではないほどの完成度。こうした手間のかかる作業にとことんこだわり、品質向上を追求してきた結果、カドソンサックスは着実に多くの奏者から評価と信頼を得るに至った。

 

サックス
▲トーンホール表面をなめらかにし、パッドの密閉度や音のつながりを向上させる。
▲充分なラックをつけたタンポを、キィの中心に接着し直すことで、組み立て後のタンポ調整の変化の狂いが少なくなる。
▲写真左はトーンホール表面を均一にする作業前で、トーンホールとタンポの隙間からリークライトの光が漏れている。写真右はトーンホール表面を均一に仕上げた作業後のもの。このように光の漏れはなくなる。

 

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サックス