サックス記事
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ミスター・アルトサックスが 唯一無二の音色と奏法を語る

THE SAX vol.93

恒例のブルーノート東京公演で来日中のスーパーレジェンドをキャッチ!

David Sanborn

様々なジャンルで過去多くの偉大なプレイヤーがサックスの歴史を彩ってきたが、そのなかでもプロ・アマ問わずに最も大きなインパクトを与えたサックス・ヒーローといえば、デヴィッド・サンボーンだろう。そんなレジェンドのなかのレジェンドが、ここ数年ですっかり恒例となった晩秋から初冬の時期にかけてのブルーノート東京での公演のために来日した。多忙なスケジュールの合間を縫って時間を設けてくれた彼にインタビューを敢行。通訳を人気急上昇中のサックスプレイヤー寺地美穂さんが務めてくれた。

(インタビュー翻訳:寺地美穂/写真:橋本タカキ/協力・ライブ写真提供:ブルーノート東京)

David Sanborn
 

彼らの音の組み合わせが今の僕の音になっているんだ

このたびはインタビューの機会をいただきありがとうございます。今日は主にサンボーンさんの奏法について伺えたらと思っています。一音聞けばサンボーンさんと分かる音色があります。人々を感動させ、心も身体も共鳴させる音を出すための秘訣はあるのでしょうか? 例えば、過去に誰かのサウンドのコピーなどはしてこられましたか?
David
若い頃はね、少しだけ。僕はフィル・ウッズやハンク・クロフォードやデヴィット“ファットヘッド”ニューマンみたいな音を出したいと思っていたんだ。彼らの他にも、ジーン・アモンズやニューオーリンズのサックス奏者たちなど、たくさんのテナー奏者からも影響を受けているよ。もしも僕がもっと背が高くて身体が大きかったら、テナーサックスを吹いていたと思う。でも僕はそうじゃないからね。
では、良い音を出すために、どんなエクササイズやトレーニングをしてこられましたか?
David
トレーニングをしたわけではなくて、ただ発展していったんだよ。僕が思うに、自分の頭の中に鳴っている音を出そうとしていたんだと思う。それがどんな音かっていうと、いろんなプレイヤーの音のコンビネーションかな。ジャッキー・マクリーンのフレージングや、フィル・ウッズの発音方法、ハンク・クロフォードやデヴィット“ファットヘッド”ニューマンのソウルフルで真っ直ぐな音などね。はじめは彼らを真似しようとしたんだけれど、結果的には彼らの音の組み合わせが今の僕の音になっているんだ。 そして、僕は駆け出しの頃にたくさんのブルースバンドで演奏していた。ギタリストとたくさん演奏したから、彼らにとっては普通によくやるコンサートキーのEやAで演奏する機会が多かった。僕らアルトサックス奏者にとってのC#やF#のキーだよね。そもそも、そのキーで演奏することから始めたから、それが普通だったし僕にとってそれは簡単だったんだよ。
音作りに関しては、僕が最初から周りの人みたいにサウンドすることに成功していたら、自分の音を発展させることはなかったかもしれない。みんな僕にこの音を出す秘訣を聞くけれど、本当に考えてしたことではないから、正直なところ答えることができないんだ。自分の奏法を特別にユニークであると思ったことはないよ。でも僕が思うには、秘訣と言えるとしたらフィル・ウッズやジャッキー・マクリーンや、ジーン・アモンズのフレーズの作り方や、スウィング感を真似したりしてきたことかな。
リズムに関してはジャズと共にR&Bを聴いて育ってきたから、そのリズム感も影響していると思う。僕が育ったアメリカの地域は中西部(ミズーリ州)だから、とても大きなブルースの影響も受けているよ。あとはキャノンボール・アダレイの影響はもちろん、僕だけではなくすべてのサックス奏者に及んでいるよね。

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次ページにインタビュー続く
・顔を上げて演奏すれば喉が開いた状態が保てる
・ステージの上で許されているのは「真実を語る」こと
・今回の日本公演のバンドでレコーディングをしたいんだ
・Concert Report

登場するアーティスト

1945年7月30日フロリダ州タンパ生まれ。幼少の頃小児マヒにかかり、医師のすすめでリハビリとしてアルト・サックスを始めるようになる。15才の時に地元のブルース・バンドでプレイし、アルバート・キング等のミュージシャンとの共演歴を持つ。ノース・ウェスタン大学、アイオワ大学で音楽を学び、サンフランシスコに移った時にポール・バター・フィールド・ブルース・バンド、リトル・ミントン・バンドに参加。1971年になるとニューヨークに拠点を移し、スティーヴィー・ワンダー、デヴィッド・ボーイのグループに参加。B.B.キング、ジェイムス・ブラウン、トッド・ラングレン等のレコーディングにも参加し、それ以来トップ・スタジオ・ミュージシャンとして大活躍する。その後ポール・サイモン、ジェイムス・テイラー、マイケル・フランクス、リンダ・ロンシュタット、カーリー・サイモン、チャカ・カーン、イーグルス等のレコーディングにも参加し、そのサンボーンの独特な音色は日々注目されるようになる。そして1975年、ワーナー・ブラザーズと契約。初リーダー作『テイキング・オフ』を発表する。1980年に発表した『ハイダウェイ』は大ヒットし、ゴールド・ディスクを獲得する。1981年『夢魔』でゴールド・ディスク、そしてグラミー賞最優秀R&Bインストゥルメンタル賞を受賞し、その後トップ・サックス・プレイヤーとして君臨する。また、メル・ギブソン主演の映画『リーサル・ウエポン』の音楽にもエリック・クラプトンと共に参加し、評価を得る。テレビでもNBCの『ナイト・ミュージック』のホスト役を1988年より担当し人気を博す。日本でも、1978年の深町純ニューヨーク・オールスターズの一員として来日してから数多く来日。1999年12月、名門VERVE MUSIC GROUPと契約。2003年5月、『タイムアゲイン』リリース。2004年11月『クローサー』リリース。最近作は2015年リリースの「タイム・アンド・ザ・リヴァー」。

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