サックス記事
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Mr.アルトサックスが 朋友マーカス・ミラーとの タッグ復活で完成した ニューアルバムを語る!

THE SAX vol.71 Cover Story

現代のジャズ・フュージョン・シーンにおけるアルトサックスのシンボル的存在と言えば、デヴィッド・サンボーンをおいて他にないだろう。
そんなMr.アルトサックスが5年ぶりに待望のニューアルバム「タイム・アンド・ザ・リヴァー」を完成させた。それも、1980年代に数々のヒット作を生み出して大ブレイクした時期にコンビを組んでいたベーシストのマーカス・ミラーを久々にプロデューサーに迎えての一作だ。 そんな新作についてハドソン川近くに構えた新居でサンボーンが電話インタビューに応えてくれた。
文:櫻井隆章 協力:株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

タイトルにも日本への熱き思いが隠されたニューアルバム

世界最高のアルトサックス奏者デヴィッド・サンボーンが、何と5年ぶりとなるニューアルバム「タイム・アンド・ザ・リヴァー」を完成させた。すでに4月から全国のCDショップの店頭に並んでいるので、目にされた方も多いだろう。それどころか、早くも愛聴盤になっている方も多いはずだ。そして多くの方が驚いたと思われる、そのジャケット。大きく「川」という漢字が……。この字、雑誌や新聞などの印刷媒体の世界では「河」の字との混同を避けるために「河」を「サンズイ河」、「川」を「サンボン川」と呼んだりするのだが、「サンボン」≒「サンボーン」……。大いなる駄洒落のようにも思えるが、そこにはサンボーンが思う、この日本への熱き思いが隠されていたのだ。
その思いを訊く前に、先に書いておかねばならないことがある。彼は、2014年12月の頭に引っ越しをしたのだ。それまではニューヨークのマンハッタンに住んでいたのだが、郊外の、いわゆる「アップタウン」に移った。街の名前は書かないでおくが、マンハッタンの巨大駅である「グランド・セントラル・ターミナル(註:“ステーション”と呼ばれることが多いが、ここは“終着駅”なので“ターミナル”という言葉を使うのが正しい)」から、某路線でおよそ30分。ハドソン川沿いにある街で、最寄りの駅からは歩いて5分だそうだ。その自宅に電話を入れた。

今回のアルバムは、とても素晴らしいですね!
デヴィッド・サンボーン(以下S)
サンボン、だろ?(笑)。
えぇ、ジャケットにはとても驚きました。あなたの家からは、ハドソン川が見えるのですか?
S
あぁ、ウチのすべての部屋からとても良く見えるんだ。今も見ているよ。とってもビューティフルだ。
それは良かったですね! で、まずはアルバムの内容について聞かせてください。今回は5年の間隔が空きましたが、何か理由はあったのでしょうか?
S
いや、特に何も。それよりも、この5年間はとっても忙しかったんだよ。確かに僕自身のアルバムは作っていなかったけど、ボブ・ジェームスのアルバム「クァルテット・ヒューマン」に参加したりとか、ボビー・ハッチャーソンの「エンジョイ・ザ・ヴュー」を手伝ったりと、かなりの忙しさだった。だから、気がついたら5年も経っていた、というところだな。ツアーもしていたし、休みなんてなかったんだよ。

Photo by Yuka Yamaji

CD Information

SAXES STREET
「タイム・アンド・ザ・リヴァー」 
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
【VICJ-61711】¥2,600+税
[演奏]デヴィッド・サンボーン(As)、マーカス・ミラー(Bass)、ピーター・ヘス(Ss,Ts,Fl,BCl)、ジャスティン・マレンス(Tp)、ティム・ヴァーン(Tb)、リッキー・ピーターソン/ロイ・アサフ(Key)、ニック・モロック/ヨタム・シルバースタイン(Guit)、マーカス・ベイラー(Ds) 、ザビエル・ディアズ(Perc)、ランディ・クロフォード/ラリー・ブラックス(Vo) [収録曲]ア・ラ・ヴァティカル、オーディナリー・ピープル、ドリフト、キャント・ゲット・ネクスト・トゥ・ユー、オブリー・モア、セヴン・デイズ・セヴン・ナイト、風のささやき、スパニッシュ・ジョイント、オーヴァーチュア、デイ・ドリーマー、リトル・チャーチ
 

次ページにインタビュー続く
・二人のゲストシンガーや多くのパーカッションを取り入れた快作
・ マーカス・ミラーとの再会はカリブ海クルーズで
・日本の建築文化や様式を取り入れたニューハウス

登場するアーティスト

1945年7月30日フロリダ州タンパ生まれ。幼少の頃小児マヒにかかり、医師のすすめでリハビリとしてアルト・サックスを始めるようになる。15才の時に地元のブルース・バンドでプレイし、アルバート・キング等のミュージシャンとの共演歴を持つ。ノース・ウェスタン大学、アイオワ大学で音楽を学び、サンフランシスコに移った時にポール・バター・フィールド・ブルース・バンド、リトル・ミントン・バンドに参加。1971年になるとニューヨークに拠点を移し、スティーヴィー・ワンダー、デヴィッド・ボーイのグループに参加。B.B.キング、ジェイムス・ブラウン、トッド・ラングレン等のレコーディングにも参加し、それ以来トップ・スタジオ・ミュージシャンとして大活躍する。その後ポール・サイモン、ジェイムス・テイラー、マイケル・フランクス、リンダ・ロンシュタット、カーリー・サイモン、チャカ・カーン、イーグルス等のレコーディングにも参加し、そのサンボーンの独特な音色は日々注目されるようになる。そして1975年、ワーナー・ブラザーズと契約。初リーダー作『テイキング・オフ』を発表する。1980年に発表した『ハイダウェイ』は大ヒットし、ゴールド・ディスクを獲得する。1981年『夢魔』でゴールド・ディスク、そしてグラミー賞最優秀R&Bインストゥルメンタル賞を受賞し、その後トップ・サックス・プレイヤーとして君臨する。また、メル・ギブソン主演の映画『リーサル・ウエポン』の音楽にもエリック・クラプトンと共に参加し、評価を得る。テレビでもNBCの『ナイト・ミュージック』のホスト役を1988年より担当し人気を博す。日本でも、1978年の深町純ニューヨーク・オールスターズの一員として来日してから数多く来日。1999年12月、名門VERVE MUSIC GROUPと契約。2003年5月、『タイムアゲイン』リリース。2004年11月『クローサー』リリース。最近作は2015年リリースの「タイム・アンド・ザ・リヴァー」。

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