サックス記事
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本田雅人 ハイパー・サックス・プレイヤーが 6年ぶりの新作をGRPからドロップ!

THE SAX vol.72 Cover Story

本邦NO.1の実力と人気を保ち続ける、永遠のサックス王子、本田雅人。ライブでの精力的な活動はご存じの通りで、常にトップを走っている印象は相変わらず。が、2009年以来、アルバムのリリースがないことに欲求不満を感じていた人も多かったのではないか!? そんなサックス・ファン待望6年ぶりのニューアルバムがついに届けられた。 その名も「SAXES STREET」!
文:櫻井隆章/写真:土居政則/協力:ユニバーサル ミュージック合同会社

長年の愛器マークⅦからマークⅥに楽器を替えた理由とは!?

日本のフュージョン界のトップ・スターの一人である本田雅人が、なんと6年ぶりとなるソロ・アルバム「SAXES STREET」を完成させた。今回は、久々というだけでなく、記念すべき10枚目のオリジナル・アルバムであり、さらには名門レーベルのGRPに移籍して最初の作品という側面も持つ。このGRP、1970年代に活動を始めたレーベルで、かのデイヴ・グル―シンの「G」と、名プロデューサーで元ドラマーのラリー・ローゼンの「R」の「プロダクション」という名前の由来を持つ。世界のフュージョン・シーンを永年牽引してきた歴史を持っているのだ。早速、話を訊いた。

本田雅人
当然のように、どなたからも「6年ぶり」についてとか、「GRPに移籍した感想は?」なんて訊かれるんですが、実は僕にとって大事なのは、使っている楽器を替えたという点なんですよ(笑)。実際のところ、今から2年ちょっと前くらいに、この「THE SAX」の特集記事で、一度に色々なマウスピースを試してみるという企画がありましてね。僕はそれまでにも、色々なマウスピースを使ってきたんですが、その時に吹いてみたマウスピースの中に、実に面白いモノがあったんです。そもそも、サックスって、楽器本体を替えるよりも、マウスピースを替えるほうがよっぽど音が変わるんですよ。なので、その時も、僕は「こんなにも音が変わるんだぁ」と改めて思ってたんですね。マウスピース次第で、本当に出る音が変わる。その際に面白いなと思ったのが、「SAXZ(サクゼト)」というメーカーのデヴィッド・サンボーン・モデルというモノでして。これ、銀無垢なんですよ。普通だと銀のメッキだとかになるんですが、これは無垢なんですね。で、これで出した音が素晴らしくて。一気に気に入っちゃいました。その後、自分のモデルを作ってもらえることになって、時間をかけてやりとりして納得がいくものが完成しました。ただ、凄くパワーが必要なんですよ。例えば、誰かのライブでバックに入る時などは、そんなに吹く時間も長くないので大丈夫なんですが、自分自身のライブとなると、メロディもソロも吹かなくてはいけないので、体力的に持つかなと思ってしまうくらい。つまり、完奏が難しいんですよ。なので、最初は色々なマウスピースとの併用をしようと考えました。
僕はそもそも、高校2年生の時に両親に買ってもらった、フランス・セルマーのマークⅦをこれまでずっと使っていたんですよ。世の中的には、僕のようなタイプの音楽では、アメリカ・セルマーのマークⅥが人気であることはもちろん知っていましたけど、あまり興味がなくて試したこともなかった。でも、このマウスピースならもしやと思ってマークⅥで吹いてみたんです。そうしたら、相性が抜群で。疲れないとまでは言いませんが、だいぶ疲れにくくなった(笑)。で、今回のアルバムから楽器をマークⅥに替えることになった、と。マークⅦと比べると、マークⅥはちょっとコンパクトなんですね。逆に言うと、マークⅦのほうが、ちょっとゴツいと言うか、持った感じが全然違うんですよ。楽器には色々な部品が付いていますよね? あれが、簡単に言うと大ぶりになっているんですよ、全体的に(笑)。そうすると、ちょっとずつ抵抗も増えていったりね。ただ、鳴りは新しいモデルほど良くなっていってるんです。だから、クラシックの人たちにとっては最新のものが一番良いんだと思うんですけど、でもそこが難しくて、ジャズで好まれるのはちょっと違うんです。
元々、セルマーに限らずサックスはクラシック用というか、今はジャズ用と謳っている楽器もあるんですが、それでもクラシック用をちょっと変えてるだけなように思います。よくほら、ジャズの人たちってボロボロな楽器を使ってますよね? あれって、決してお金が無いからじゃなくて(笑)、そういった楽器のほうが具合が良いから、なんですよね。これは僕の見解なんですが、新しい楽器のほうが良く鳴るんですけど、小さい音でも良く鳴っちゃう。クラシックではそっちのほうが喜ばれる、つまり綺麗な音が均一に出るってのが良いのでしょうが、僕たちのような音楽からすると、ちっちゃな音の時から鳴ってると、大きくなった気がしないんですよ。音色が変わっていかない、というか。昔の楽器ってのは、小さく吹くとモソモソっとした音で、段々大きく吹くと、華やかな音になっていくんですね。だから、吹いた甲斐があるっていうか。つまり、ニュアンスが出やすいんです。そういう感じが、好まれるんじゃないかと思います。今の楽器のほうが、バランスは良いし、音色も良いし、音量も良く出るし、とても吹きやすいと思います。ですけど、僕らの気持ちにマッチするのは古い楽器、と言うか。

本田雅人 Masato Honda
両親が音楽教師という環境に生まれ育ち、小学3年からサックスをプレイ。国立音大ではビッグ・バンドに所属、山野楽器ビッグ・バンド・コンテストに初出場で優勝。最優秀ソリスト賞も受賞。在学中から原信夫とシャープス&フラッツのリード・アルト奏者を務める。卒業後の1991年にT-スクエアに加入。バンドに新風をもたらした。98年に脱退、ソロに転じる。自身のバンドも複数持ち、他のアーティストのプロデュースやアレンジなどにも精力的に参加している。


CD Information

SAXES STREET

「SAXES STREET」 
ユニバーサル ミュージック
【UCCJ-2126】(SHM-CD)¥3,000(税別)
[演奏]本田雅人(Sax,Fl,Tp,Flh,Tb,Prog)、塩谷哲(Pf)、松本圭司(Pf,Key,Syn)、鳥山雄司/梶原順/
菰口雄矢(Guit)、須藤満/井上陽介/川崎哲平(Bass)、山木秀夫/則竹裕之/(Ds)、エリック宮城(Tp
[収録曲]Seven、Memories、俺たちの太陽、Pinocchio、Beyond the Time、JURAKI、Sax Street、See you tomorrow

 


次ページにインタビュー続く
・15万9千番台と9万9千番台 2本のマークⅥでレコーディング!
・ プロデュース、アレンジ、プログラミングも、すべて一人で担当!
・“本田雅人の音楽”の中でも“メインストリーム”なサウンドを凝縮

登場するアーティスト

本田雅人
Masato Honda

国立音楽大学在学中から原信夫とシャープス&フラッツリード・アルト奏者を務める。卒業後、本格的にプロ活動を開始、数多くのアーティストのレコーディングやツアーをサポートする。1991年、T-SQUARE に加入。同バンドのフロントを飾ると共に、作曲やアレンジの面でも新風を巻き起こす。1998年、T-SQUARE を退団、ソロ・アーティストとして活動開始。その後、日本を代表するサックスプレイヤーとして人気、実力ともに現在に至るまでフュージョン界の頂点に君臨し続ける。

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