サックス記事 ララバイをテーマにした新作を完成させた世界のスーパーV.I.P.
サックス記事 ララバイをテーマにした新作を完成させた世界のスーパーV.I.P.
THE SAX vol.115 Cover Story

ララバイをテーマにした新作を完成させた世界のスーパーV.I.P.

サックスにとどまらない器楽音楽の世界すべてにおいて、これまでで最も大きな成功を手にしたキング・オブ・ポップ・インストゥルメンタルことケニー・G。この歴史に名を残すスーパーV.I.P.から前作「ニュー・スタンダーズ」以来2年ぶりとなる新作が届けられた。ララバイ=子守歌をテーマに新たなチャレンジにトライしたニューアルバム「イノセンス」。オンライン・インタビューで、そのコンセプトや選曲、そしてレコーディングの様子などについて語ってもらった。
(インタビュー・文:櫻井隆章/Photo by Art Streiber/取材協力:Concord)

ララバイ・アルバムは前々から作りたかった。
今がその好機じゃないかと

当代切っての人気サックス・プレイヤー、ケニー・Gが2年ぶりのニュー・アルバムを完成させた。タイトルは「イノセンス」。「無邪気」とか「無垢」といった意味の単語である。中身はと言えば、これが「ララバイ」ばかりなのだ。つまりは「子守歌」である。通算20枚目にして、この内容だ。色々と訊いてみたくなる。早速、リモートでのインタビューを行なった。

こんにちは。まずお聞きしたいのは、何故に今、子守歌ばかりのアルバムを作ったのですか?

(以下、「」内はすべてケニー・Gの言葉)「あぁ、まずはそこだね? 簡単なんだよ。前々から、こういったアルバムを作りたかったんだ。そして、今がその好機じゃないかと思ってね」

もしかして、新しくお子さんを授かったとか?

「いや、僕は自分のプライベートなことは話さないと決めているんだ。だから、その質問には答えられないんだよ。ゴメンね(笑)」

やはり、こちらが想定していた答えが返って来た。彼の私生活は一切明かされておらず、謎に包まれているのだ。これは、プロとしての見事な姿勢と言えるだろう。

今回のアルバム「イノセンス」には、全部で12曲が収められている。そのうち、7曲が彼自身のオリジナル・ナンバーだ(アルバム・スタッフとの共作曲も多い)。加えて、ショパンの曲が二つに、『エーデルワイス』。そしてスタンダードとも言うべきナンバーが二つ、『オーバー・ザ・レインボウ(虹の彼方に)』と『ロッカバイ・ベイビー』というラインナップだ。随分とオリジナル曲の比率が高いと言えるだろう。
前作である2年前のアルバム「ニュー・スタンダーズ」では、将来のスタンダード曲となりますように、という彼の願いが込められたオリジナル・ナンバーで占められていた。思うに、ここ何年もの彼は、オリジナル曲を創るという創作意欲が高まっているのであろう。
そして本作である。ジャケットには、彼からのメッセージが載せられている。少し長くなるが、引用してみよう。

「子守歌は私にとって特別なものです。私の心の中で特別な位置を占めています。それはメロディにあります。そのメロディは美しく、時を超越していて、聴くたびに素晴らしい思い出が蘇ってきます。この親しみのある子守歌のコレクションをレコーディングできたことを大変光栄に思います(オリジナル曲もありますよ!)。これらの時代を超えたメロディを聴いて、素晴らしい思い出が蘇ったり、新しい思い出を作るきっかけになったりすることを願っています。ありがとう!」

 

次ページにインタビュー続く
・『虹の彼方に』はロマンティックにプレイができるから僕にとっては子守歌
・シックリと来るメロディを作るために実際に吹きながら良いラインを探す
・67歳になった今でも毎日欠かさずに3時間は練習している

 
 CD Information
 
「イノセンス」ケニー・G

【UCCO-1241】¥2,860(税込)
Concord Records
12月1日発売
[収録曲]アカペラ・ララバイ、ロッカバイ・ベイビー、マザーズ・ララバイ、ショパン:夜想曲第2番、エーデルワイス、テンダー・ララバイ、ショパン:子守歌、キンダーラヴ、虹の彼方に、メジャー・ララバイ、ララバイ・トレス、スタジオ・シティ・ララバイ
[演奏]ケニー・G(Ss,Ts)、ゲイル・レヴァント(Harp)、ランディ・ウォルドマン(Pf,Key)、ポール・ヴィアピアーノ(Guit)、ギャヴィン・グリーナウェイ(cond)、他
 

●PROFILE本名ケネス・ゴアリック。1956年6月5日生まれ。インストゥルメンタル・ミュージック史上に輝くセールス記録を持つ米国ワシントン州シアトル出身のサックス奏者。ソプラノサックスによるメロディックで甘く切ない音色が特徴。10歳の頃からサックスの演奏を初め、グローヴァー・ワシントンJr.のコピーなどから奏法を学ぶ。大学卒業後、ジェフ・ローバーに師事しジェフ・ローバー・フュージョンの全米ツアーに参加。83年にアルバム「シティ・ライツ」でデビュー。86年にリリースした4枚目のアルバム「デュオトーンズ」からのシングル『ソングバード』が全米チャート4位を獲得する。 92年にリリースした6枚目のアルバム「ブレスレス」はグラミー賞最優秀インストゥルメンタル作曲賞を受賞、インストゥルメンタル作品にもかかわらず全世界で1,500万枚以上を売り上げ、大きな話題に。2008年にConcord Recordsに移籍しアルバム「ロマンスの足音」、2010年に「ハート・アンド・ソウル」、2012年「ナマステ」、2015年「ブラジリアン・ナイツ」、2021年に「ニュー・スタンダーズ』をリリースしている。2023年12月にニューアルバム「イノセンス」を発表する。

 
[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      
サックス