サックス記事 王道を歩み続ける正統派ハードバップ・テナー  グラント・スチュワート
  サックス記事 王道を歩み続ける正統派ハードバップ・テナー  グラント・スチュワート
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THE SAX vol.122 Cover Story┃Grant Stewart

王道を歩み続ける正統派ハードバップ・テナー グラント・スチュワート

ARTIST

日本ではまだ暑い日々が続いていることと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。どうか熱中症などに気をつけてください。ニューヨークは例年ほど気温は高くないものの、夏休みシーズンということもあり、マンハッタンには観光客がさらに増え、まさにサマーバケーション真っ只中です。さて今回は、ジャズといえばやはりテナーサックスが注目を集めますが、ニューヨークのジャズ界において王道ジャズを語るうえで欠かせないプレイヤー、 Grant Stewart氏にご登場いただきます。私自身、個人的にも大好きなプレイヤーであり、付き合いは私の10代の頃から、もう30年近くになります。

Text/Photos by Yuki Tei(yukiteiphoto.com)
IG: @yukiteiphoto and @yukiteimusic
Special Thanks: Grant Stewart, 11th St. Bar(11thstbar.com)

10歳からアルトサックスを吹き始め、14歳でテナーサックスに転向

Yuki
こんばんは。今日は演奏の前に、インタビューと写真撮影の時間をとっていただきありがとうございます。さっそくですが、育った環境や音楽との出会いなど、日本の読者の方も大変興味を持たれると思いますので、そのあたりからお話しいただけますか。
Grant
1971年生まれで、カナダのトロント出身です(トロントはカナダ最大の東部都市で、経済や文化が非常に発展しています)。家族は両親と姉が2人、弟が1人の6人家族。父が高校の英語教師であり、セミプロのジャズギタリストでもありました。ピアノも弾いていたので、私は幼いころから音楽に自然と触れて育ちました。最初に手にした楽器はピアノでした。その後、10歳の頃にイギリス出身のサックス奏者でありビッグバンドのリーダーでもあったPete Scofieldからアルトサックスを習い始めました。彼はジャズだけでなくクラシックにも精通しており、私に多くのことを教えてくれました。楽器を始めたばかりのころは、きちんとしたレッスンを受けることがとても大切だと思います。14歳で彼のビッグバンドに参加し、演奏活動を始めました。16歳でアルトサックスからテナーサックスに転向。その後、カナダで有名なテナー奏者であるPat LaBarbera、Kirk MacDonald、Phil Dwyerらからレッスンを受けました。また、Yukiもよく知っているBob Moverも当時トロントに住んでおり、彼からは音楽理論やジャズのハーモニーについて多く学びました。
でも一番効果的だったのは、やはりソロのコピーと人前での演奏ですね。いくら自宅で練習しても、実際にバンドとして人前で演奏するというのはまったく違う経験ですから。テナーを始めてからはさらにジャズを聴くようになり、よくコピーしたのはCharlie Parker、Sonny Rollins、Dexter Gordonなどでした。父がWardell Grayのファンだったので、一緒に彼のソロをコピーして練習したりもしました。
Yuki
今までに特に影響を受けたサックスプレイヤーは誰ですか?
Grant
好きなプレイヤーはたくさんいますが、あえて挙げるなら、チャーリー・パーカー、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、ジョー・ヘンダーソンあたりでしょうか。他にも多くいますけどね。若いころは、特に好きなソロがあると耳コピ(トランスクライブ)していました。コピーしたソロの数自体はそこまで多くなかったと思いますが、コピーしたものに関しては徹底的に研究しましたね。「なぜこのような音の使い方をしているのか」といったところまで。量より質、ですね。誰しも最初は憧れから入ると思うんです。それは決して悪いことではなく、むしろ良い部分はどんどん盗んでいくべきだと。音楽って、何か箱の中に隠されているものではなくて、何度も何百回も聴いていれば、ちゃんと情報として耳に入ってくるものなんです。
 

次ページにインタビュー続く
・音楽の道に進んでいなかったら、ホッケー選手になっていたかも
・多くのレジェンドたちから学んできたことを、今度は自分が後進に伝えていく番だ
・クラシックを学ぶことでジャズに対する理論やハーモニーの考え方も変わってきた

 
 
登場するアーティスト
画像

グラント・スチュワート
Grant Stewart

カナダ、オンタリオ州トロント出身。1971年6月4日生まれ。高校教師そして、セミプロのジャズギタリスト、ピアニストだった父の影響で、幼いころから音楽に親しむ環境で育ち、10代の頃から演奏活動を開始。高校卒業後、19歳でニューヨークへ移住。バリー・ハリス、クラーク・テリー、ジミー・コブなど名だたる音楽家と共演。20作を超えるアルバムを発表し、多くの賞を受賞。近年はジャズだけでなくクラシック作品でも注目を集め、ヨーロッパや北米で活動の幅を広げている。また音楽教育にも力を入れており、トライベッカ・ジャズ・インスティテュートの創設者として次世代育成にも尽力。ニューヨークを代表する王道テナーサックス奏者である。

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