THE SAX vol.93 Interview

馬場智章  NY在住の日本人ミュージシャンが集結した「J-Squad」テナー奏者

新たなる愛器ヤマハYTS-82ZSを得て、さらなる飛躍の予感

テレビ朝日系「報道ステーション」のテーマ曲を手掛けることをきっかけに、ニューヨークを拠点に活躍する日本人ジャズメン5人で結成された「J-Squad」。その最年少メンバーである馬場智章は、名門バークリー音楽大学で学んだのち、多岐に渡った音楽活動を展開している。本誌初登場の今回、自身の音楽ルーツから現在に至るまで、また愛用している楽器についても話を訊いた。
(取材協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン アトリエ東京)


 

競争社会で悔しい思いをしたからこそ、続けてこられた

――
サックスを始めたきっかけは?
馬場
伯父がアマチュアのビッグバンドでトロンボーンをやっていて、そのコンサートを見に行ったことですね。大きなホールで、演奏者もビシッと決めていて、会場全体の雰囲気に魅せられました。それまで音楽にまったく興味がなかったのに、すぐに「やりたい!」と両親に話しました。ちょうどその頃、小中学生を対象とした“札幌ジュニアジャズスクール”が発足すると聞いて、伯父のトロンボーンをもらって参加したのが、小学2年の時です。そのスクールに、現在プロとして活躍している寺久保エレナ(Sax)や石若駿(Ds)も在籍していたので、彼らと小・中学時代を共に過ごしたことは刺激になりましたし、大きな財産ですね。
――
スタートから素晴らしい環境でしたね。
馬場
週末に活動するので、音楽学校というより、楽器を持ち寄ってみんなで純粋に音楽を楽しむという入口だったのが良かったですね。2年目には、楽器のメカニックな部分に惹かれていたアルトサックスに替わって、小学5年でマイケル・ブレッカーに憧れてテナーサックスに移りました。最初に指導していただいたのが、そのスクールで音楽監督を務めていたサックス奏者の田野城寿男さんだったのもラッキーでした。音楽の技術よりも精神の話を多くしてくれて、ジャズのルーツ、ゴスペルや奴隷制度の歴史など丁寧に教えていただきました。「下手でもいいから好きにやって、その場をみんなで共有しよう!」というスタンスでしたね。

プロフィール
馬場智章
(ばばともあき)

1992年生まれ。札幌ジュニアジャズスクールにてサックスを始め、2005年バークリー音楽院タイアップの北海道グルーブキャンプを受講し、最年少で『バークリーアワード賞』を受賞。ボストンのバークリー音楽院サマープログラムに奨学生として参加。2011年バークリー音楽院に全額奨学生として入学以来、数多くのミュージシャンと共演。在学中、3度にわたり優秀賞受賞。テレビ朝日「報道ステーション」のテーマ曲をバンド“J Squad”で手掛け、これまでにアルバムを2枚リリース。現在はニューヨークを拠点に音楽と他ジャンルとのコラボレーションにも力を注ぎ、多方面で活躍している。

[使用楽器]テナーサックス:Yamaha YTS-82ZSWOF/マウスピース:SYOS/リガチャー:Wood Stone/リード:D’addario Select Jazz Unfiled 4 soft/ストラップ:BREATHTAKING


次ページにインタビュー続く
・15歳、プロになろうと思ったきっかけ
・ボストンからニューヨークへ
・「J-Squad」への加入と新たな相棒
・バークリー仕込みのとっておきロングトーン練習法!

登場するアーティスト
画像

馬場智章
Tomoaki Baba

1992年生まれ。札幌ジュニアジャズスクールにてサックスを始め、2005年、タイガー大越氏により開催されたBerklee College of Musicタイアップの「北海道グルーブキャンプ」で優秀賞受賞、2010年、テリ・リン・キャリントン(Ds)が指揮するBerklee Summer Jazz Workshopのメンバーに選抜、奨学生として参加。2011年、バークリー音楽大学に全額奨学生として入学以来、テリ・リン・キャリントン、テレンス・ブランチャード(Tp)、ジェイミー・カラム(Vo,Pf)等のグラミー・アーティストと共演。2016年から4年間 「報道ステーション」のテーマ曲を所属するバンド「J-Squad」で手掛け、UNIVERSAL MUSIC JAPANよりアルバム「J-Squad」、「J-Squad Ⅱ」を リリースし「Blue Note Tokyo」、「Fiji Rock Festival 17」にも出演。2020 年 に自身初のリーダーアルバム「Story Teller」、 2022年4月に2ndアルバム「Gathering」を発表。

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