サックス記事

田島沙彩さん ONLINE限定インタビュー

THE SAX vol.94 Special
田島沙彩,a-note

THE SAX94号の特集1で模範演奏収録や曲を演奏するための解説をしてくれた田島沙彩さん。オンラインで改めて田島さんをご紹介します!

田島沙彩,a-note

プロフィール
田島沙彩(たじまさあや)

千葉県出身。東京藝術大学音楽学部卒業。第12回ジュニアサクソフォーンコンクール 第2位。これまでにサクソフォーンを、田島和男、大森義基、冨岡和男、大城正司、平野公崇、須川展也の各氏に師事。室内楽を大城正司、有村純親の各氏に師事。現在、小中高等の吹奏楽部の講師として指導する傍ら、フリーで演奏活動を行っている。

a-note music school  https://www.a-note-school.net/

 

時間が許す限り、楽器と向かった初心者時代

――
SAXをはじめたきっかけは?
田島
サックスに出会ったのは小学校4年生です。当時はフルートが吹きたかったのですが先生から「あなたはサックスね」と言われて(笑)。サックスという楽器のことも知らなかったんですけどね。当時から身長が高かったから最初からテナー担当になりました。
――
楽器をはじめて最初に苦労した点はなんでしたか?
田島
初めてコンクールに出たのが小学校4年生のアンサンブルコンクールでしたでした。6年生の先輩の中に4年生の自分が混じって出ました。足を引っ張ってはいけないと思い、かなり練習しました。
ずっとピアノをやっていたので譜読みは問題ありませんでした。でも楽器に慣れていない状態だから思ったような良い音が出せないんです。自分の出す音と吹きたい音が一致しなくて悩みました。ピアノは個人だったので、周りの人と合わせないといけないのが初めてでしたから、そこは苦労しました。カルテットって役割分担が決まっているので、自分が吹けないとだめだとプレッシャーを感じましたね。アンサンブルは一人ひとりがいるからこそ、曲が成り立つ。でもそれをはっきりとは理解できていなかったと思います。
――
それを克服する練習はどのようにされましたか?
田島
がむしゃらに吹きまくっていました。正しい練習方法とかもわからなかったので、何回も何回も繰り返して練習しました。時間の許す限り、昼休みも早く食べて音楽室に行き、少しでも長く楽器を触ろうと。楽器と向き合う時間を増やして、まずは楽器に慣れていく練習でした。
――
最初に技術的な面でぶつかった壁とは?
田島
音色ですね。当時はリードの良し悪しもわからず、リードがよくないから良い音が出せないことが結びつかなかったんです。それに気づいたのはレッスンに通い始めてからです。レッスンは5年生頃から通い始めました。

お腹の底から息を吐き出すように

――
当時レッスンを受けてよく言われたことは覚えていますか?
田島
息の使い方とお腹の支えですね。
「腹筋を使って」とよく言わますが、それは腹筋そのものではなく、お腹周りの張りが大事なんだというのをレッスンを受け始めてから気づきました。張りとは、お腹が全方位パンパンに張っている状態です。お腹周りを風船だと思って、空気圧を出して吹く……というイメージを持ちました。最初は全然理解できなかったけど、やっていくうちに意識しなければいけないのは口だけじゃないと。
息だけではなく体全体を使って吹く。そのためには部屋の空気を全部吸い込むつもりで。ただ深呼吸するのではなく、お腹の底、下にためるイメージです。普通に吸うと体の上にしか息が入らない。そうすると重心が上に上がってしまい、音も安定しません。重心を低くして息を下のほうに一瞬で押し込むことを意識して吸う。お腹の回りを全部ふくらませるようにして、そこから少しずつ吐いていきます。
吐くときは肩に力が入ると息の通り道が狭くなるので音に響きが得られません。下に息を溜めるから底から空気を押し出せるのです。
――
アンブシュアについては?
田島
サックスはシングルリードの楽器なので、アンブシュアでリードの振動を殺さないことが大事ですね。マウスピースに直接当たる上の歯を安定させること。これはとても重要かつ意外と意識している人が少ないので要注意です。上の歯の安定により下唇を楽に当てることができます。また、唇全体でマウスピースを包み込むようにすることで、下唇を強く噛まずに楽にてることができます。口の回りの力が上下だけだと母音のイに近い形になり、アンブシュアが横に広がってしまいます。でもオの形を意識すると口の回りが丸くなり、丸のまま息を出せ、息が一点にまとめやすくなるのです。さらにオの口の形で下のほうに息を出すイメージを持つと、リードがしっかり振動し、音がしっかり出せるようになります。
――
オのとき、リードに触れていないところの口角の近くはどうなりますか?
田島
口角は筋肉を意識することですね。笑ったときに一番硬くなる部分で、そこをしっかり固めてあげる。そうすることによって、上下は大分自由がきき、全体でホールドする感じになります。ただ、歯並びなどが人によって違いますから、一概にこれが正解!とは言えないんですけど(笑)

子どもも大人も楽しんでサックスを吹いてもらえるレッスンを

――
現在a-note music schoolでレッスンを行なっていますね。レッスンについてモットーを教えてください。
田島
a-noteで私が担当する生徒さんは初心者の方が多いので、まずは楽しくやってもらうようにしています。楽器もよく知らない、サックスの音も知らない、でもサックスの見た目がかっこいい。だから吹いてみたいと思う方にも、そのイメージを壊さないようにしたいと心がけています。なるべくいい音、見本の音になれるように私自身がたくさん吹いて、耳で慣れてもらいます。その音を出すためにはこういうふうにしないといけない、とイメージを作ってもらう。ロングトーンでもまっすぐといっても初心者の方には分かりづらいんですよね。楽器をあまり知らない人でも楽器の専門的なものがわかるようにするのがモットーですね。
――
わかりやすい言葉に置き換える。
田島
たとえ話を使いながらやると、子ども大人も理解してもらえます。でも言葉ばっかりにならないように注意しています。文章がいっぱい並んでいる本って読みたくないでしょ(笑) 絵が入っていると読みやすいです。レッスンでは文章は言葉での説明、絵が私が吹いてみるということです。

今回の収録曲のアドバイス

「夢のあとに」
ゆっくりなテンポなので、あまり間延びはしてほしくないですね。ゆっくりな中でもしっかり前に進むことを考えましょう。たとえばフレーズが4小節だったら、一番の山場、聴かせどころはどこなのかを把握することです。そうでないと音楽がのっぺりしてしまいます。でないと音楽がのっぺりしてしまいます。クレッシェンド、ディクレシェンドがあり、フレーズの山のところにしっかり波がくるようにしましょう。手前に来る波と引いていく波を感じると前に進めることができます。また、細かい音が出てくるので、その動きを大事にしながら吹いていくことによって流れができます。
オクターブキィを押す上の音が多いので、音が鋭くなりがちですが、柔らかい音色で吹くことを大切にしましょう。

「糸」
原曲が歌の曲です。『夢のあとに』は音を伝える音楽ですが、『糸』は言葉を伝える音楽です。伝えるものは違いますが、楽器の音で言葉を伝えないといけません。聴いている人が歌詞が思い浮かぶようにイメージしてください。楽器を使って話すような感じですね。腹話術の人が人形を使って言葉を伝える。自分と音楽の間に何かがあるでしょう。この場合、人形が楽器です。

 

――
今回収録いただいた楽器のセッティングを教えてください。
田島
楽器はセルマーのシリーズIII。MPがセルマー170、リードはバンドーレンの青箱の3半、リガチャーがBGのプレートです。

目標は欲張らない。一つずつ積み上げていく

――
SAX初心者の方へ上達のためのアドバイスをお願いします。
田島
サックスを触ったことのない人が「一曲を吹けるようになろう」という企画を a-noteで行ないました。サックスは誰でも音が出せる楽器と言われますが、サックスは誰でも音が出せる楽器と言われますが、そのとおり取り組みやすい楽器です。もちろんつきつめれば難しい部分はありますが(笑)。 私が小学校のときにやってたけど、がむしゃらに楽器と向き合う。大人は時間がないから音は出せないけど、キィを触る。遊び感覚でマウスピースだけで吹いてみる、のようなことをやると楽器との距離も近くなると思いますよ。
――
ロングトーン、スケール……面白くないと感じてしまう方は?
田島
私は練習がきらいなタイプでした(笑)。何かをやりなさいと言われると使命感に押しつぶされて反発しちゃんです。逆に自分がやりたいと思うととことん突き詰めるので、みなさんも自分がやりたいと思う方法でやればいい。ロングトーンを8拍でやりなさい、いわれてただやるのではなく、そこに目標を作る。一日一個の進歩を考えながらやるとそんなに苦じゃないんですよ。目標はひとつずつ、欲張らず地道に続けるのが一番大事ですね。
例えば、今日はエチュードの音量を守ろうとか、アーティキュレションを守ろう、とか。音色に関しては、まず自分の好みの音を見つける。私はやさしい音が好きなので、それに合う音を出すにはどうすればいいかを考えて練習しています。
――
その音に寄せていく練習との仕方がわからない場合は?
田島
直接レッスンできるなら、私がいろんな音を吹いてみる。同じ人が吹いて、吹き方を変えるだけで、こんなに変わるというサックスの可能性を教えてあげたいですね。
――
練習は堅苦しくないほうがいいのね。課題を自分で設けていくのがいいかも。
田島
これをやらなければいけないと追い詰められると、わからなくなってしまいます。突き詰めるのも大事だけどアメとムチのアメの部分も必要ですよ。ある程度はスケジュールを決めたとしても使命感は作らないほうが楽しくずっと続けていけますよ。

田島さんの登場する、特集1「はじめよう 憧れのサックス!」 の本編はTHE SAX vol.94にてお楽しみください!

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