THE SAX vol.80-116

サックスで吹く!煌めきの洋楽ヒット

演奏活動にとどまらず、作編曲の分野においても活躍するサックス・プレイヤー山口宗真氏を講師に迎え、洋楽ヒットをサックスで素敵に吹くためのコツを、カバー名演をもとにレクチャーいただく新コーナーが80号からスタート!(解説:山口宗真)


<第1回> ⇒ THE SAX vol.80掲載
 課題曲『哀愁のヨーロッパ』

ガトー・バルビエリ ガトー

2016年4月、肺炎のために他界したアルゼンチン出身の個性派サックス奏者、ガトー・バルビエリ。氏の代表作「カリエンテ!」(1976年録音)より、『哀愁のヨーロッパ』を取り上げて、その演奏の魅力に触れながらレクチャーしていきます。

 

<第2回> ⇒ THE SAX vol.81掲載
 課題曲『アメイジング・グレイス』

カーク・ウェイラム アメイジング・グレイス クリスマス

81号の表紙を飾った、人気サックス・プレイヤー、カーク・ウェイラムによる賛美歌のカバー、『アメイジング・グレイス』を取り上げました。敬虔なクリスチャンである彼ならではの、スピリチュアルな演奏が魅力です。氏のルーツとも言える教会音楽を通して、歌心溢れるプレイの真髄に迫ってみたいと思います。

※誌面に載せきれなかった楽譜『アメイジング・グレース』の続きを見る。

 

<第3回> ⇒ THE SAX vol.82掲載
 課題曲『イズント・シー・ラヴリー』

ソニー・ロリンズ イージー・リビング

スティービー・ワンダーが、自身の娘であるアイシャの誕生日祝いとして書いた楽曲です。ここでは、ジャズテナーの巨匠、ソニー・ロリンズによるカバーを取り上げました。彼のアルバム「Easy Living」に収録されており、オリジナリティ溢れるプレイは圧巻! ここでは2コーラス目からのプレイの秘密に迫ります。

 

<第4回> ⇒ THE SAX vol.83掲載
 課題曲『遙かなる影』

ジェラルド・アルブライト PUSHING THE ENVELOPE 遙かなる影

この曲は、バート・バカラックとハル・デイヴィッドによって制作された楽曲です。1963年にリチャード・チェンバレンによって初めてレコーディングされました。1970年にカーペンターズのバージョンが発表され、同年7月25日から8月15日にかけてビルボード・Hot100で4週連続で1位を獲得し、この楽曲は一躍有名になりました。ここでは、ジャズ・フュージョン界で絶大な人気を誇る、ジェラルド・アルブライトによるカヴァーを取り上げました。

※誌面に載せきれなかった楽譜『遙かなる影』の続きを見る。

 

<第5回> ⇒ THE SAX vol.84掲載
 課題曲『フィール・ライク・メイキン・ラヴ』

レインボー Crystal Green Feel Like Makin' Love

この曲は、ユージーン・B・マクダニエルスが作詞・作曲した楽曲です。1974年にロバータ・フラックが歌い、同年8月に全米チャート1位となり、ミリオン・セラーを記録しました。今でも数多くのR&BやJazzアーティストがカバーしており、ジャム・セッションでも定番の人気曲です。ここでは、マイケル・ブレッカーをフィーチャーしたフュージョン・グループ、レインボーのアルバム「クリスタル・グリーン」より同曲を取りあげます。

 

<第6回> ⇒ THE SAX vol.85掲載
 課題曲『ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド』

エリック・マリエンサル Erick Marienthal

ビリー・ジョエルによって作曲された『New York State of Mind』(邦題『ニューヨークの想い』)は1976年に発表された「ニューヨーク物語 (Turnstiles)」というアルバムに収録されています。今回は人気サックス・プレイヤー、エリック・マリエンサルによる演奏を紹介します。この演奏は、2005年に発表されたカバーアルバム「Got You Coverd」に収録されており、オリジナルの雰囲気を大事に、エリックがヴォーカルパートをサックスで情感豊かに奏でています。

 

<第7回> ⇒ THE SAX vol.86掲載
 課題曲『ウィンター・ワンダー・ランド』

デイヴ・コーズ Dave Koz A smooth jazz christmas

この曲は1934年にリリースされたアメリカのポップスで、ビング・クロスビー、ペリー・コモ、カーペンターズ、シンディ・ローパーなど様々なアーティストにカバーされています。今号では、デイヴ・コーズのアルバム「A Smooth Jazz Christmas」の演奏を取りあげます。

 

<第8回> ⇒ THE SAX vol.87掲載
 課題曲『テキーラ』

デヴィッド・サンボーン David Sanborn Time Again

『テキーラ』は、アメリカのロックンロール・バンド the Champsによる1958年リリースのラテン風楽曲。ここでは、デヴィッド・サンボーンによる2003年のアルバム「タイム・アゲイン」より、同曲のカバーを取りあげます。

 

<第9回> ⇒ THE SAX vol.88掲載
 課題曲『ワインライト』

グローバー・ワシントンJr. Grover Washington Jr. Winelight

『ワインライト』は、1980年にリリースされたグローバー・ワシントンJr.のアルバム「ワインライト」のタイトル曲。R &B、AOR、ジャズ・フュージョンの名盤として歴史に残る作品のひとつだ。ここでは、オリジナルのグローバー・ワシントンJr.による演奏を取り上げます。

 

<第10回> ⇒ THE SAX vol.89掲載
 課題曲『ピック・アップ・ザ・ピーセス』

アヴェレイジ・ホワイト・バンド

『ピック・アップ・ザ・ピーセズ』は、アヴェレイジ・ホワイト・バンドが1974年に発表したインストゥルメンタル曲。アルバム「AWB」に収録され、翌年1975年2月にインストゥルメンタル曲としては異例の全米1位の大ヒットを記録した。ファンク系のセッションでもよく演奏される人気ナンバーだ。

 

<第11回> ⇒ THE SAX vol.90掲載
 課題曲『ドント・ノウ・ホワイ』

ケニーG ノラ・ジョーンズ

「ドント・ノー・ホワイ」(原題:Don't Know Why)は、シンガーソングライター、ジェシー・ハリスが作詞作曲を手がけ、1999年にジェシーのアルバム「Jesse Harris and the Ferdinandos」に収録された。その後ジェシーはジャズ歌手ノラ・ジョーンズに同曲を提供し、彼女の最初のスタジオ・アルバム『カム・アウェイ・ウィズ・ミー(英語版)』に収録された。またシングルとしてもリリースされ、2003年のグラミー賞において最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞(作詞作曲を手がけたジェシーが受賞)、最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞の3部門を受賞した。今回は、スムーズジャズシーンを代表するサックス奏者、ケニー・Gによるカヴァーを取り上げました。この演奏は、彼の2004年のアルバム「At Last...The Duets Album」に収録されていいます。

 

<第12回> ⇒ THE SAX vol.91掲載
 課題曲『煙が目にしみる』

コールマン・ホーキンス 煙が目にしみる

『煙が目にしみる』(原題『Smoke Gets In Your Eyes』)は1933年、ジェローム・カーンの作曲により、ミュージカル『ロバータ』のショー・チューンとして書かれたナンバー。同年10月13日に、ガートルード・ニーセンにより最初のレコード録音がなされる。1946年には、ナット・キング・コールもカヴァーし、1958年にはコーラス・グループのザ・プラターズによって、リバイバル・ヒットした。多くのジャズ・プレイヤーによって演奏され、ジャズ・スタンダードとしても広く知られている。ここでは、ジャズ・テナーの王道、コールマン・ホーキンスのバージョンを取り上げます。

 

<第13回> ⇒ THE SAX vol.92掲載
 課題曲『寂しい夜』

ジェームス・ムーディ 寂しい夜(ドント・レット・ミー・ビー・ロンリー・トゥナイト)

『寂しい夜』(原題:Don’t Let Me Be Lonely Tonight)は、アメリカのシンガーソングラ イター、ジェームス・テイラーによって作曲されました。オリジナルは 1972 年にリリー スされた彼のアルバム「One Man Dog」に収録されています。この曲は、ビルボード チャートでは14位と奮いませんでしたが、彼の幅広い実力を魅せてくれた傑作です。 全体的にとても「ジャズ感覚」にあふれ、それまでフォークでカントリーの要素が強 かったのが一転、「都会派」の部分も感じさせるような楽曲です。「今夜だけは僕を一 人にしないで」と、去りゆく恋人に哀願する男の気持ちを歌っており、オリジナルの間 奏部分ではマイケル・ブレッカーのサックスが、これ以上ないほどのジャズ・フィーリン グでロマンチックに盛り立ててくれて秀逸です。今回は、ジャズ・サックス奏者 James Moody の演奏を取り上げました。

 

<第14回> ⇒ THE SAX vol.93掲載
 課題曲『くよくよするなよ!』

ボニー・ジェイムス,くよくよするなよ!,Don't You Worry 'Bout A Thing

『くよくよするなよ!』(原題:Don't You Worry 'Bout A Thing) は、スティーヴィー・ワンダーの1973年のアルバム「インナーヴィジョンズ」からのシングル曲です。「インナーヴィジョンズ」は前作「トーキング・ブック」、次作「ファースト・フィナーレ」とともに三部作と呼ばれ、スティーヴィーのクリエイティヴ・ピーク時の傑作として名高いアルバムです。グラミー賞でも最優秀アルバムに輝いています。シングル『くよくよするなよ!』は「ビルボード」誌のナショナルチャートで16位まで上昇し、R&Bチャートでは2位に達しました。また、日本では1992年にインコグニートがカバーしたヴァージョンでも知られています。スティーヴィーのオリジナルは、サルサ調のややスローなダンス・ナンバーですが、今回はスムース・ジャズのスター・プレイヤー、ボニー・ジェームスによるソプラノでのスウィートなテイクを取り上げました。

 

<第15回> ⇒ THE SAX vol.94掲載
 課題曲『チェンジ・ザ・ワールド』

ジェラルド・アルブライト,チェンジ・ザ・ワールド,Change The World

「チェンジ・ザ・ワールド」 (Change the World) は、アメリカのミュージシャンであるトミー・シムズ、ゴードン・ケネディ、ウェイン・カークパトリックが制作した楽曲です。この曲を最初にリリースしたのは、アメリカの女性カントリー歌手であるワイノナ・ジャッドで、彼女が1996年2月にリリースしたアルバム「Revelations」に収録されました。1996年の映画「フェノミナン」のサウンドトラックに収録されたエリック・クラプトンが歌ったバージョン(ベイビーフェイスがプロデュース)は、グラミー賞の最優秀レコード賞・最優秀楽曲賞・最優秀ポップ男性ボーカル賞を受賞。1997年5月には、全米シングルチャートで最高5位を記録しました。また、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは1位を13週も記録し、1年半もの間チャート内に居座る当時としては珍しいロングヒットとなりました。今回はスムースジャズ界の頂点に立つサックス奏者であるジェラルド・アルブライトの演奏を取り上げました。

 

<第16回> ⇒ THE SAX vol.95掲載
 課題曲『マーシー・マーシー・ミー』

グローヴァー・ワシントンJr.,マーシー・マーシー・ミー,Mercy Mercy Me

『Mercy Mercy Me (The Ecology)』(邦題:マーシー・マーシー・ミー)は、マーヴィン・ゲイが1971年に作詞作曲し発表したナンバーです。1971年5月21日に発売された名盤の誉れ高いアルバム「ホワッツ・ゴーイン・オン」に収録され、同年6月10日にシングルカットされました。同年8月21日から8月28日にかけて全米ナショナル・チャートで2週連続4位を記録、ソウル・チャートにおいては2週連続で1位を記録、また、珍しいところではイージーリスニング・チャートにもチャートインし34位を記録しました。 副題に「The Ecology」という言葉が使われているとおり、環境問題をテーマにした楽曲です。ロバート・パーマーやマイケル・マクドナルド、ボーイズⅡメンなど多くの有名アーティストによってカバーされました。日本では、2003年にトヨタ自動車「ラウム」のCMソングとして起用されました。

 

<第17回> ⇒ THE SAX vol.96掲載
 課題曲『明日に架ける橋』

グローヴァー・ワシントンJr.,マーシー・マーシー・ミー,Mercy Mercy Me

『明日に架ける橋』(原題:Bridge Over Troubled Water)は、サイモン&ガーファンクルが1970年に発表した楽曲。彼らにとって3作目となる全米1位獲得シングルで、最大のヒット曲となりました。アルバム「明日に架ける橋」と同時期にシングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100で6週連続1位を獲得。全米年間チャートの1位に輝きました。さらにイギリスでも3週連続で1位に。グラミー賞では、最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を含む4部門を受賞。アルバムも、最優秀アルバム賞と最優秀録音賞を受賞しました。数多くのアーティストにカヴァーされスタンダードとなり、1971年には、アレサ・フランクリンによるカヴァー・ヴァージョンがシングル・ヒットしてBillboard R&Bチャートの1位を獲得しました。日本では同曲がヒットした1970年に、森山良子が「第21回NHK紅白歌合戦」で歌唱し、1971年のアルバム「ビートルズ、サイモン&ガーファンクルを歌う」に収録しました。サイモン&ガーファンクル解散後も、同曲はポール・サイモンとアート・ガーファンクルそれぞれのライブで歌われています。1990年には、ポールが「第41回NHK紅白歌合戦」に中継で出演し、この曲を歌いました。

 

<第18回> ⇒ THE SAX vol.97掲載
 課題曲『マック・ザ・ナイフ』

グローヴァー・ワシントンJr.,マーシー・マーシー・ミー,Mercy Mercy Me

『マック・ザ・ナイフ(原題:Mack The Knife)』は、1928年初演の舞台『三文オペラ』の劇中歌『メッキー・メッサーのモリタート』が原曲であり、作曲者はクルト・ワイルで、ドイツ語歌詞はベルトルト・ブレヒトです。ルイ・アームストロングが1955年にシングル『マック・ザ・ナイフ』を発表。1997年にグラミーの殿堂入りを果たしました。そして、ボビー・ダーリンが1959年にシングル『マック・ザ・ナイフ』をリリースし、全米第1位を9週間記録する大ヒットとなったことで広く知られる曲となりました。翌1960年には、この曲でボビー・ダーリンはグラミー賞の最優秀レコード賞を獲得しています。ちなみに、この当時の邦題は『匕首マック』でした。ボビー・ダーリンの『マック・ザ・ナイフ』も1999年に殿堂入りしています。1960年2月にはエラ・フィッツジェラルドが西ベルリン公演で『マック・ザ・ナイフ』を歌いましたが、この公演を収めたアルバム「マック・ザ・ナイフ-エラ・イン・ベルリン」もまた1990年にグラミーの殿堂入りしています。

 

<第19回> ⇒ THE SAX vol.98掲載
 課題曲『ホワッツ・ゴーイン・オン』

ホワッツ・ゴーイン・オン,What's Going On

『ホワッツ・ゴーイン・オン(原題:What’s Going On)』は、アメリカ合衆国の歌手マーヴィン・ゲイが1971年に発表した楽曲です。作詞・作曲はマーヴィンと、アル・クリーヴランド、レナルド・ベンソンの3人による共作です。共作者の1人であるレナルド・ベンソンは、サンフランシスコで反戦運動を行なっていた若者と警官隊の衝突を目撃し、それを元に歌詞を書き始めました。後に、この曲を聴いたマーヴィンがタイトルを考え、歌詞を追加し、さらにメロディの装飾も加えて完成させました。 マーヴィン自身は当時の心境について、自分の周りの社会情勢とベトナム戦争に出征していた弟からの手紙から強い影響を受けたと語っています。レコーディング終了後、モータウンレコードの社長ベリー・ゴーディはこの曲を嫌い、シングルのリリースを拒否しました。しかし、ゴーディがダイアナ・ロスの売り出しに注力していた隙を突いて、シングルのリリースが決行されました。初回プレス盤10万枚はすぐに売り切れ、ゴーディも考えを改めて再プレスの指示を出したそうです。アメリカではBillboard Hot 100で3週にわたり2位、BillboardのR&Bシングル・チャートで5週にわたり1位となり、当時のモータウンとしては最速の売り上げを記録しました。

 

<第20回> ⇒ THE SAX vol.99掲載
 課題曲『ノック・オン・ウッド』

sax for stax

『Knock On Wood(ノック・オン・ウッド)』は1967年に発売されたエディ・フロイドの デビューアルバム「ノック・オン・ウッド」のオープニングを飾るナンバーです。ビルボー ドのR&B チャートの1位を記録していて、エディ・フロイドの代表曲というだけでなく、初期スタックス・レーベル、そしてメンフィス・ソウルを代表する一曲でもあります。 この曲に影響を受けカバーしたアーティストも同じサザン・ソウル・シンガーのウィルソン・ピケットやオーティス・レディング、ジャズ・シンガーのエラ・フィッツジェラルドなど数えきれないほどです。タイトル曲以外にも同アルバムには有名な曲が収録されています。『634-5789』はエディがウィルソン・ピケットのために書いた大ヒット曲で、映画「ブルース・ブラザーズ 2000」では、エディとウィルソンがこの歌を共演しています。シングル としてヒットした『Raise Your Hand』もジャニス・ジョプリンやブルース・スプリングスティーンに歌われました。

 

<第21回> ⇒ THE SAX vol.100掲載
 課題曲『ワンハンドレッド・ウェイズ』

straight to the heart

『ワンハンドレッド・ウェイズ』は1981年にA&M Recordsよりリリースされたクインシー・ジョーンズのアルバム「The Dude(邦題:愛のコリーダ)」に収録されている楽曲で、ジェームス・イングラムのヴォーカルがフィーチャーされています。ジェームス・イングラムはクインシーに実力を認め られて「クインシーの秘蔵っ子」と呼ばれていたヴォーカリストですが、2019 年に惜しくもこの世を去りました。『ワンハンドレッド・ウェイズ』は1981年にシングルカットもされ、Billbordチャートでも上位に食い込み、翌年1982年にはグラミー賞のBest R&B Vocal Performanceを受賞しました。40年近くが経っても未だ色褪せることのない、とても美しい楽曲です。ちなみに、この原曲ではアーニー・ワッツがサックス・ソロを吹いています。

 

<第22回> ⇒ THE SAX vol.101掲載
 課題曲『イフ・アイ・エイント・ガット・ユー』

just getting

『If I Ain’t Got You』は2003年に発売されたアリシア・キーズのセカンドアルバム「The Diary of Alicia Keys」に収録されている楽曲です。この曲には2001年に亡くなったR&Bシンガーのアリーヤが事故死したことや、911のアメリカ同時多発テロ事件に対する彼女の想いや、彼女の生き様がメッセージとして込められています。2004年にはシングルカットされ、ビルボードチャートでも上位に食い込み、2005年にはグラミー賞の2部門にノミネートされ、Best Female R&B Vocal Performanceを受賞しました。数多くのミュージシャンがカバーしていることも、この楽曲の素晴らしさを物語っています。

 

<第23回> ⇒ THE SAX vol.102掲載
 課題曲『ラ・バンバ』

KICJ-2478

『ラ・バンバ(La Bamba)』は、メキシコの民謡を元に作られた楽曲。1950年代から1980年代にかけて様々なアーティストが取り上げて世界的に有名なナンバーになりました。1987年7月、ロックンロールのスター歌手リッチー・ヴァレンスの自伝映画「ラ★バンバ」の主題歌として、ロス・ロボスがカバー。ロス・ロボスは約30年ぶりに『ラ・バンバ』を大ヒットさせることとなりました。アメリカのビルボード誌の集計でシングル全米1位となったのを皮切りに、オーストラリア、フランス、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、スイス、イギリスなどでもヒットチャートの1位を獲得しました。数多くある『ラ・バンバ』のカバーの中でビルボードのシングルチャートで1位になったのは、このロス・ロボスのヴァージョンだけです。

 

<第24回> ⇒ THE SAX vol.103掲載
 課題曲『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』

Ballads of Motown

『For Once In My Life』はロン・ミラーとオーランド・マーデンによって作曲され、1965年に発表されました。スローバラードとして描かれたこの曲はフランク・シナトラやサミー・デイヴィス・ジュニアなど数多くのアーティストによってカバーされました。1968年にはスティーヴィー・ワンダーが同楽曲を収録したアルバム「For Once In my Life」をリリースし世界的にヒットしました。270を超えるヴァージョンが発表されたというこの楽曲は、近年ではマイケル・ブーブレがヒットアルバムの中で歌い、トニー・ベネットが新たにスティーヴィー・ワンダーとデュエットとしてレコーディングしたバージョンを含んだアルバムが2007年のグラミー賞に輝きました。

 

<第25回> ⇒ THE SAX vol.104掲載
 課題曲『アイ・ガット・ユー(アイ・フィール・グッド)』

Joshua Redman

『アイ・ガット・ユー(アイ・フィール・グッド)』は“ファンクの帝王”あるいは“ゴッドファーザー・オブ・ソウル”とも称されるJBことジェームス・ブラウンの代表曲です。JB自らのペンによる本ナンバーは、1965年に発表されR&Bチャートで1位、全米ナショナルチャートで3位を記録。JBのキャリア最大ヒット曲となりました。レコーディングにはJBバンドのメンバーだったメイシオ・パーカーも参加しています。無数のカバーやサンプリング使用がありますが、近年ではデイヴ・コーズ、ミンディ・エイベア、リチャード・エリオット、ジェラルド・アルブライトのコラボ・アルバム「Summer Horns」で取り上げられています。ローリングストーン誌が選ぶ「史上最も偉大な500曲」で78位にランキングされています。

 

<第26回> ⇒ THE SAX vol.105掲載
 課題曲『アイ・キャント・メイク・ユー・ラヴ・ミー(夕映えの恋人たち)』

Truest Heart

『I Can’t Make You Love Me』は、ナッシュビルのカントリー・ミュージック界で活動するマイク・リードとアレン・シャンブリンにより作られたナンバーで『夕映えの恋人たち』の邦題もあります。この曲を広く知らしめたのは、何と言ってもアメリカのブルース、フォーク、カントリー界を代表するシンガー&ギタリストであるボニー・レイットでしょう。1991年に発表したアルバム「ラップ・オブ・ザ・ドロウ」にブルース・ホーンズビーのピアノをバックに収録し、シングルカットもされました。その後、このヴァージョンをベースにした数々のカバー・ヴァージョンが生み出されました。シンガーでは、ジョージ・マイケル、ボーイズⅡメン、アデルなど。そしてサックス奏者ではキャンディ・ダルファーが取り上げたことが、つとに有名ですが、ネルソン・ランジェルも同時期にカバーしていました。

 

<第27回> ⇒ THE SAX vol.106掲載
 課題曲『フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー』

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『フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー』は、1957年にオハイオ州シンシナティで結成された兄弟グループ、アイズレー・ブラザーズの代表曲です。当初はオーケリー、ロナルド、ルドルフの3兄弟によるヴォーカル・グループとして活動していましたが、徐々に楽器担当のメンバーも迎え入れてファンク・バンドへと変化していきます。1973年にはアイズレー兄弟のアーニー、マーヴィンと従兄弟のクリス・ジャスパーが加わり6人組バンドとして人気を博するようになります。その時代のアルバム「ヒート・イズ・オン」(1975年)に収録されたバラードが、この『フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー(原題:For The Love Of You(Part 1 & 2))』です。ホイットニー・ヒューストンを始めとして多くのシンガーのカバーがありますが、サックス奏者も何人かが取り上げています。その中でもダントツに有名なのが、キャンディ・ダルファーのヴァージョンでしょう。通算4枚目のアルバムでタイトルも同名の「フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー」に収録して、スマッシュ・ヒットを記録しました。現在では、彼女の代表的なレパートリーのひとつとなっています。

 

<第28回> ⇒ THE SAX vol.107掲載
 課題曲『ビゲスト・パート・オブ・ミー』

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『ビゲスト・パート・オブ・ミー』は、1970年からロサンゼルスで活動を開始したロック・グループ、アンブロージアの代表曲です。当初は米国西海岸では珍しいプログレッシブ・ロックを主体とした音楽性を売りにしていたアンブロージアでしたが、徐々に耳馴染みの良いポップなサウンドへと変化していきにソフト・ロックと呼ばれるジャンルにカテゴライズされるようになりました。日本では1970年代の後半から80年代の前半にブームを巻き起こしたAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)のグループとしても認知されています。1980年にリリースされた彼らの4枚目のアルバム「ワン・エイティ(真夜中の晩餐会)」に収録された『ビゲスト・パート・オブ・ミー』はメンバーのデヴィッド・パックが作曲したナンバーです。ミドル・テンポの爽やかでソウルフルな曲調にコーラスワークも冴える同曲は、ビルボードのアダルト・コンテンポラリー・チャートとナショナル・チャートで、いずれも3位まで上るヒットを記録しました。カバーでは、ヴォーカル・グループTAKE6のヴァージョンが有名ですが、サックスでは名手トム・スコットが取り上げています。

 

<第29回> ⇒ THE SAX vol.108掲載
 課題曲『炎のランナーのテーマ』

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『炎のランナーのテーマ』は1981年に公開されたイギリス映画「炎のランナー」のサウンドトラックとして作られた同映画のテーマ曲です。ヒュー・ハドソン監督による本作は第54回アカデミー賞で作品賞、および脚本賞や作曲賞も受賞しました。音楽を担当したのはギリシャ出身のシンセサイザー奏者・作曲家のヴァンゲリス。「炎のランナー」の音楽でブレイクを果たしたヴァンゲリスは、その後のニュー・エイジ・ミュージックのブームでも顔役の一人として認知されるようになりました。また、本作の翌年にはリドリー・スコット監督の「ブレードランナー」でも音楽を手掛けて、さらに評価を高めました。1981年にリリースされた「炎のランナー」のサントラ・アルバムはビルボードのチャートで4週連続1位となりました。タイトル曲もシングルカットされて同ナショナル・チャートで1位を獲得。インストゥルメンタルのナンバーとしては異例のヒットとなりました。日本でもランニングするシーンのBGMなどによく使用され、耳馴染みのあるメロディとなっています。カバーではジョン・アンダーソンやメリサ・マンチェスターが歌詞をつけて歌っていますが、ダンス・ヴァージョンに仕立てたアーニー・ワッツのサックスでのカバーも秀逸です。

 

<第30回> ⇒ THE SAX vol.109掲載
 課題曲『キャント・ハイド・ラヴ』

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『キャント・ハイド・ラヴ』はディオンヌ・ワーウィックやパティ・ラベルといった大物にも楽曲提供しているR&B系のソングライター、スキップ・スカボロウのペンによるナンバーです。オリジナルは1973年にクリエイティヴ・ソースというLAの男女混声ヴォーカル・グループに提供したものです。が、この曲の知名度を一気に上げたのは1975年にリリースされたアース・ウインド&ファイアーのアルバム「GRATITUDE(邦題:灼熱の狂宴)」に収録されたバージョンでしょう。このライブ盤にボーナストラック的にスタジオ録音の『キャント・ハイド・ラヴ』が収められました。このアースのカバーにより、ジャズシンガーのカーメン・マクレエやトランペットのエイゾー・ローレンスらが次々と同曲を取り上げました。今や大プロデューサーとなったアースとも関わりの深いデヴィッド・フォスターも自身のプロデュース作品の二つに当時この曲を取り上げています。ひとつが女優シンガーのジェイ・P・モーガンが1976年にリリースしたアルバム。そしてもう一つが先述ディオンヌ・ワーウィックの1982年作「フレンズ・イン・ラヴ」です。そして1986年にはナジーが自身のデビュー作に収録しました。さらに時代を経て、ディアンジェロも1998年のライブ盤「LIVE AT THE JAZZ CAFE」でカバーを披露しています。

 

<第31回> ⇒ THE SAX vol.110掲載
 課題曲『ノー・オーディナリー・ラヴ』

A HOME FAR AWAY

『ノー・オーディナリー・ラヴ』はヴォーカリストのシャーデー・アデュがフロントに立つイギリスの伝説的なバンド、シャーデーのヒット曲です。ジャズとソウルの要素をポップに消化した音楽性で1984年にシーンに登場したシャーデーは、当時MTVの発達などをきっかけに起こった第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれるUKポップのブームにも乗って、瞬く間にスターダムを駆け上がりました。『ノー・オーディナリー・ラヴ』が収録された「ラヴ・デラックス(LOVE DELUXE)」は彼女たちにとって4枚目のアルバムで1992年にリリースされた作品です。そこからのリード曲として同年の9月に『ノー・オーディナリー・ラヴ』はシングルでリリースもされています。作者はシャーデー・アデュとシャーデーでギターやサックスを担当するスチュアート・マシューマンの共作というクレジットになっています。アルバムは全米チャートで最高3位、全英チャートで最高10位を記録しました。カヴァー・ヴァージョンも多数存在しますが、ヴェスタ・ウィリアムスやマーシャ・ハインズなど、やはり同じR&B系の女性シンガーが多く取り上げているようです。その他ではAOR系の男性シンガーのリチャード・マークス、そしてインストではソプラノサックスの名手ジョージ・ハワードが1994年の自身のアルバムに収録しています。

 

<第32回> ⇒ THE SAX vol.111掲載
 課題曲『ジャスト・マイ・イマジネーション』

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『ジャスト・マイ・イマジネーション』は、1960年代のモータウン・レーベルで看板アーティストだったヴォーカル・グループ、テンプテーションズが1971年に放ったヒット曲です。ビルボードのナショナルチャートでは2週連続1位を記録しました。当時の邦題は『はかない想い』。1978年にはローリング・ストーンズがカバーして話題になりました。その他、オーティス・レディング、ロッド・スチュワート、マドンナ、ボーイズⅡメンなどポップ界の大物や、インストではギタリストのラリー・カールトンなど多くのアーティストがカバーしています。テンプテーションズはシャウターのデヴィッド・ラフィンとファルセッターのエディ・ケンドリックスという2枚看板を擁する5人組で、スモーキー・ロビンソンやホランド=ドジャー=ホランドなどモータウンの作家陣に提供された楽曲で60年代に数々のヒットを飛ばしました。1968年にはデヴィッド・ラフィンが脱退し、デニス・エドワーズが新加入。直後に出されたアルバム「クラウド・ナイン」は当時台頭していたサイケデリック・ロックの要素を取り入れた新機軸作となりました。このアルバムに大きく関与したのが、やはりモータウンのお抱えソングライターであったノーマン・ホイットフィールドで、この『ジャスト・マイ・イマジネーション』もホイットフィールドによって書かれたナンバーです。

 

<第33回> ⇒ THE SAX vol.112掲載
 課題曲『僕の歌は君の歌』

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『僕の歌は君の歌(原題:Your Song)』は、1970年代のロック&ポップス・シーンを代表するスーパースターであるイギリスのシンガー・ソングライター、エルトン・ジョンの代名詞的な大ヒット曲です。作曲はエルトン本人、作詞はエルトンとのコンビで多くの名曲を生み出しているバーニー・トーピンです。最初にこの曲をリリースしたのは『ジョイ・トゥ・ザ・ワールド』などのヒットで知られるアメリカのロック・バンド、スリー・ドッグ・ナイトでした。その後、エルトン自身も1970年のアルバム「ELTON JOHN(邦題:僕の歌は君の歌)」に収録しました。ビルボードのナショナル・チャートでは最高8位を記録。全英シングル・チャートでも最高7位をマークしました。2002年にはオペラ歌手アレッサンドロ・サフィーナとのデュエット・ヴァージョンも発表され、この時には全英4位まで上昇しました。また、2010年の第52回グラミー賞ではレディ・ガガとの共演で同曲をパフォーマンスしています。カバー・ヴァージョンは無数あり、ロック系ではロッド・スチュワート、ジャズ系ではアル・ジャロウといった大物をはじめ、時代やジャンルを問わず多数のアーティストが取り上げています。日本でも自動車のCMやドラマの主題歌などに使用され、お茶の間でもお馴染みのナンバーとなっています。

 

<第34回> ⇒ THE SAX vol.113掲載
 課題曲『ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー』

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『ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー』は、1950年代のリズム&ブルース〜ソウル・シーンをジェームス・ブラウン、サム・クック、ジャッキー・ウィルソンらとともに牽引したシンガーでピアニストのレイ・チャールズのペンによるナンバーです。1953年にリリースされ、R&Bチャートで5位まで上るヒットを記録しました。レイ・チャールズは「盲目の天才」「ソウルの神様」「ブラザー・レイ」などといった呼び名で名声を博し、スティーヴィー・ワンダーをはじめとした後進からも多くの尊敬を集めています。日本ではウイスキーのテレビCMのために収録したサザンオールスターズ『いとしのエリー』の英語詞カバー『Ellie My Love』で一躍知名度がアップしました。『ハレルヤ・アイ・ラヴ・ハー・ソー』も多くのアーティストにカバーされており、ロックではエディ・コクランやビートルズにアニマルズ、ジャズではフランク・シナトラやペギー・リーにエラ・フィッツジェラルド、R&B/ソウル系ではスティーヴィー・ワンダーなどなど、幅広いジャンルの名シンガーたちが取り上げています。インストゥルメンタリストがカバーした例もいくつかあり、ピアニストのジョー・サンプル、そしてサックスでは、デヴィッド・サンボーン(ジェームス・テイラーとの共演)と今回のメイシオ・パーカーなどがよく知られています。

 

<第35回> ⇒ THE SAX vol.114掲載
 課題曲『愛のテーマ』

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『Love’s Theme(愛のテーマ)』は、テキサス州ガルベストン出身のシンガー・ソングライターでプロデューサーのバリー・ホワイトが1973年に結成したラブ・アンリミテッド・オーケストラのナンバーです。1973年11月にシングルとしてリリースされると、1974年2月には全米1位を獲得する特大ヒットとなりました。ラブ・アンリミテッドはバリー・ホワイトがプロデュースする3人組女性コーラス・グループで、バリー自身も低音ヴォイスがトレードマークの名歌手ですが、この曲はストリングス主体のインストゥルメンタルで作られています。その後、歌詞をつけてラブ・アンリミテッドが歌ったヴォーカル・ヴァージョンも発表されました。また、ラブ・アンリミテッド・オーケストラには、デヴィッド・T.ウォーカー、ワーワー・ワトソン、レイ・パーカーJr.、リー・リトナー、ネイザン・イースト、そしてウィルトン・フェルダーやアーニー・ワッツなどなど、後にR&Bやフュージョンのシーンを賑わす面々が在籍していました。日本では航空会社のCMで使用されたのを始め、テレビなどで頻繁に流されているので耳にしたことのある人も多いでしょう。スムース・ジャズ・サックスの雄キム・ウォーターズが、2004年リリースのアルバム「In The Name Of Love」で、この曲をカバーしています。

 

<第36回> ⇒ THE SAX vol.115掲載
 課題曲『Send One Your Love(愛を贈れば)』

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『Send One Your Love(愛を贈れば)』は20世紀のポピュラー音楽界が生んだ最大の天才と呼んでも過言ではないシンガー・ソングライターでキーボード奏者(ハーモニカやドラムなど他に複数の楽器もプレイする)スティーヴィー・ワンダーのペンによるナンバーです。スティーヴィーは1950年5月13日に米国ミシガン州で生まれました。生まれてすぐに視力を失い幼い頃からピアノを始めとした楽器を習得。4歳で移住したデトロイトに本拠を置くモータウン・レーベルからリトル・スティーヴィー・ワンダーのステージ・ネームで1962年に12歳の時にデビューしました。その後70年代までは毎年のようにアルバムをリリースし、「トーキング・ブック」や「キー・オブ・ライフ」など数多くの名作はグラミー賞に輝きました。そして、1979年に発表した植物をテーマにしたドキュメンタリー映画のサウンドトラック・アルバム「シークレット・ライフ」に収録されたのが、この『Send One Your Love(愛を贈れば)』です。映画の内容にも沿って「バラの花束とともに愛を贈ろう」と歌われるロマンティックなミディアム・スロー・チューンとなっています。もちろん無数のカヴァーがありますが、サックスではボニー・ジェームス、そして今回ピックアップしたアート・ポーターが取り上げていることが知られています。

 

<第37回> ⇒ THE SAX vol.116掲載
 課題曲『ハイアー・グラウンド 』

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『Higher Ground』は現在まで30曲以上の全米トップ10ヒットを放ち、計22部門でグラミー賞を受賞(男性ソロアーティスト最多)している20世紀のポピュラー音楽界で最も偉大な天才、スティーヴィー・ワンダーが1973年に発表した楽曲です。1972年リリースの「トーキング・ブック」と1974年に発表された「ファースト・フィナーレ」とともにクリエイティヴ・ピークを迎えつつあった時期の三部作とも呼ばれる1973年のアルバム「インナーヴィジョンズ」に収録されました。作詞、作曲、編曲だけにとどまらず、歌はもちろん楽器もすべてスティーヴィー自らによる演奏でレコーディングされています。トレードマークの一つであるホナーのクラビネットや、当時はまだ珍しかったモーグのシンセサイザーを使ったベースライン、さらにドラムやパーカッションまでをこなしながら、なんと「すべてを3時間で作った」と本人が語ったという逸話も残されています。カヴァー・ヴァージョンはもちろん無数に存在しますが、惜しくも昨年この世を去ったティナ・ターナーが夫婦デュオ、アイク&ティナ・ターナーで1974年にいち早く取り上げています。その他、レッド・ホット・チリ・ペッパーズも代表作「母乳」に収録。サックス奏者としては今回のブランドン・フィールズが比較的近年にカヴァーを試みています。

 
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