サックス記事

Interview_中村有里

THE SAX ONLINE 限定記事

従来のクラシック奏者としての演奏活動をはじめ、多くの劇伴やアーティストのレコーディングへの参加。また女性インストゥルメンタルバンドFabrhyme(ファブライム)やサックスと三味線がフロントを務めるバンドCappen(カッペン)などで、ジャンルにとらわれず精力的に演奏活動を繰り広げる中村有里さん。
 ソプラノから、アルト、テナーのサックスの他、2019年9月に発売されたムック本「一冊丸ごとウィンドシンセの本」では、ウィンドシンセサイザー“エアロフォン”の奏法解説や付属CDへの収録など、ナビゲターとして登場いただいている。
そんなマルチリードプレイヤーとしても益々活躍の場を広げる中村有里さんを、今回、「THE SAX」本誌より一足先にご紹介しよう。

音大付属高校でピアノからサックスへ転向

サックスを始めたきっかけは?
中村
国立音楽大学を出ているんですが、附属の幼稚園から通っていて、大学院まで行ったので、フルコースみたいな感じです(笑)。最初はピアノから始めたんですが、管楽器をどうしてもやりたくなったので、中学生になったらブラスバンド部に入ろうと考えていたんです。そのときは見た目的に華のあるサックスかフルートで迷っていたんですが、そんなに女の子っぽい性格でもなかったので、サックスを絶対にやろう!と決めました。
 
 
そのために小学校6年のときに「中学に入ったらサックスやりたいから、サックス買って!」と両親にねだって買ってもらいました。それで、中学のブラスバンドを優位に始めたいと思い(笑)、小6から音楽教室でサックスを習いはじめました。中学でブラスバンドに入部の際に「私サックス持っています」とアピールして、サックスパートに入れてもらいました。
とはいえ中学でもピアノは一生懸命やらないといけなかったので、続けていたんですが、だんだんサックスに割く時間が多くなってきたので、転科しようか悩んだのですが、決心がつかず、高校はそのままピアノ科で進学しました。でもどうしても思いが断ち切れず、高校2の時に一大決心をして転科をしました。それからはずっとサックス一本でやっています。私が通っていたころの国立は学年が変わるタイミングで転科試験が受けられたので、それを利用しました。
試験の課題曲とか大変ではなかった?
中村
今はわからないですけど、私のときは課題曲はなく自由曲だけだったので、サックスの先生に相談をして曲を決めていただいたので、それで試験を受けました。
音大受験は?
中村
附属で、内部受験だったので2回ぐらいの試験をクリアすれば良くて、秋ぐらいには決まっていました。
師事された先生はどなたですか?
中村
高校は滝上典彦先生で、今も国立で指導していらっしゃいます。大学では下地啓二先生で、とても良くしていただきました。大学院では雲井雅人先生にずいぶんとお世話になりました。
国立音大時代はクラシック以外にも他のジャンルでの演奏や活動をしていましたか?
中村
そのときはクラシックの勉強に必死で、大学ではそこに一点集中してはいたのですが、もともとR&BやEDMといったジャンルも好きで聴いていました。でも、音大公認のNEWTIDE JAZZ ORCHESTRAに入ってジャズの勉強とかはせず、独学でそういったジャンルの勉強はしていました。
ニュータイドに入らなかったのはなぜですか?
中村
クラシックもしっかりやりたかったので、時間を自分で組みたかったというのがあります。そういった中でジャズやポップスといったジャンルの勉強は独学でやっていました。
学生時代はそれほどジャズ方面に進む気はなかったのですが、大学から大学院にかけて、ジャズピアニストの松永貴志さんにお世話になって、「いまここで吹け」みたいな感じでいろいろ引きずり回していただき(笑)、鍛えられたというのはありますね。
ではクラシック以外は独学なんですね?
中村
そうですね、レッスンに通って……というのはないのですが、いろいろなミュージシャンの方々から機会ごとに学ばせていただきました。その中でもPE’Zの門田“JAW”晃介さんが先輩だったので、色々と教えていただきました。

ムード歌謡との出会い

クラシックをはじめ、多方面でご活躍の中村さんですが、それぞれのジャンルのプレイヤーとの出会い、また演奏するようになったきっかけを教えてください?
中村
最近の活動で言えばムード・サックスになると思うのですが、ムード・サックスを演奏するきっかけは、ポニーキャニオンの山内さんという方です。山内さんと私が所属していた事務所の社長がレコード会社時代の先輩後輩の関係だったらしく、山内さんに紹介してくださったのが最初です。
それで、お仕事させていただいたのが、ポニーキャニオンさんからリリースされているムード歌謡CDのレコーディングだったんです。
ムード歌謡CDのレコーディング以前に演奏はされていたんですか?
中村
それこそ学生時代に、老人ホームや施設などの訪問演奏では吹いていたんですが、ガッツリ歌謡曲というのはやったことがなかったので、歌詞を掘り下げて情景を表現するといったような作業は、そのレコーディングで取り組みました。
ムード・テナー奏者の沢中健三さんとの出会いはそのレコーディングで?
中村
そうですね、山内さんと沢中さんがずっと一緒にムード歌謡のCDをシリーズで作られていて、一度そのCDにゲスト演奏で入ってみない?と、お声がけいただいたことからはじまり、つぎに私もガッツリ一緒に収録に参加したCDをリリースしてという流れです。その後、沢中さんのライブや演奏会もご一緒させていただいています。
演奏するスタイル、ジャンルなどで楽器のセッティングも変えられていますね。
中村
セッティングはいくつか持っているので、演奏ジャンルによって変えています。やはりクラシックとジャズでは違います。ジャズと歌謡曲はほぼ一緒かな。
ムード歌謡に限らず、サックス自体、感情表現豊かな楽器と言われていますよね。
中村
ピアノの表現はものすごく広いんですが、サックスはまたそれとは違って、楽器に息を吹き込むことで自分そのものが表現されるという感じがあって、そこに惚れましたね。
がんばったらそれだけ大きな音が出ますよね。ピアノにはそういうのがないということではないのですが、自分が素直に表現できるのはサックスだなぁと思っています。それでピアノよりサックスにハマっちゃいましたね。

サックスと三味線の進化したインストユニット

サックスと三味線のインストユニット「Cappen(カッペン)」についての演奏活動内容や、ユニット結成のいきさつは?
中村
所属事務所から「サックス一本より少し趣向を変えてみないか?」と言われて三味線奏者を探してユニットを結成しました。
これからもっと活動していくユニットなので、色々試しつつ、ワンマンのライブもどんどん組んでやっていきたいなと思っています。楽曲はすべてオリジナルで、少しEDM要素も入れながら、言葉がない分、音で世界に向けて発信できれば考えています。サックスと三味線という異種格闘技じゃないですけど、異なる楽器で、どちらもカッコいいサウンドを持つので、派手にいろいろやれるんじゃないかと思っています。
サックス演奏の他、CMなどメディアにも多数ご出演されている中村さんですが、それ以外の活動もありますか?
中村
グンゼのストッキング、SABRINAのCM出演は、広告代理店から、私のホームページのほうに直接打診があって出させていただきました。辿り着いていただいた経緯はちょっとわからないのですが……。そのときの取り上げられた方は新体操や空手選手兼女優の方といった感じで、他にミュージシャンで探されていたみたいです。そのCM出演がきっかけで記者会見のときとかに演奏させていただいたりもしたので、とても貴重な経験をさせていただきました。
日頃のサックスエクササイズ、普段やっている練習などあれば教えてください。ジャンルごと練習内容に違いがありますか?
中村
ロングトーンは必ず毎日やっています。あとは演奏していて指に疲労感を感じたときは全キースケールをやっています。いざというときに吹けないとテンション下がりますし、やっておくと色々なところでパッと指が動くので、マストでやります。
ジャンルごとの練習メニュー的なものはとくにはないですね。
使用楽器について:ジャンルによるセッティングの変更も含めお願いします。
アルトのセッティング。本体は、セルマーSERIES III。マウスピースはヤナギサワ メタルの7番。
アルトのセッティング。本体は、セルマーSERIES III。マウスピースはヤナギサワ メタルの7番。
マウスピース
アルトで使用のヤナギサワ メタル7番は、内部を削ったオーダー品で、ハイブッフル仕様。
【ソプラノ】
◇楽器:ソプラノ セルマーSERIES III
◇マウスピース:S80 C★
◇リガチャー:ハリソン ラバーマウスピース用
◇リード:バンドーレン トラディショナル3番
 
【アルト】
◇楽器:アルト セルマーSERIES III
◇マウスピース:[クラシックセッティング]S80 C★/[ジャズセッティング]ヤナギサワ メタル7番、Mouthpiece Café エスプレッソ 6番
◇リガチャー:BG GP
◇リード:トラディショナル3番
 
【テナー】
◇セルマー3 ジュビリー
◇マウスピース:S80 C★
◇リガチャー:ハリソン ピンクゴールド
◇リード:トラディショナル3番
 
【エアロフォン】
◇AE-10
◇AE-05
 
休日の過ごし方について。趣味などおしえてください。
中村
素直に言えば、種類問わずの酒好きなので飲むことですかね。日本酒だと山口県の五橋が好きです。最近だと獺祭の陰に隠れちゃっていますけど(笑)。
美味しいお店を見つけるのが好きですね。
最近はあんまり行けていないのですが、サッカー観戦がすごく好きで横浜マリノスのファンなんです。ファンクラブ入るぐらい好きです。
2002年の日韓ワールドカップからハマってしまって、チームファンになって練習をずっと観ていました。だいぶマニアックですね(笑)
ありがとうございました。
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中村有里







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