THE SAX vol.93~

國末先生に教えてもらおう!吹奏楽サックス、上達のコツ Special

Q2.國末さんがサックスを始めたきっかけは?

小学校の吹奏楽で、どうしてもやりたかったサックス

私がサックスを始めたのは、小学4年生、10歳の頃です。
当時通っていた高松市立古高松小学校に吹奏楽部があり、入部したのがきっかけでサックスを始めました。
サックスをやりたいと思ったきっかけはいくつかあります。
幼い頃、小児喘息を患っていた私のために、母が管楽器をやると喘息の治療に効果があるらしい、という話をどこからか聞きつけてきました。それを聞いた私は、いつしか吹奏楽部というものに興味を持つようになっていました。
その頃、タモリさんが司会を務めるTV番組「笑っていいとも!」の「クイズ・サックスは最高!」(小倉久寛さんがサックスである単語を吹いて何を言ったかを当てるクイズ)というコーナーを見てサックスという楽器の存在を知ります。
それと時を同じくして、仲のよかった隣の家に住む同じ小学校に通うお姉ちゃん(このお姉ちゃんはテューバを担当していました)が出演する吹奏楽部のコンサートを聴きに行く機会がありました。その時に演奏していたガーシュウィンの『パリのアメリカ人』の曲中で立ち上がってソロを吹くキレイなサックスのお姉さんにたちまち心を奪われ、あの人の隣で吹きたいという想いを抱きました。ませガキだったのだと思います。
その後、のちに私の最初の師匠となる吹奏楽部顧問の西宇徹先生のサックス演奏を聴いて、サックスへの憧れは最高潮に達しました。
吹奏楽部の体験入部に行った僕は、第1希望にサックスを希望するも、アルトホルンを担当するようにと告げられます。どうしてもサックスを諦められなかった私は、先生に必死に食い下がりました。先生曰く「楽器が足りないからサックスはやらせてあげられないのだよ」とのことでした。気落ちしながら家に帰ると母が「楽器がないなら買えばいいじゃない」と言ってくれました。きっと母はサックスがどれだけ高価なものかを知らなかったのでしょう。そこで私は「クリスマスも誕生日もいらないからサックスを買って!」と懇願しました。そして、当時のヤマハのハイエンドモデルだったYAS-62をおよそ24万円で買ってもらえることになりました。
そのおかげで晴れてサックスパートの一員になり、憧れの先輩の隣で演奏するという夢が叶ったのです。 両親には感謝しかありません。

Q3.サックスを始めた頃に練習されたことは?

まず真似すること、盗むことが近道

吹奏楽部が練習で使用していた「鉄骨棟」と呼ばれる建物にある大きな鏡の前で、西宇先生が一緒に吹きながら教えてくださいました。
ロングトーンをしたり、スケールを練習したりしていました。先生の吹き方の癖までしっかりと盗んでいましたよ。 周りの人から吹き方が先生にそっくりだよ、と言われるのが嬉しくて仕方ありませんでした。楽器を上達するためには、まず真似すること、盗むことが何よりも近道だと思います。

Q4.いつ頃からプロ奏者を目指しましたか?
プロを目指すことになったターニングポイント、憧れの奏者も教えてください。

職員室に呼ばれて……

小学6年生の時に、西宇先生に職員室に来るように言われました。
僕はまた怒られるのかな〜、と恐る恐る職員室の先生のところへ向かうと、先生が机の引き出しから1枚のCDを取り出し、「これを聴いて勉強しなさい」とCDを貸してくださったのです。
そのCDが須川展也先生のファーストアルバム「Once Upon A Time」でした。
家に帰って、早速聴こうと思いましたが、当時はまだCDというものが世に出たばかりの頃でしたので、家にはCDを再生する機械がありませんでした。
父がCDラジカセを買って来てくれて、それで最初に再生したのがそのアルバムでした。
CDラジカセから流れてくる須川先生の美しい音色は、僕が今まで聴いたことのないような音色で、一気に虜になりました。
何度も繰り返し聴いているうちにいつしか自分も須川先生のようなサクソフォン奏者になりたいと漠然と思うようになっていたのです。
そして、中学1年生の頃から、西宇先生の勧めでソロコンテストに挑戦するようになりました。
中学3年生の時に香川ジュニア音楽コンクールで第1位を受賞し、テルサ音楽祭という音楽祭に出演しました。その音楽祭の模様が西日本放送というテレビ局の番組で放映されました。それが生まれて初めてのテレビ出演でした。その頃から、本気でプロになろうという想いが一層強くなってきたように思います。
中学2年生、3年生の時に八ヶ岳で開催されたヤマハのサックスキャンプに参加して、音大生やプロの先生方からたくさんの刺激を受けたのも大きなターニングポイントだったと思います。

Q5.不得意だったテクニック、奏法などありますか?

根気よく練習!スラップタンギングと循環呼吸

僕はスラップタンギング、循環呼吸などが不得意で、それらの奏法が出てくる作品はできるだけ避けて通って来ました(笑)。
どうしても必要に迫られて、得意な仲間からコツを教えてもらって練習しました。
スラップタンギングは、楽器を使わずに大きな音で舌打ちをする練習をしたり、その舌打ちを速くする練習をしたり、リードだけを舌に押し当ててペチペチ音がさせる練習をしたりしました。スラップタンギングの練習をしていると気がつくとリードが血だらけになったりしていました。
循環呼吸は、トリルで練習したり、半音階をやりながら循環呼吸をする練習をまずはしました。
いずれにせよ、いつかできると信じて諦めず根気よく練習することが大切だな、と思います。今でも練習を続けていますよ。


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Q1.現在活躍している団体や活動を教えてください!
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Q2.國末先生がサックスを始めたきっかけは?
Q3.サックスをはじめた頃に練習されたことは?
Q4.いつ頃からプロ奏者を目指しましたか?
Q5.不得意だったテクニック・奏法などありますか?
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Q6.プロになってからも欠かさない基礎練習は?
Q7.吹奏楽部、吹奏楽団を指導している時に、サックスパートにどんな指導をしますか?
Q8.吹奏楽部、吹奏楽団のサックスパートにこれだけはやめてほしいことは?
Q9.中学生だと体が小さい生徒もいますが、楽器の構え方や息の出し方などどのような注意をされますか?
Q10.吹奏楽のサックスパートに是非やっていてほしいパート練習は?
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Q11.吹奏楽愛好家に聴いてほしい、吹奏楽団、アンサンブル、サックス奏者のCDは?
Q12.吹奏楽の魅力、クラシカルサックスの魅力を教えてください。

登場するアーティスト
画像

國末貞仁
Sadahito Kunisue

1978年、香川県高松市生まれ。神奈川県横浜市在住。香川県立高松高等学校、東京藝術大学を経て、同大学院修士課程修了。これまでにサクソフォンを、西宇徹、須川展也、石田智子、二宮和弘、冨岡和男の各氏に、室内楽を中村均一氏に師事。2005年、第22回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門第3位入賞。2010年、平成21年度香川県文化芸術新人賞受賞。Quatuor B、Trio YaS-375、Saxaccord、シュピール室内合奏団、BRASS EXCEED TOKYOのメンバーとして活動するほか、サキソフォックスのラトゥールくんのお友達としても全国各地で活躍中。現在、京都市立芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師。また、2013年より高松市観光大使に就任し、故郷のPRにも力を注いでいる。

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