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みんなのキニナルを解決!? プロに聞く!Q&A

特集シリーズ \ 第6弾 /

Contents

フルート
ピッコロ
知っていると、ちょっと得する、キィとポストの豆知識

◆ピッコロ:丸田悠太 Yuta Maruta

丸田悠太さん

©土居政則


新潟県新潟市出身。フルートを榎本正一、浅利守宏、大友太郎、佐久間由美子の各氏に師事。国立音楽大学器楽科を首席で卒業、矢田部賞受賞。国立音楽大学大学院修士課程修了、研究奨学金授与。第7回JILA音楽コンクール 管打楽器部門 第2位。第15回ヤング・プラハ国際音楽祭出演、他ソリストとして多数出演。東京ニューシティ管弦楽団を経て現在、東京佼成ウインドオーケストラ、ピッコロ&フルート奏者。風の五重奏団(木管五重奏)メンバー。昭和音楽大学非常勤講師。公式ブログ“笛吹きの雑記帳” http://blogs.yahoo.co.jp/fuefuki_yuta_lanevo4g63turbo

Q.高音域の音程が低いのが悩み

ピッコロの高音域の音程が低くなります(特にソから上)。正しい音程で吹くためのコツはありますか?

A.組み立て、姿勢、アンブシュアをチェック

おそらく管体を内側に向けすぎているのでしょう。フルートでも同様のケースがよくありますが、音が出しにくくなった時に大抵の人は楽器を内側に向けてしまいます。歌口の角度を内側に向けると、空気を切り裂くポイントが近づくので「音を鳴らす」という“現象”としては確かに吹きやすいでしょう。しかし、それにより音色はこもりがちになり音程も低くなりやすく、デメリットのほうが多いのです。高音域では速い息のスピードが生命線ですから、まずはスピードを落とさないように意識しながら、角度に気を付けて練習してみてください。顎を必要以上に引きすぎないよう、姿勢にも注意を払いましょう。音程が安定してきたら、音色もほったらかしにしないようにしましょう。アンブシュアがきちんと作れていないと、音色が大雑把になってしまいます。音程と音色が常に両立できているパーフェクトな音を目指してください。



Q.音量のバランスが悪い

高音域の音量が出すぎてしまい、中・低音域は小さい音しか出ません。どの音域もバランスよく吹くための練習法はありますか?

A.アパチュアの大きさを変化させていますか?

音量を変化させたい時に、変えるのは息の量だけで良いと思っていませんか? もう一つ、調節してあげないといけない部分があるんです。それは「アパチュア」です。アパチュアとはアンブシュアを作った時に唇にできる息を通す穴のことで、息の量の変化に伴ってその大きさも変えてあげないといけないのです。具体的には、大きい音量の時はアパチュアも大きく(広く)、小さい音量の時はアパチュアも小さく(狭く)、といった感じです。おそらく高音域では、弱い息で吹こうとしたら下の音に落っこちてしまうでしょう。この時に足りなかった動作が、アパチュアを小さくすることです。
反対に低音域で大きく吹きこもうとした時に、音がひっくり返ってしまったと思います。それであまり強く吹きこめないのだと思いますが、この時にはアパチュアを大きくすることが欠けていたのですね。
練習としては分散和音で跳躍している課題を使って、「同じ音量で滑らかに音を移行する」ように気を付けながら、ppだったりmfだったりとそれぞれ変化を付けながら練習すると良いでしょう。

例:タファネル=ゴーベール「17 のメカニズム日課大練習」より第6 番- B、ライヒェルト「毎日の練習」より第2番

【譜例1】
譜例1


【譜例2】
譜例2

Q.音色を柔らかくするには?

音色がきついと言われます。なるべく柔らかい音色を出したいのですが、そのための練習法を教えてください!

A.アンブシュアを丁寧に

ピッコロで音色がキツかったり鋭すぎたりして悩んでいる方は多いですよね。まずこれは「ピッコロはフルートより鋭い息が必要」という先入観を持ちすぎている部分があると思います。確かにフルートに比べたら全体的に鋭く速い息が必要ですが、ほどほどに考えておいてください。次に柔らかい音色を作る方法ですが、これはアンブシュアを丁寧に作ってあげるしかありません。これはフルートでもまったく同じことです。よく起こりがちな例としては、フルートに比べてピッコロの歌口は小さいので、息を細くするために唇の先が尖ったアンブシュアになりがちなケースです。唇の表面に近い先端部分はガサガサしていることも多く、この部分を息が流れると音色も荒くなりやすいです。可能な限り内側の滑らかな部分を使い、先端の力を抜いてアンブシュアを作ってあげると良いでしょう。やはりロングトーン系のゆっくり音を伸ばす練習で、アンブシュアの力加減を微妙に変化させながら一番柔らかい音色になるように音を作ってください。

 

Q.パー練はピッコロでやってもいい?

パート練習の基礎練習のとき、フルートで練習したほうがいいでしょうか?
それともピッコロで練習すべき?

A.持ち替えて吹いてみよう

この質問は吹奏楽の中でピッコロ担当になった人から大変よく聞かれる質問です。パートの皆さんと一緒に基礎練習をする時だけでなく練習時間全体としてのアドバイスですが、フルートとピッコロに対する練習時間の配分は半々が理想的だと思 います。自分のパートがピッコロになったからといって、フルートの練習をしなくなるのは良くないです。ピッコロとフルートの奏法は基本的に同じですし、違うのは力加減とそのコントロールに対するイメージ力だけです。フルートで上手くできてもピッコロでやると上手くいかない課題ってありませんか? まさにそれが、力加減とイメージの不足から起きていることなのです。基礎練習のメニューが決まっているなら、一つの項目ごとにフルートとピッコロを持ち替えて練習する方法がお勧めです。例えばスケール練習で『C-Dur をフルートで 吹いたらa-moll はピッコロで吹く』というように行ない、その翌日は今度は逆にして練習する……など、色々なやり方が考えられますよね。必ずどちらで吹いても出来るようにしておく、ということが大切です。持ち替え時の対応力を養う訓練も兼ねて、是非両方練習してみてください。

 

Q.指がまわる基礎練習って?

指が早く回りません。どんな基礎練習をするといいですか?

A.リズムを“ 逆” に置き換えて練習しよう

これはピッコロだけでなく、機動性の高い楽器の宿命です。まずは半音階・音階・分散和音……といったテクニカル面を鍛える基礎練習を、毎日コツコツとメトロノームを付けながら厳格に行なうこと。楽曲というのは大変大雑把に言えば、半音階・音階・分散和音などを作曲家が好みの組み合わせ方でパズルのように組み立てていくものです(もちろん例外もたくさんありますが)。新しい楽譜が配られても慌てないためには、日頃から楽曲の元となるピースをたくさん練習しておくことである程度は回避できます。しかし、それでも上手くできない箇所というのは出てきます。その時には「リズム練習」をやると良いでしょう。代表例を挙げると“付点”や“逆付点”といった違うリズムに置き換えて行なう練習方法です。これはアイデア次第で色々なリズムが当てはめられます。たくさん種類を増やして、より効果的なオリジナル・リズム練習を作ってみてください♪

【譜例3】

譜例3

 

Q.これだけはやっておきたい!

ピッコロでこれだけは気をつけてほしい、この練習はしてほしいというものは?

A.演奏中も掃除はこまめに

それでは最後に、ピッコロ奏者を代表しまして全国のピッコロ吹きの皆さんにお願いがあります。それは「掃除を頻繁にしてあげて!」ということです。ピッコロは知ってのとおり管の長さが大変短いので、フルートや他の楽器に比べて管体内にすぐ水滴が溜まってしまいます。2 ~ 3分も吹き続けたら管の中はあっという間に水滴だらけで、そのままにしておくとタンポに水滴が引っかかり、音が変わってしまいますよね。それだけではなく、タンポが水に濡れるのを繰り返していると、最悪の場合ふやけて交換になってしまいます! 多くの楽器がグラナディラなどを使っている木製ピッコロでしょうから、管内が水滴だらけなのは管体の木にも非常に良くないですね。ですから“暇さえあれば掃除をする”癖を付けてください。休憩の時だけでなく、練習中のちょっとした合間も、むしろ演奏中の曲の長いお休みでも、是非掃除をしてあげてください。我々プロ奏者の場合、本番の演奏中にピッコロの掃除をするのは何も特別なことではなく、当たり前なんです。ちなみに私丸田は掃除の回数がかなり多いほうで、数小節でも休みがあるたびにスキを見つけて掃除棒を入れています。でもその甲斐あって、タンポが濡れて音が変わるようなことは滅多にありませんよ。私も愛用している長いタイプの掃除棒だと、頭部管を外さなくても良いので時短になって使いやすいです。楽器は自分の音楽を形にしてくれる大切なパートナー、メンテナンスもしっかりしてあげてください♪



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