フルート記事
THE FLUTE 154 Cover Story|山形由美

これからもずっとフルートと一緒に

日本を代表するフルーティストの一人として、広く知られている山形由美さん。山形さんの演奏活動やテレビ、ラジオ出演を通じて、フルートの音色を知ったというファンも多いだろう。このたびデビューから30周年を迎え、セルフプロデュースのCDアルバムをリリースしたほか、今年10月から12月にかけて国内各地やパリでコンサートツアーを行なう。30年という時間は過ぎても、山形さんの音楽、そしてフルートへの前向きな思いは、決して変わることはない。
写真:橋本タカキ(P7)/取材協力:株式会社コンサートサービス

バレエの経験がフルートを助けてくれた

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デビュー30周年おめでとうございます。この30年を振り返って、ご自分が変わったと思われることは?
山形
デビュー前も今も、日々フルートを吹いていることに変わりはありません。フルートは、自分を表現できるものとして、いつもそばにある。でも、プロ奏者になってからは、当然ながら人に“聴いていただく”ことをより意識するようになりました。社会人として、そしてプロの演奏家としてきちんとした日常を送り、できる限りの良い演奏ができるように、という責任を感じています。変わったといえば、そこがいちばん変わった点かもしれません。
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幼い頃からバレエを学ばれていたそうですが、最終的にフルートの道に進まれた理由は、何だったのでしょうか。
山形
バレエが大好きでずっと打ち込んできましたが、小学6年生で身長が160センチを越えて、プリマを目指すことが難しくなってしまったんです。その後もバレエは趣味程度に続けていたのですが、心に穴が開いたようでした。 そんな時、叔父の結婚式でフルートの演奏を聴いて多彩な音色に感激し、先生についてレッスンをすることになりました。レッスンを始めたらフルートに夢中になって、芸大を目指そう! と思うようになったのです。
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9月にリリースされた30周年記念CDアルバム「Eternally ~永遠のジゼル~」には、バレエとダンスの曲が収録されていますね。
山形
小さい頃から、音楽と一緒に踊ることが大好きでした。それに、バレエはフルートにとても良い影響があったんです。レッスンを始める前から、バレエを通じて音楽が身についていました。また、バレエを始めたことで体が丈夫になり、演奏を自分の都合でキャンセルしたことは一度もありません。体幹を意識することもバレエから学びました。(次のページへ続く)

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楽器との出会い
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Profile
山形由美
山形由美
Yumi Yamagata
東京藝術大学卒業後、英国留学。これまでに野口博司、小泉剛、吉田雅夫、サー・ジェームス・ゴールウェイ、トレヴァー・ワイなどの諸氏に師事。1986年のデビュー以来、ソリストとしてリサイタル出演、オーケストラへの客演など多数。これまでにキングレコード、ソニークラシカル、イマジンベストコレクション、リヴォアルト(イタリア)などから多くのCDを発表。テレビ、ラジオの出演も数多く、音楽番組はもとよりNHK「連想ゲーム」などの出演を通して広い知名度を持つ。デビュー30周年を迎えた本年は、パリ、東京をは
じめとする主要年での記念リサイタルツアーや、CDのリリースで注目が集まっている。尚美学園大学客員教授。
オフィシャルホームページ http://www.yumi-yamagata.com/
 
CD information
Eternally ~永遠のジゼル~
「Eternally ~永遠のジゼル~」
IMGN-5003
演奏:山形由美(Fl)、菅野 潤(Pf)、金子鈴太郎(Vc)
曲目:アダン(加藤昌則編):永遠のジゼル「ジゼル」より リュリ(加藤昌則編):パッサカイユ「アルミード」より グルック:精霊の踊り「オルフェウスとエウリディーチェ」より モーツァルト:ロンド ニ長調 K.Anh.184 モシュコフスキー:スペイン舞曲 作品12-2 グラナドス:アンダルーサ(スペイン舞曲 第5番) バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56 チャイコフスキー:感傷的なワルツ 作品51-6 ヴォーン=ウィリアムズ:バレエ組曲 ピアソラ:カフェ1930「タンゴの歴史」より 加藤昌則:フルートとピアノのためのカプリス ~旅する笛~
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フルート奏者カバーストーリー