THE FLUTEオンライン記事:
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丸田悠太 インタビュー

東京佼成ウインドオーケストラ フルート・ピッコロ奏者 丸田悠太 インタビュー

課題曲『マーチシャイニングロード』

♪曲全体について♪

全体的に、付点のリズムのニュアンスをバランス良く演奏することがポイントになってきます。
たとえば、第一主題に出てくる付点のリズム(囲み部分)などもそうですね。短すぎたり重すぎたりしがちで、ちょうどよいバランスというのが難しいところです。ベストなリズムをつくれるように、よく考えながら研究を重ねてください。

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あとは、ダイナミクスの変化をしっかり守ることです。たとえば、 f  ff などは一緒になってしまいがちです。 mp  mf などもそうですが、ほとんど同じになっていることが多いですね。  f が一つなのか二つなのか、意識して演奏しましょう。

とかく、マーチのような音楽では「フルートが聞こえない」と言われがちですよね。 f では“もっと吹け”と言われることも結構あると思うのですが、闇雲に吹くのではなく、音楽的に何を要求されているか考えたうえで、しっかりした音量で演奏されるといいと思います。
この曲もかなりダイナミクスが細かく書き分けられているので、 ff と書いてあるところは限定されています。それをちゃんと守ることで、音楽がはっきりと浮かび上がってくると思います。

●フルートパートの聞かせどころや難所は…

聞かせどころとなると、やはり39小節目のTrioの部分でしょう。Fの前後に出てくる16分音符のところとか、メロディに対するちょっとしたサプライズですね。Fの1小節前のところに leggiero と書いてあるので、多くの人が「じゃあスタッカートをつければいいんだ」と思いがちなのですが、本来の意味を考えつつ、ただ“短く”するのではなくて“軽やかに”とかそういうニュアンスを出すためには、ただ音を短く切るだけではできません。音の運びが止まらないようにする必要もありますし、センスを問われるところですね。

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50小節目、52小節目のような音型では、どうしても高い音にいくほど音量も大きくなってしまうので、逆に音量が上にいけばいくほど軽くなるくらいのイメージを持ちましょう。50、52、53、54小節目では、それぞれのフレーズごとにデクレッシェンドするくらいのつもりで吹きましょう。そうすることで、メロディよりも目立つということもなくなります。あくまでこの部分は主役ではなく“名脇役”であることが求められる部分です。

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あとは、Gからのメロディのフレーズ感ですね。1フレーズが長いので、ブレスの場所に迷うこともあると思いますが、基本的には「4小節ずつで1フレーズ」という意識でいきましょう。
GHは、アウフタクトから始まっていますね。そこに意味を持たせて、アウフタクトからのつながりを大事に演奏できると、美しさが出ると思います。
それから、Hの4小節目ですが、ここの1拍目の終わりでついブレスをとりたくなるのですが、スラーがわざわざついているということは、作曲者としてはつなげてほしい部分だと思うんです。Gの部分は「4小節ずつで1フレーズ」という意識で、と言いましたが、Hについてはもっとフレーズを大きく、H全体=8小節で1フレーズと考えると、この作品の良さが出てくると思います。
一人で8小節をつなげて吹くのは難しいと思いますから、幸いここはユニゾンなので、パートの中で交代でブレスをとりながらうまくつなげていきましょう。

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それから、 I の部分のトリルですが、ここは2ndの音間違いが多いです。囲んである3箇所の音をよく確認してほしいと思います。
75小節目は、トリル音はレ♭ですが、♮のレになっていないでしょうか?77小節目はド♭にレ♭のトリルですが、実音でシとドという半音の組み合わせになっているパターンの間違いをよく見かけます。


最後に…… 丸田さんより、吹奏楽での練習全般についてのアドバイスをいただきました。

Q:個人練習、パート練習、全体練習、それぞれで留意するといいことは?

個人練習 ⇒自分自身の演奏がちゃんとできているかということを確認する時間です。自分と向き合い、自分の演奏を聴いて確認しながら、本当に今の状態でいいのかを確認して自問自答しながら練習することが大切です。

パート練習⇒セクションの中で、メンバーそれぞれが同じ方向を向いているかどうか、意思疎通ができているかどうかを確認しましょう。『スケルツァンド』や『マーチシャイニングロード』の中にもあったような、フレーズのつながりを一人ひとりがどう捉えているかなどをしっかり確認しあうことで、良い演奏につながっていきます。

全体練習 ⇒指揮者の要求していることを理解して、パート練習・個人練習になったときにどういう練習をすればいいかを考えて臨むといいと思います。また、たとえば打楽器など、全体で演奏しないと聴けない楽器がありますよね。実際にスコアで見て「ここはこの楽器と一緒だ」ということがわかったら、ちゃんとその楽器の音を聴くことができているかを確認したり、音程とかリズムだけではなく、その楽器と同じニュアンス・方向性で演奏できているか、などにも留意しましょう。

Q:縦の線の揃え方のコツは何かありますか?

“縦の線”というのは個人個人のソルフェージュ能力なので、基本的にはそれを高めていくことに尽きます。だから、楽器でこういう練習を、というよりは、まずは意識の持ち方を理解することが大切なのではないでしょうか。
たとえば、音を出さない休符のときでも、音楽の時間的な流れを変わらずに感じられているでしょうか?
コンクールまでの期間、ただメトロノームに合わせて揃うまで練習し続けるよりも、全員がそういう意識を持つようにすることのほうが、はるかに効率的です。
あとは、アンテナの張り方ですね。いま音楽がどんな進行のしかたをしているのか、同じ音楽の中でも前のめりになったり後ろ向きになったり、ベクトルの変化があると思うのですが、それを敏感に察知することが必要です。

Q:楽器を持たずにできる練習というのは、何かありますか?

たとえば課題曲の楽譜を使い、自分のパート譜の通りに歌いながら“裏拍で”手拍子を入れてみる、というのはどうでしょうか。やってみるとわかると思いますが、これだけでかなり難しくなります。リズムを正確にとるための練習になり、前の質問でお話ししたようなソルフェージュ能力を養うのにも役立ちますよ。
それから、夜など音が出せない環境だけど何か練習したい……というときにできるのが、楽器の中に掃除棒を入れた状態で、さらに控えめに吹きながら指の練習をする、というものです。周囲の迷惑にならない程度の音で、指が回らないところなどを集中的に練習するにはおすすめです。
コンクールが近づいてきて、練習したいけど思うように時間がとれないし、どうしよう……というときなど、以上のような練習も取り入れて時間を有効に使ってみてください。

 

CD「フルート・ピッコロリサイタル」
【ARIC-160701】ありのみ株式会社
[価格]¥3,000(税別)
[演奏者]丸田悠太(Fl、Picc)、佐々木和子(Pf)
[曲目]W.A. モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第25番 ト長調K.301(293a)★
Ch.M. ヴィドール:組曲 op.34
G. ショッカー:ピッコロとピアノのためのソナタ★
G. エネスコ:カンタービレとプレスト
F. シューベルト:「しぼめる花」の主題による序奏と変奏D802★
武満徹:巡り-イサム・ノグチの追憶に-
F.シューベルト:春の想い D686★ (★はピッコロ)

profile
丸田悠太
新潟県新潟市出身。
フルートを榎本正一、浅利守宏、大友太郎、佐久間由美子の各氏に師事。国立音楽大学を首席で卒業、矢田部賞受賞。国立音楽大学大学院修士課程修了、研究奨学金授与。第7回JILA音楽コンクール 管打楽器部門 第2位。第15回ヤング・プラハ国際音楽祭出演、他ソリストとして多数出演。
東京ニューシティ管弦楽団を経て現在、東京佼成ウインドオーケストラ ピッコロ&フルート奏者、副コンサートマスター。風の五重奏団、東京ELEMENTS メンバー。昭和音楽大学非常勤講師。
公式ブログ“笛吹きの雑記帳” https://blogs.yahoo.co.jp/fuefuki_yuta_lanevo4g63turbo

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