Makoto ni mail de Q!-THE SAX vol.1掲載-

Makoto ni mail de Q! 第1回

日本を代表するマルチ・サックス・プレイヤー、平原まことさんの訃報が届いたのは2021年11月のことでした。本誌では数え切れないほどのインタビューやライブ取材にご協力いただいたほか、創刊号から10年にわたって続いた長寿連載「Makoto ni mail de Q !」を担当していただきました。
この大人気連載をもっと多くの読者に読んでいただきたいという想いにより、THE SAX ONLINEでの復活が決まりました。現在は売り切れとなっている商品の連載も掲載予定です。お楽しみに!
(THE SAX編集部)

第1回

インターネット普及がめざましい今日このごろ。わたくし平原まことのメール箱には毎日毎日いろいろな音楽に対する質問や疑問が寄せられる。励ましもあれば恋愛相談までゴチャゴチャだ。今回の「ザ・サックス」の創刊にあたり、サックスについてこのコーナーでみんなの悩みや疑問に答えていこうと思っている。
私にはそもそも習っていた先生はいない。音楽学校も出ていない。私の周りにいた現役のスタジオミュージシャン全ての人が先生だ! これってとてもすばらしいことで、すぐに実践で役に立つ。
どんなことでもかまわない、カッコワルイ質問だなんて思っても、いいからメールしてきてね!
みんな最初は素人だったんだし、恥ずかしがらずにドンドン質問してね!メール待ってるよ。

 

Mail de Q! 第1便
良いリード、教えて!
私は常に良いリードはないか、と探しているのですが、平原さんは何を使っているんですか? 私は今までにいくつか試してみたのですが、長い間バンドーレンを使い慣れてしまったせいか、結局バンドーレンになってしまいます。吹奏楽ということにこだわらず何か良いリードがあれば教えてください。

Makoto
いろんな人に聴いてもらうのも良い
実は私もバンドーレンを使っているよ。なかなか慣れてしまったリードは取り替えづらいからね! クラシックを演奏している方々は圧倒的にバンドーレンが多いかな? あとはヘムケやグロタンだな、ジャズやポップス&ロック系の人も先ほどのリードを好んで使う人もいるし、ラボーズやリコじゃないと「ダメ!」って言う人もいる。大事なことは演奏する人が慣れているリードがいちばんってことかな。いろんな人に聴いてもらって、その人たちの意見を取り入れるのもいいかもね。

Mail de Q! 第2便
あごが痛いんです!  全部ヴィブラートかけていい?
度々メールを送ってすみません。今すごく悩んでいることがあるんです。私は中学の時はアルトサックスをやっていたんですが、その時から少しずつあごが痛みだしたんです。やっぱりマウスピースのくわえ方が悪いからなのでしょうか? くわえ方が悪いと音質も変わってくるのでしょうか? あと、アンサンブルの時ヴィブラートは全部の楽器がかけたほうがよいのでしょうか(メロディの時)?教えてください。こういう相談とかできるのは平原先生だけなのです。

Makoto
くわえ方調べて! ヴィブラートの錯覚に注意
あごが痛くなるのは大変だね。たぶん、志村けんさんのギャグ「アイ~ン」のように、あごを前に出し過ぎていないかな? 普通は上の歯と下の歯が合わさる所ぐらいまでが限界だと思う。ジャズの奏法などで、かなり前に出す人もいるけれど……。あとはマウスピースを深くくわえ過ぎているのが原因だな。あまり自然でないくわえ方をしていると、音色も悪くなるよ。
アンサンブルの時ヴィブラートはあまり意識しないほうが良いと思う。なぜならヴィブラートは自然に出る音楽性の一つの表現に過ぎないからだよ。ヴィブラートをかけると音が豊かになるという錯覚はよくないな。逆に言えばヴィブラートに頼らないということだね! 一つのヒントとしてヴィブラートをかけないと緊張感、ヴィブラートをかけると安心感が出る。しかし、かけないと緊張感を通り過ぎて「透明感」が出てくる。
これがわかるまですいぶん苦労したよ…。

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