サックス記事

大山日出男 ×「ジャズボイスの研究」

THE SAX 64号 Talk Jam-3

昨年末の発売以来、好評を博している大山日出男氏著書の「ジャズボイスの研究」(アルソ出版刊)。これは、アドリブ演奏のためのレクチャー本が多く販売されている中、あまり触れられていなかったジャズを演奏する上での“音”そのものについて考察している一冊だ。
今回はあらためて、大山日出男氏に本作の内容について語ってもらった。

音楽に対して真摯で豊かな情熱をもっている方に読んでいただきたい

大山日出男

最も重要なことは“いかに吹くか”ということ

――
「ジャズボイスの研究」は教則本などではあまり取り上げていない、ジャズ演奏における音の出し方そのものについてクローズアップしていますね。
大山
まず、サキソフォンのサウンドについて今まで僕が考えたことや、得た知識をお伝えしたかったわけです。サキソフォンの音というのはクラシックとジャズとでは多少の差がありますが、両者のすばらしさはどちらも同じ価値を持っています。ジャズの演奏ではブルースを表現するということが重要な要素の一つになります。そこで、ブルースを表現することができるような演奏の方法を考えてみました。
ジャズのアドリブソロを勉強する教材は多く、その内容はアドリブで何を吹くかということです。それも非常に大事ですが、僕がこの本で考えた最も重要なことは“いかに吹くか”ということです。例えば、悲しい思いをしている友人に慰める言葉をかけるときは、何を話すかということも重要ですが、どのように優しく語りかけるかということが非常に重要なことになります。音楽の演奏というのは、そういったことがとても重要なこととなるわけです。つまり、言葉ではいくらでもウソをつけますけど、その感情はウソをつけないということが一つです。このブルースを表現できる音を出すための技量を手に入れないと様々なジャンルを演奏することができません。なぜかというと、ジャズの演奏自体がある程度極められていないと非常にどっちつかずな、音楽的に底の浅いものになってしまうからなんです。それはつまりジャズを演奏するということとは相反することになります。

 

――
大山さんはジャズの演奏における音の出し方について、どのように学んでこられたのでしょうか?
大山
演奏しながらひたすら魅力的な音を考えていただけです。もちろん先輩のジャズミュージシャンのアドバイスというのも非常に有益でしたが、僕のサキソフォンに対する音に最も影響を与えたのは、1980年に1年間ほどいたニューヨークでの経験です。そこではソニー・スティットやデクスター・ゴードン、ルー・ドナルドソンをはじめ、非常にすばらしいソノリテをもった多くのミュージシャンの生音を聴きました。これがとてもいい経験になっています。もちろん日本にもそういう演奏をするプレイヤーもいます。特に影響を受けたのは渡辺貞夫さん、五十嵐明要さん、それから澤田一範さん、そして池田篤くんや山田穣くんです。彼らはジャズミュージシャンの音色としてのソノリテをもっていると思います。

>>音楽に対して前向きであるかどうか

 

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