THE SAX vol.113│Disc Review【CLASSIC】

「trans」井上ハルカ

「trans」井上ハルカ

【NAT 22411】¥2,750(税別)
[演奏]井上ハルカ(Sax)、山口真希子(Pf)
[収録曲]G.フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調 作品108、N.ミャスコフスキー:チェロ・ソナタ 第1番 ニ長調 作品12、P.ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ 作品11-4

 

フランスのクラシック・サクソフォンの第一人者であるクロード・ドゥラングル氏のもとで特に現代曲に力を入れて取り組み、高い評価を受けている井上ハルカ。ESA音楽学院を卒業後、リヨン地方音楽院を経て、パリ国立高等音楽院修了後は、若手の作曲家たちによる新作の初演や、IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)をはじめとするプロジェクトなどにも参加し、新たなサクソフォンのレパートリーの開拓も行なっている。
井上の2ndアルバムとなる本作は、「trans(超越して)」に自らの使命を重ね、次代への繋ぎ手として、また既存を超える開拓者として、音楽への愛を極上の歌へと昇華した一枚。ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラという弦楽器のソナタを、ソプラノ、バリトン、アルトという三種類のサックスを駆使し、国境や楽器、概念を超えたアルバムだ。
3曲ともサックスのオリジナルなのではと思わせる、確かなテクニックと高い音楽性で、井上の音楽への慈愛と挑戦を感じ取ることができる。サックスはまだまだ可能性を秘めた楽器だと実感することのできる一枚。

 

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