サックス記事 4人の力が何倍にもなるカルテットの魅力を味わってほしい 友情対談:クリスチャン・ヴィルトゥ&平野公崇
THE SAX vol.74 Cover Story

4人の力が何倍にもなるカルテットの魅力を味わってほしい 友情対談:クリスチャン・ヴィルトゥ&平野公崇

10月23日~25日に亘って開催された「アカデミーHABANERA in Japan」。講師として来日したハバネラ サクソフォン・カルテットと、同じく講師として参加したブルーオーロラ サクソフォン・カルテットは、24日に八重奏コンサートを行ない、世界最高レベルのカルテットの力を披露した。それぞれのカルテットのリーダー的存在であるヴィルトゥ氏と平野氏は旧知の仲。カルテット演奏の様々なヒントが詰まった対談となった。
協力:青葉区民文化センター フィリアホール、野中貿易株式会社、株式会社アスペン 写真:土居政則

カルテット同士の化学反応

今回のハバネラSQとブルーオーロラSQの共演のきっかけは何だったのでしょうか?
平野(以下 H)
ハバネラのメンバーは全員、90年代に僕がパリ国立高等音楽院で勉強していた時の同窓なんです。
ヴィルトゥ(以下W)
そのころ僕は大学院、公崇と他の3人は大学生で、全員クロード・ドゥラングル先生に師事していました。そのあと「アカデミーHABANERA」を始めるようになり、公崇にも講師に来てもらうようになった。その頃から何か日本でもできないかな、と言っていました。
H
彼らの講習会は16年間続いていて、その6年目から僕が参加しています。今回、日本で講習会と共演が実現できてとても嬉しいですね。
共演してみて、印象はいかがでしたか?
W
我々2つのグループはそれぞれ違う常識を持っていて、それが出会う時に化学反応が起きる。そこで生まれる音楽がとても素晴らしかった。ブルーオーロラの4人の音がとても美しく、八重奏になった時にとても良い音になったと思います。リハーサルも、厳密な充実したリハーサルを行なうことができました。
H
ハバネラには他のカルテットとまったく違う独特の音色があります。そして4人が集中すると、針で突いた穴くらいの小さな点でバチッと合うのが素晴らしい。共演にあたっては、僕たちなりに準備をして、自分たちのカルテットの魅力を見つけ、伸ばしてきました。お互いに魅力を感じ合わないと、なにも分かち合うことができないからね。個々の健闘のもと、なんとか八重奏の本番を迎えられて良かった。

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・カルテットには2つの力が必要
・カルテットは音程を攻略すべし
・カルテットは小さな社会
・2つのカルテットによる室内楽講習会に潜入!
「アカデミーHABANERA in JAPAN」レポート
「ハバネラ サクソフォン・カルテット&ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット」

登場するアーティスト
画像

平野公崇
Masataka Hirano

東京藝術大学在学中、第7回日本管打楽器コンクールで第1位。卒業後、パリ国立高等音楽院に入学、サクソフォン科、室内楽科、即興演奏科を最優秀の成績で卒業。在学中にJ=Mロンデックス国際コンクールを制して日本人サクソフォニスト初の国際コンクール優勝者となる。2000年、デビューアルバム「ミレニアム」発売。読響、新日フィル、大フィル、札響、広響等オーケストラとの共演多数。また、山下洋輔、塩谷哲、アキコ・グレースらジャズメンとの共演も多い。日本テレビ 「深夜の音楽会」委嘱作品「7つの絵~有元利夫に捧ぐ」では作曲家としても高い評価を受け、現在番組のオープニングテーマ曲として使われている。東京藝術大学、エリザベト音楽大学、東邦音楽大学、洗足学園音楽大学非常勤講師。フランスのアカデミー・ハバネラ講師。

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