サックス記事 デビュー40周年を迎えた本邦サックス界のレジェンドが記念公演を開催!
THE SAX vol.116 Interview

デビュー40周年を迎えた本邦サックス界のレジェンドが記念公演を開催!

日本が世界に誇るクラシック・サクソフォン・プレイヤー須川展也。サクソフォンの可能性を絶え間なく追求し続け、国内外のクラシック・サックス界において大きな功績を果たしてきたことは、いまさら紹介するまでもないだろう。そんなレジェンドが間もなくデビュー40周年を迎える。3月と5月には異なるプログラムで記念のコンサートが開催されることが決定。それに向けての意気込みを聞かせてもらった。
(インタビュー・文:中野 明/取材協力:東京藝術大学)


40年で一番何かが動いたと感じたのは『ファジィバード・ソナタ』の出版

デビュー40周年おめでとうございます。10年前の東京文化会館での30周年コンサートを懐かしく、また鮮明に思い出します。どんな感慨がありますか?
須川
いやもう、こんなに長いこと聴いてくださる方や支えてくださる方がいるというのは本当に、幸せ者だなあ、ということに尽きますね。
この40年で、須川さんを取り巻く環境や世界は何が変わりましたか?
須川
変わった、とはあまり思っていなくて、仲間や生徒たちと一緒にひたすら、サクソフォンを聴いてくれる人が増えたらいいなとか、サクソフォンの魅力を伝えられたらいいなと思ってやってきて、気づいたら40年経った、という感じです。
この間で、格別に印象的なトピックはありますか?
須川
(少し考えて)何年かに一度ずつ大きな節目が来て、その都度それを乗り越えさせてもらってきた、という感じですが……、一番何かが動いたな、と思ったのは、ヤマハの浜松国際管楽器アカデミーでジャン=イヴ・フルモーさんと親しくなって、その流れで吉松隆さんの『ファジィバード・ソナタ』をビヨドー(G.Billaudot)で出版できたことですね。ビヨドーはなんと言っても、世界のサックス奏者の目に触れやすいですから。
たしかに、ビヨドーから出版されなかったら『ファジィバード〜』はここまで世界的なレパートリーになったかどうか。
須川
僕は世界の30数か国でマスタークラスをしてきましたが、どこの国にも『ファジィバード〜』を受講してくれる学生さんがいます。「日本発のサックス」の人や作品はこの後どんどん世界へと出ていくようになりましたが、そのきっかけの一つになれたのは光栄なことだったと思います。

 

次ページにインタビュー続く
・浜松と東京それぞれで 特徴的なプログラムの40周年コンサート
・背伸びの必要なスーパーテクニカルな曲は 若いうちにやっておくほうがいい

 

Concert Information
 
デビュー40周年記念公演 須川展也 サクソフォン・リサイタル
[日程] 5月11日(土)14時開演
[会場] 文京シビックホール 大ホール
[曲目] 第1部 共演:小柳美奈子(Pf)[F.サイ:組曲〜アルトサクソフォンとピアノのための Op.55]/第2部 共演:渡辺香津美(Guit)、井上陽介(Bass)[B.バカラック:アルフィー]渡辺香津美[遠州燕がえし、Passy Home 他]/第3部 共演:山下一史(指揮)、スペシャル・サックス・アンサンブル[加藤昌則:マドリード・インスピレーション][G.ガーシュウィン(長生淳編曲):ラプソディ・イン・ブルー]
 
須川展也 デビュー40周年記念コンサート
[日程]3月31日(日)15時開演
[会場]アクトシティ浜松 大ホール
[曲目]<須川展也&小柳美奈子>F.ロウ/石川亮太編曲[踊り明かそう~マイ・フェア・レディより~]、伊藤康英[ツヴァイザムカイトⅠ]
<トルヴェール・クヮルテット>J.S.バッハ[G線上のアリア]、長生淳[彗星~トルヴェールの惑星より~]、J.シュトラウス1世・2世/石川亮太編曲 [ストライク・アップ・ザ・シュトラウス]
<須川展也指揮 ヤマハ吹奏楽団>A.メンケン/三浦秀秋編曲[「アラジン」シンフォニック・メドレー]、真島俊夫[シーガル]、M.エレビー[シナモン・コンチェルト]
<トルヴェール・クヮルテット&ヤマハ吹奏楽団>石川亮太[日本民謡による狂詩曲]
 

●PROFILE
須川展也(Nobuya Sugawa)
日本が世界に誇るクラシカル・サクソフォン奏者。長きにわたり、現代の名だたる作曲家への委嘱を継続。国際的に広まっている楽曲が多くあり、クラシカル・サクソフォンの領域への貢献は計り知れない。国内外の著名オーケストラと多数共演。ウィーンのムジークフェラインをはじめ30ヶ国以上で公演やマスタークラスを行なう。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。02年NHK連続テレビ小説「さくら」テーマ曲演奏。最新CDは自身初の無伴奏作品となる「バッハ・シークェンス」(令和2年度文化庁芸術祭レコード部門優秀賞受賞)。89〜10年まで東京佼成ウインドオーケストラ・コンサートマスター、07〜20年までヤマハ吹奏楽団常任指揮者を務める。トルヴェール・クヮルテットのメンバー。東京藝術大学招聘教授、京都市立芸術大学客員教授。

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