サックス記事 東京藝大スペシャルウィンドオーケストラとの共演作「TIME TO FLY」リリース!
THE SAX vol.116 Interview

東京藝大スペシャルウィンドオーケストラとの共演作「TIME TO FLY」リリース!

2019年より東京藝術大学が主催するジャズ・イベント「JAZZ in 藝大」のホスト役を務め、現在は同学の客員教授にも就任している本多俊之。 自身のアーティストおよびクリエイターとしての多忙な活動と並行して藝大生とジャズを繋ぐ役割も果たしているわけだ。 そんな縁から企画が立ち上がったのが東京藝大スペシャルウィンドオーケストラとの共演作。 第1弾の「GEIDAI PLAYS HONDA」に続く「TIME TO FLY」が昨年末にリリースされた。そして、今作の大きなトピックとなっているのが、本多と縁の深いレジェンド音楽家の参加だ。その名は渡辺香津美。世界的なジャズ・ギタリストとしての活躍はいまさら説明するまでもないだろう。そんな二人の対談が本誌で実現した!
(インタビュー・文:櫻井隆章/取材協力:株式会社プリマ楽器)


ジャズの授業はコード理論をスッ飛ばしてインプロヴィゼーションを教えた

 

東京藝術大学(以下、藝大)には「JAZZ in 藝大」というイベントというか、コンサート・シリーズがある。現在、これを率いているのはサックス奏者で作編曲家の本多俊之さんだ。
その本多さんが、ほぼ全曲にわたって作編曲をした藝大の学生たちとのコラボレーション・アルバムの第2弾が発表された。これが、大編成の吹奏楽団をバックにした壮麗なサウンドを聴かせるもので、聴き応えが充分な作品なのである。そのオケは「東京藝大スペシャルウィンドオーケストラ」と名付けられている。早速、本多さんに話を聞いた。

まず、藝大の客員教授に就任されたきっかけを教えてください。
本多俊之
僕の前任者はMALTAさんで、僕は2019年からなんですが、最初に連絡があったのは2018年だったかな? 藝大には未だにジャズ科とかがなくて、藝大に入って来る前にはクラシックしか聴いて来なかった学生がほとんどなんですよね。でも、ジャズとか、インプロヴィゼーションなどには興味があるし、やってみたいという人もいる。そんな人たちに実践面から教えることになりました、いろいろと苦労はありますど(苦笑)。  
当初はビッグバンドの譜面を学生と一緒に吹いて欲しい、ということだったのですが、一番最初の授業で、「君たちはビッグバンドやりたいんだよね?」と一応確認したら、非常に微妙な空気が流れまして(笑)。で、何をやりたいのか訊いたらやはりアドリブに興味がある、と。で一気に講義内容を方向転換(笑)、でもアドリブってコード進行が大事なわけで、そのコード理論を教え出したら、それだけで一年以上かかっちゃう。だからそこはスッ飛ばして、理論は追わずに実戦、耳コピ、僕が吹いたフレーズをなぞってもらう、いわゆるコール&レスポンス的授業から始めました。

 

次ページにインタビュー続く
・藝大には素晴らしいスタジオがあると知りコロナ禍でアルバム作りに着手

 

CD information
 
「TIME TO FLY」
東京藝大スペシャルウィンドオーケストラfeaturing 本多俊之
【BOCD-7658】¥2,750(税込) ブレーン・ミュージック

[演奏] 本多俊之(Ss,As)、渡辺香津美(Guit)、須川展也(As)、つのだ☆ひろ(Vo,Ds)、東京藝大スペシャルウィンドオーケストラ、他
[収録曲] TAKE IT EASY/TIME TO FLY/FEATHER TOUCH(feat. 須川展也)/BLACK STONE(feat. 渡辺香津美)/YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE(feat. つのだ☆ひろ)/ORANGE EXPRESS/FEELS SO GOOD/LAST BALLAD
 

●PROFILE
本多俊之(ほんだとしゆき)
1957年東京生まれ。サックス奏者、作・編曲家、プロデューサー、東京藝術大学客員教授。AB型、牡羊座。恐竜好き、ジョギング好きでも知られる。大学在学中の1978年に初リーダーアルバム「バーニング・ウェイヴ」を、L.A.のフュージョン・グループ「シー・ウィンド」を従えて発表。以来、チック・コリア、フレディー・ハバード、レッド・ミッチェル、クリストファー・クロス等、内外の著名ミュージシャンと共演。日本を代表するサックス奏者である。特にソプラノサックスの音色の美しさには定評があり右に出る者はいない。日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した「マルサの女」(伊丹十三監督)をはじめとする伊丹作品をはじめ、作編曲家としても、TVドラマ、CM、映画、クラシック音楽までのジャンルで多才ぶりを発揮している。ハイパー室内楽ユニット「SMILE!」、サックス五重奏のみでドラマ音楽を担当したサウンドトラック「家族ゲーム」など、オリジナル・アルバム、サウンドトラック・アルバム共に多数リリース。最新作は、東京藝大スペシャルウィンドオーケストラとのコラボ・アルバム「GEIDAI PLAYS HONDA」に続く第2弾「TIME TO FLY」。
渡辺香津美(わたなべかずみ)
名実ともに日本が世界に誇るトップ・ジャズ・ギタリスト。17歳で衝撃のアルバムデビュー。驚異の天才ギタリスト出現と騒がれて以来、ジャズフィールドに留まらない「ギターの可能性」を探求し続け今に至る。その速いテンポで繰り出される魅惑のアドリブと芳醇な旋律、演奏技術を緻密に組み合わせることで、音の一つ一つに豊かな表現力を含ませ独自の「カズミサウンド」を創り出すことでも定評がある。1979年、坂本龍一と結成した伝説のオールスターバンド「KYLYN(キリン)」を皮切りに、YMOのワールドツアーへの参加でその名を世界的なものにする。続く1980年の記録的な大ヒットアルバム「トチカ」に代表されるジャズ・フュージョン界のアイコンとして名声を確立した。現在はジャズ・フュージョンにおける多様なプロジェクト、特に2019年に10周年を迎えた 「ジャズ回帰プロジェクト」と並行し、アコースティックを中心としたソロワークでのアルバムリリース、ライブツアーを行ない、海外からもソロおよび自身のプロジェクトで招聘され、国内と半々のバリューで活動を展開中。洗足学園音楽大学ジャズコース客員教授。

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