サックス記事 初の来日リーダー公演を敢行したUKジャズ新世代のトップランナー
THE SAX vol.115 Interview

初の来日リーダー公演を敢行したUKジャズ新世代のトップランナー

2020年にコンコード・レーベルからデビューアルバム「Source」を世界同時リリースして注目を浴び、その後UKジャズ新世代のトップを走るヌバイア・ガルシア。そんな彼女がリーダーとしては初となる(来日は二度目)日本公演をブルーノート東京にて開催した。3年前の電話インタビューに続いて、ついに若き才女の対面インタビューが実現した。
(インタビュー・文:原田和典/通訳:原口美穂/撮影:古賀恒雄/取材協力:ブルーノート東京)

大事なのは追い詰められない精神状態を持つこと

ご自身のグループを率いての来日は、今回が初めてですね。ちょっとユニークな形のテナーサックスを使っていたように見受けられたのですが……。
ヌバイア・ガルシア
デイヴィッド・ウォーカー(David Walker)のカスタムモデルです。以前はコーン(Conn)の1929年頃に製造されたテナーサックスを使っていました。ベルが大きく、素晴らしい音色を持っていましたが、ツアー等に持っていくと壊れやすいところがあり、新しい楽器にしたいと思っていたところ、シャバカ・ハッチングスがデイヴィッドのことを紹介してくれました。コーンと同じくらい大きなベルを持ちながらも、あれほどキィの間隔が離れていないので、非常に演奏しやすいですし、ディープな音色が出ます。今の私には完璧な楽器と言っていいでしょうね。マウスピースは、今はモーガンフライ(Morgan Fry)のエボナイト製を使っています。一時期は木製のものも使っていました。
明晰なタンギング、ロングトーンの美しさにも惹かれました。
ヌバイア
私は良い先生に恵まれてきました。正しい息遣いを学ばずに自分の考えだけで取り組んでしまうと、頭がいっぱいいっぱいになることもあるでしょうし、どこかで壁に当たることになるでしょう。後でつまずかないためにも、しっかり習って、基本を身に着けること。それがとても役立っています。
今の私の練習法をお教えしましょうか。ツアーが始まると、十分な練習時間がとれないこともありますが、大事なのは追い詰められない精神状態を持つことです。限られた時間の中で、自分が自由に使える時がどのくらいあるのか把握して、さらにそれを「テクニカルな練習の時間」、「呼吸法の時間」などに、細かく分けていきます。アンブシュアの維持に関しては、マウスピース・サイレンサーがとても役に立っています。これがあれば、音が出せないときでも、たとえば乗り物に乗っている時や空港の待ち時間でも、練習ができます。唇のまわりの筋肉は努めて鍛えるようにしていますね。

 

次ページにインタビュー続く
・アルトからテナーに替えたのは大学に入ってすぐのこと

 

CD information
 
「Source」
NUBYA GARCIA

【UCCO-1223】¥2,860(税込) Concord Jazz

[演奏]ヌバイア・ガルシア(Sax)、ジョー・アーモン・ジョーンズ(Key)、ダニエル・カシミール(Bass)、サム・ジョーンズ(Ds)他
[収録曲]
①ペース ②ザ・メッセージ・コンティニューズ ③ソース ④トゥゲザー・イズ・ア・ビューティフル・プレイス・トゥ・ビー ⑤スタンド・ウィズ・イーチ・アザー ⑥インナー・ゲーム ⑦クンビアが私を呼んでいる ⑧ビフォア・アス:イン・デメララ&カウラ ⑨バウンドレス・ビーイングス ⑩ザ・メッセージ・コンティニューズ(マーク・ド・クライヴ=ロウ・リミックス)
 

●PROFILE
ヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia)
1991年、英国ノース・ロンドン生まれの新世代UKジャズの注目株。10歳でサックスを始め、地元のジャズバンドを経てUKジャズの重鎮、ゲイリー・クロスビー率いるワークショップ、トゥモロウズ・ウォリアーズで腕を磨く。UKクラブ・シーンで注目を集め、2018年以降、自身のバンドを率いて欧米、インド、オーストラリアを演奏旅行、国際的な評価を高める。各賞を総なめにし、2020年夏にコンコード・ジャズから「Source」でメジャー・デビュー。

 

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