トランペット記事 二人の盟友に訊く
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ラインホルト・フリードリヒの魅力解剖

二人の盟友に訊く

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コレペティトールってどんなお仕事なんですか?〜竹沢絵里子さんに訊く、その意義と奥義

コレペティトール(ドイツ語: Korrepetitor / フランス語: corépétiteur)略して「コレペティ」。語義からすれば「ともに(co)繰り返して(repete)くれる人」ということで、オペラの練習などで声楽家たちと辛抱強く練習に付き合ってくれる人のことだよなぁ……」と思っていたのだが、ラインホルトさんは伴奏ピアニストのことをそう呼んでいたので、取材班としてはちょっとびっくり! というわけで、トランペット専門誌としては初の試みながら、ピアニストの竹沢絵里子さんに突撃インタビューを敢行!
(インタビュー・文:榎本孝一郎)

日本ではまだ馴染みがないけれど
管楽器奏者にはとても大事な役割を果たす人

学生の才能をピアニストの視点から支えることが役割

竹沢絵里子
もともとは歌劇場でオペラ歌手の指導をするピアニストの名称でした。音楽大学の発展に従って、声楽や弦楽器のレッスンに同席するピアニストもそうのような役割を担うようになり、さらには優れた管楽器の教授が登場し、その教授の指導のもと、連携プレイで学生を支えるピアニストも「コレペティトール」として活躍するようになりました。はじめはこの仕事の定義は曖昧でした。ソリストになりきれず「伴奏」を仕事にするようになったピアニストが、やる気なく働いていたケースもありますが、この仕事の意義とやりがいに気づいたたくさんのピアニストが、本当に素晴らしい仕事をするようになりました。
コレペティトールの役割とは、その楽器の先生と協力して学生の才能をピアニストの視点から支えることであり、基礎的な音程、リズム、アーティキュレーション、フレージングの指導から始まって、作曲家の時代の様式に基づいた音楽表現や響づくりの探究、協奏曲のソリストとしての指導や、室内楽のアンサンブルの指導まで幅広い任務を担っています。興味深いことに、ヨーロッパではコレペティトールとして活躍する日本人が多いことが挙げられます。これは、協調性があり、合わせる、添うことを大切にする、技術を正確に獲得しようとする勤勉さも持ち合わせている日本人のキャラクターに合っている職種だからのようです。
この世にこれだけピアノを勉強した人、勉強する人がたくさんいる中で、こんなやり甲斐のある、それも日本人に適したコレペティトールという職業が存在しながらも、それがまだ日本で認識されていない現状に疑問を持っていた矢先に、まず、大阪で小さなレッスンの場を持たせていただきました。そこで、私がお伝えできることがあること、それに共鳴してくださる方々が多くいらっしゃることに気づきました。その後、私と同じ思いを持っていたベルリンのコレペティトールの同僚と話し合う場があり、彼女たちと一念発起し、草の根活動の気持ちで、まずマスタークラスを始めることにしたのが2022年。2023年には東京と大阪で開催し、今年は今までの金管楽器に加えてファゴットとオーボエと木管楽器も加えてますますパワーアップして、2024年にも東京と大阪でマスタークラスをさせていただきました。ピアニストの可能性を拡げ、管楽器や弦楽器のレスナーにも大きなサポートとなり、学生にとっても力強い助けになっていく仕事だと確信しています。

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