プロ奏者3名による マウスピース徹底試奏67本
全楽器の中でも、トランペットのマウスピースほど、多くのキャラクターやバリエーションに分かれ、かつゼロコンマ数ミリ以下の複雑な設計に分けられたツールはないだろう。金管楽器専門店JOY BRASSをはじめ、各社の協力のもと、トランペットの禁断の挑戦とも言える、現行マウスピースの徹底比較を敢行。3名のプロ奏者の方々に、21本×3サイズ＋α＝67本の試奏をしていただいた全コメントをお伝えしよう。
※モデルや価格は2017年当時のものです。予めご了承ください。
マウスピースの試奏にあたって
今回の試奏は、カップの深さが中庸であるBachの1½C、5C、10½Cを基準として、3つのサイズに相当するマウスピースを、ブランドごとに厳選収集。普段から各サイズのマウスピースを使用する3名のプロ奏者に、試奏していただいた。
できる限り公平を保つため、各奏者、全マウスピースについて等しく下記の質問を行なった。
Q 口当たり（リムの形状や感触）と吹奏感
Q 音色の傾向
Q 音の立ち上がりや響き
Q 向いているジャンル、または環境
また、試奏に使用した楽器や、普段使っているマウスピース、各奏者の好みも併記しているので、コメントを読み解く手助けになればと思う。 無論それでも、骨格、唇、アンブシュア、楽器とのマッチングなど、個人個人でまったく違うことは大前提であるため、各奏者のコメントはあくまでも参考として捉えつつ、理想のマウスピースを見つけ出すひとつのきっかけになれば幸いだ。
▶Bach 10½C相当 中野勇介／Yusuke Nakano
1978年長崎県生まれ。2000年国立音楽大学卒業。 これまでに、Dreams Come True、YUKI、嵐、miwa、いきものがかり、MISIAらをはじめとする数多くのアーティストのツアーサポートやレコーディング、 ミュージカルオーケストラでの演奏を行なう。またオルケスタ・デル・ソルや自己がリーダーのセンター•フィールド•ブラスのメンバーとして精力的に活動している。
＜普段使っているマウスピース＞
Bob Reeves 40FW/M 692 / S.E.Shires 7C（クラシック用）
＜マウスピースの好みと選び方＞
リムの内側の形状にエッジがあり、適度なロック感がある口当たりが好みですね。最も気をつけていることは、低音から高音までムラなく均一な音が鳴ることです。
▶Bach 5C相当 奥村 晶／Sho Okumura
1967年生まれ。1991年東京芸術大学卒業。1988年57回日本音楽コンクール入選。芸大在学中より宮間利之&ニューハードに入団。現在はフリーでスタジオ録音、TVの音楽番組、アーティストのバック・ミュージシャンなどを努めるかたわら、自己のバンドでの活動や、守屋純子オーケストラ、熱帯JAZZ楽団、三木俊雄＆フロントページオーケストラ、渡辺貞夫オーケストラ、小曽根真＆NoNameHorses、他のメンバーとしても活動している。
＜普段使っているマウスピース＞
Monette B6LD、Bach 3C、Bob Reeves 42S、42M
＜マウスピースの好みと選び方＞
口当たりが心地よく、自分のイメージに近い音色で低音から高音まで均一に鳴るもの、音のつながりが良いものを選ぶようにしています。リムは唇の形や歯並びとの相性もあるので、自分自身がコントロールしやすいと思う物を見つけることです。僕はリムトップが少し内側寄りにあるものが好きです。
▶Bach 1½C相当 オッタビアーノ・クリストーフォリ／Ottaviano Cristofoli
1986年イタリア生まれ。10歳でコンセルバトーリオに入学、2004年17歳で卒業。ユースイタリアンオーケストラに在籍した後、首席トランペット奏者として、ローマ歌劇場をはじめとするイタリアの主要オーケストラにて演奏。2008年、佐渡裕芸術監督率いる兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の第1トランペット奏者を務め、2009年に日本フィルハーモニー管弦楽団に入団。現在は客演首席奏者を務めている。2016年より、侍ブラスのメンバーとしても活動している。
＜普段使っているマウスピース＞
Bach 1 ½C（Bob Reeves改造品）
＜マウスピースの好みと選び方＞
まず口当たりと吹き心地が快適であること。そして、共鳴するかどうか、またイントネーションがはっきりしているかどうかに気をつけています。吹き込んだ息が、そのまま音になるマウスピースが好きですね。
この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。
