結果につながる!? 知っておきたいコンクール会場でのこと

Wind-i mini vol.34 特集

結果につながる!? 知っておきたいコンクール会場でのこと
連日、吹奏楽コンクールが日本各地で開催され始めていますね。どの学校も良い結果になるようこの夏をコンクールに賭けて挑んでいることでしょう! ただ、出演団体や応援に来た時に、会場のマナーがあること、ご存じでしたか?
今回はホルン奏者、管楽器講師の権左勇一さんに“会場での知っておきたいマナー”について教えていただきました!

権左 勇一
Profile  権左 勇一( ごんざ・ゆういち)
東京都出身。フリーランスのホルン奏者で管楽器講師。都立片倉高校、国立音楽大学卒業。就職を機に一度は音楽から離れるも、2015年9月に復帰。
2016年よりはじめたブログ「GONLOG(gonzayuichi.com)」は現在月間7万PV越え。2017年からはブログ、Twitter、Facebookを駆使し、出張レッ スンを自身でオーガナイズし、全国各地で活動を展開中。東京都内では「管楽器のためのワークショップ」も不定期で開催。アレクサンダーテクニーク勉強中。

 

こんにちは。フリーランスのホルン奏者で、管楽器の講師としても活動している権左勇一です。
私は学生時代にひょんなことがきっかけで、東京都中学校吹奏楽コンクール予選の楽器置き場を担当することになりました。今まで少なくとも7年ほど楽器置き場を担当しています。今回この記事を書くにあたって、私がどれくらい楽器置き場を担当していたか遡ってみたところ、これまでに毎年8日開催されるうちの、平均して5日は参加していました。私はB編成(35人まで)の楽器置き場を担当するのですが、B編成は1日平均して30団体は毎日出場しています。各団体の人数の関係で誤差は多少ありますが、計算すると大体1日900人の生徒に会っています。
それが5日間で4500人。4500人7年会っているので31500人。誤差を含めてもきっと3万人以上の生徒と楽器置き場で会っています。
前置きが長くなりましたが、これまでに3万人以上の生徒と関わってきた経験を基に、「コンクール当日、知っておきたい会場でのこと」と題しまして、コンクールの裏側について詳しくご紹介します。



1. 当日のタイムテーブル、誰まで把握していますか?

当日のタイムテーブルを把握していない生徒、保護者の方は意外といらっしゃいます。顧問の先生はもちろん把握しているかとは思いますが、時間を見つけて当日のタイムテーブルの読み合わせをしておいてください。
保護者の方にも事前に大まかな流れだけでも伝わっていると当日スムーズです。タイムテーブルが全員に伝わっていないと、当日せっかくお子さんの演奏を聴きに来たのに、会場とは違うホールに行ってしまい聴けなかった、ということもよくあります。



2. 会場に着いたら、出演者受付をまずはしましょう

ホールに着いたら何はともあれ、まずは出演者受付を済ませてください。出演者受付では受付時間までに各学校が来ているかどうかのチェックや、セッティング表の提出などがあり、ここをすっ飛ばして行動していると、全体の進行に関わります。
顧問の先生の手が空いていなければ他の人でも構いません。受付で受け取ったセッティング表はステージ係の手に渡り、その場でその後の進行について考えているんですよ。



3.チケット代、プログラム代を払ってプログラムを受け取りましょう

事前にお渡ししているチケットの代金と、予約しているプログラムの受け渡し等が当日あります。
顧問の先生、または保護者の方で忘れずに手続きをしてください。忘れているとコンクール会場で呼び出されます。



4. トラックは時間通り到着しそうですか?

当日の道路事情等もあり、予定時間までに楽器を積んだトラックが到着しない場合があります。そんなときは進行順が変わったり、まるごと別の団体から借りたり共有楽器でなんとかしたり、大変なことになります。何かあった場合に備えて、トラックの現在位置は常に把握していていただけると、運営側はとっても助かります。
たまにトラックが来ないうえ、それを誰も把握しておらず途方に暮れている打楽器の生徒がいます。かわいそうです。



5. チューニング室に行く準備は計画的に

タイムテーブルには「チューニング時間」の記載がありますよね。ただ、「何時から準備するか」までは書いてありません。慣れている学校は、チューニング時間の直前にスマートに準備を始めて、サッと移動してくださるのですが、学校によってはチューニング時間の1時間ほど前から楽器を出し始める学校もあります。楽器置き場は学校毎に置き場が決まっているわけではなく流動的なものですので、多数の学校が入れ替わり立ち替わり利用しており、早めに準備をしても待機しておくスペースがありません。できるだけ直前まで他校の演奏を聴くなどしていましょう。
また、先頭の人が進路を間違えてチューニングルームにたどり着かないことがよくあります。楽器置き場からチューニングルームまでの誘導は基本的にはありませんので、事前に経路の確認をお願いします。



6. 楽器ケースや荷物はなるべくコンパクトに

楽器置き場は狭いので、他校と隣り合うことも多いです。限られたスペースを共用するので、楽器ケースを出しっぱなし荷物も散らかし放題にならないよう、なるべくスマートに利用しましょう
演奏以外の面も運営係は見ていて(あの学校は演奏以外も素晴らしい!)と話題にのぼることはよくあることです。当日だけしっかりしようとしても、なかなかうまくはいかないもの。普段の行ないがここでバレます。「これは素晴らしい!」と以前思わず撮ってしまうほど美しく限られたスペースを活用してくださったケースを載せます。


楽器ケースや荷物はなるべくコンパクトに


7. 忘れ物はないですか?

本番に必要なものは何でしょうか? 楽器、楽譜、ミュート、ストラップ、リード、スタンド……いろいろありますよね。あ、出演者証も忘れずにお持ちくださいね!



8. メンバーは全員そろっているか必ず確認しましょう

「そろっているに決まってるじゃない」と思うかもしれません。でもね、あるあるなんですよ。トイレから帰って来ていない人がいるのにチューニングルームへ向かってしまったり、集合時間になっても来ない人がいたり。必ずパートで点呼しましょうね。一人でもいないと演奏が成り立ちませんから。



9. 楽器置き場に保護者や生徒の見張りは必要ありません

昨今は物騒な世の中になりました。その心配からか楽器置き場に見張り番を用意する学校がありますが、会場係も目を光らせていますし、警備員も巡回しているので、必要ありません。
何より見張り番を任されているのは大抵吹奏楽部の1年生であったり、聴きに来ている保護者の方が多いです。1年生はコンクールに参加しないとは言え、せっかくの機会です。先輩たちの演奏を会場で聴き(来年はあのステージで演奏するんだ!)とワクワクしてほしいし、(先輩たちかっこいい!!)と思ってほしいです。保護者の方もせっかく子どもの演奏を聴きにきたんです。ぜひ会場でお子さんたちの日頃の成果を聴いてあげてください。
家で見るお子さんとはまったく違った、凛々しいお子さんを会場で目の当たりにするはずです。



10. 本番の演奏後のマナー

日頃の成果を出し尽くす本番。演奏が終われば誰だってホッとしますよね。でもまだまだやることはあります。
まずは写真撮影です。所定の位置まで行くとプロのカメラマンがみなさんを待ち受けていますので速やかに移動しましょう。この際、別行動になる打楽器の生徒にも流れを伝えておいてください。迷子になる打楽器の生徒は毎年多いです。
このとき、演奏が終わった後の子供たちの姿を一目見ようと、ご両親から祖父母の皆さん、その学校の卒業生、講師陣、はたまた近所のおじさんおばさんまで我先に写真撮影現場に駆けつけます。現場には「カメラや携帯電話による写真撮影はご遠慮ください」と書いてあります。なぜかと言うと、プロのカメラマンがメンバーの集合写真とパート写真を撮ったものが、大体夏休み明けくらいに学校に届き、気に入ったものを選んで買う。こういう仕組みになっています。
そこを張り紙があるにも関わらずお構いなしにカメラやスマホでバシャバシャ写真を撮ってしまう方がとっても多いです。お子さんたちと一緒に写真を撮りたい気持ちはよくわかります。ですが、画面越しやファインダー越しではなく、ぜひ本番後の生徒の顔を見てあげてください。晴れやかな顔、凛々しい顔、泣きじゃくる顔、うれしそうな顔、悔しい顔を見てください。めちゃめちゃキラキラしていますよ。演奏も大切ですが、今この瞬間しか見れない子供たちの顔をぜひ、その目で見てほしいのです。



11. 全体の進行を優先してください

本番後に各団体の関係者が集まると、その後の進行そっちのけで我が子の写真撮影大会がはじまります。これが楽器置き場でも頻繁に起きるので非常に問題になっています。なにせ楽器置き場にはこれから演奏に向かう団体もいる、自分たちより後ろの団体が演奏を終えて帰ってくるなど、常にたくさんの人が行き交っているんです。
どのくらい混雑しているかというと、ある日の楽器置き場はこんな感じでした。


全体の進行を優先してください

そんな中で、通路の真ん中で写真を撮り始める、通れなくて困っている人に気付かない、注意してもやめない、その後の片付けに支障が出る……などなど毎年いろんなことが発生しています。できるだけご協力いただき、速やかに片付けていただけますとありがたいです。



12. 忘れ物はありませんか?

本番が終わって写真撮影も終わってあとは結果発表を待つばかり。そこで確認をしてほしいのが「忘れ物」です。毎年コンクールが終わると盛大な忘れ物見本市が開かれます。
メトロノーム、チューナー、楽譜、楽器のスタンド、マレットセット、プログラム、水筒、傘、ICカード、財布、トランペットの3番管……。3番管の忘れ物は実話です。夏休み明けて楽器ケースを開けて「さあ、吹くぞ!」って時にもし3番管がなかったら……。ゾッとしますよね。果たしてその後持ち主のところに戻ったのでしょうか。



おわりに

コンクール本番・会場について知っておいてほしいこと、いかがでしたでしょうか?
吹奏楽コンクールというと演奏にばかり目がいきがちですが、スケジュールが予定通り進行するためには裏でとてもたくさんの人たちの頑張りがあります。みなさんも当日は滞りなく進行できるよう、せめてご自分の学校のスケジュールには目をお通していただいて、できる限り協力していただければと思います。
吹奏楽コンクールは、良い演奏をすればそれでいい! 金賞取れればOK!というわけでなく、マナーを知ることや人と協力することなど、心の成長も臨める素敵な機会です。演奏以外のこともスマートにこなしていただき、みんなで吹奏楽コンクールを盛り上げていきましょう。

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