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ランクアップ講座 -フルート&ピッコロ-

Navigator:横川由布子 / 万谷正伸

万谷 正伸  M a s a n o b u  M a n t a n i

万谷正伸
1970年大阪音楽大学付属音楽高等学校に入学。1977年大阪音楽大学卒業。その年、東京文化会館にて読売新人演奏会に出演。NHK洋楽オーディションに合格。NHK-FM午後のリサイタルに出演、その後リサイタル。在学中よりアンサンブル・レネットに所属、全国を行脚して子ども達と音楽でふれあう。その後遺症でキャンピングカーにて全国を放浪して刺激を求めている。大阪市音楽団 Shion snsに投稿して頂ければお会い出来るかも!1980年から大阪市音楽団に、現在オオサカ シオン ウインド オーケストラ。フルート奏者や学校指導に現役続行中。

初めて楽器に触れる人に覚えてほしいこと3つ

①楽器は調整のされている良品のこと。

調整された良い楽器と言っても、初めてフルートを手にされた方は判断に困るでしょう。できれば上手な方や先生に選定をしていただくことをお薦めします。特に学校クラブの古い楽器は要注意です。壊れた楽器と知らず一生懸命練習しても上手になりません。間違った癖が身に付くこともあります。

②楽器の接続をいつも同じ状態にする。

接続の位置はメーカーや本人により個人差はあると思います。イラスト(図①)にて平均的な位置を記していますが、極端な内向きや外向きは止めたほうが良いです。

【図①】水色の塗りつぶしの範囲内で調整

◆ポイント1◆

位置が決まれば目印を付けることをお薦めします。ホワイトボンドかマニキュアで大丈夫。それは毎回位置が変わることがないからです。変わると毎日が一からのスタートになります。そのうち位置がずれたら見なくても気付くようになります。それだけ楽器が身体の一部となります。

もう一つ大切なことがあります。チューニング時の頭部管の抜き状態です。初心者でチューニング時、音程が合わないと1㎝以上も抜いている人を多く見受けます。楽器はメーカー設計上の位置で練習するほうが音程、音色のバランスが良いのです。

◆ポイント2◆

フルート歌口から全長、最低音C(ド)を仮に100㎝とします。中音Cを中間距離なので50㎝とします。ここで1㎝抜くと、もうお分かりと思いますが歪みが生じます。1/50のほうが狂いやすいのです。これを+0の位置にすることで最適なバランスになります。ですから極端な抜きすぎや入れすぎは良くないのです。

③姿勢、構えに注意することフルートは横笛です。

他の楽器は正面に構えますが、フルートは右に構えるので無理な姿勢になりやすいです。体を譜面台に正面にして座り構えると楽譜が見えません。一度キィを押さえて縦に右胸の前に構えます。そしてリッププレートを頬っぺたに持っていき楽器を水平にします。そこに唇を持っていきましょう。顔は体より左に向くことになります。それで譜面を見ると体は譜面台より30度ほど右に向くことになります。腰をねじらない。図②を参考にしてください。

【図②】

音を出してみよう!

さて音出しですが、頭部管だけで鳴らすほうが容易です。左手でマウスピース(リッププレート)より上を持ち(図③)右手でジョイント部を手の平でふさぎます。これが一番簡単でしょう(ペットボトルを鳴らすのと同じ状態です)。この状態で3つの音(倍音)が出ます。すぐに鳴ったら、あなたは「才能あり」です。一つなら「凡人」かも。次に手の平をオープンにしてトライしてください。

【図③】

◆ポイント3◆

唇の状態ですが、珈琲ショップに行ってカフェラテ(泡のあるもの)を注文してください。泡に小さな穴ができるように息を吹きかけてみます。強すぎるとぶっ飛びますよ! そっとです。その唇が理想的です。そのまま、そっとマウスピースにのせて吹いてみましょう。 初めて楽器を組み立てて音出しする方は、G(ソ)、A(ラ)、H(シ)が容易でしょう。次に中音のD(レ)、E(ミ)、F(ファ)、G(ソ)にトライしましょう。

一応、音階は鳴るようになった方に。D(レ)、E(ミ)、F(ファ)の運指で倍音のA(ラ)、H(シ)、C(ド)(譜例①)を鳴らしてみましょう。声で裏声を出す感じです。唇を細めに息のスピードを上げます。その時に出た音が、あなたの楽器の音程に近いのです。その音を覚えて、本当の運指でA(ラ)、H(シ)、C(ド)を吹いてみましょう。その時に音程が上ずり音色がバサバサならば吹きすぎです。逆に下がり暗い音色ならば吹き足りない可能性があります。

【譜例①】

◆ポイント4◆

フルートは歌口から距離の遠いD(レ)、E(ミ)、F(ファ)のほうが音程が安定しますが(これらの音は右手のキィを閉じるため)、逆に音色が落ちる傾向があります。A(ラ)、H(シ)、C(ド)は上手な人なら最良の音が出ますが、音色や音程が不安定になりやすいです。その特性を利用して倍音で比較してみましょう。チューナーは振動数を計りますが、音色は評価しません。

練習方法は、ソノリテに尽きるでしょう。楽譜を持っていなくても学校で練習されていると思います。しかし、ただ義務的に練習する方を多く見受けます。これは歌口に近い音から遠い足部管(鳴りにくい方向)へ練習するものです。音量ではなく響きを大切に練習しましょう。決して無理に鳴らすのではなく、楽器に教えていただくと謙虚に思ってください。そのために最初に述べた、良く調整された楽器が必要なのです。


※こちらの記事は、Wind-i vol.5を一部抜粋し掲載しています。

 CONTENTS

◆1ページ:ピッコロ  横山 由布子
◆2ページ: フルート 万谷 正伸

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