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ランクアップ講座 -オーボエ-

Navigator:福田 淳

福田 淳 K i y o s h i F u k u d a

福田淳
中学時代より器楽部(オーケストラ)でオーボエを始め、岡山県作陽高等学校音楽科を経て京都市立藝術大学卒業、同大大学院修了。第14回山陽学生音楽コンクール高校生の部3位、第15・16回同コンクール1位。高校卒業に際し、日本私立中学高等学校連合会会長賞受賞。第4回日本管打楽器コンクール3位入賞。第1回淡路島国際室内楽コンクール優秀賞受賞。 学生時代より1992年まで大阪シンフォニカー(現・大阪交響楽団)首席オーボエ奏者。1992年より大阪市音楽団団員。2013年より同団コンサートマスター。

初めて楽器に触れる人に覚えてほしいこと3つ

①まず覚えておいてほしいことは、「オーボエはとても繊細でデリケートな楽器である」ということです。細いボディにポスト(キィを支える支柱)がたくさんあるので、急激な気候変動(温度・湿度の変化)があると管体が割れてしまいます。ですから、冬場は楽器を手(体温)で暖めてから吹くようにしますし、夏場は外で吹いていたら急に冷房の効いた部屋に入らない、エアコンの風に直接触れない(風を避けるか、楽器を布でくるむ)ようにします。エアコンの風は季節を問わず、楽器に直接触れないように気をつけます。乾燥して割れる場合があるからです。

②オーボエは3つの部分に分解できますが、楽器を組み立てるときに「ジョイント部分にある連結キィ」を曲げてしまわないように気をつけます。キィ自体は意外と軟らかいので、キィが引っ掛かっているのに気づかずに楽器を組み立ててしまうと、キィを曲げてしまうことになります。また、楽器を組み立てるときに楽器を強く握って組み立てることも、キィが曲がってしまう原因になるので、それにも気をつけます。

③オーボエは音を出す部分であるリードもとても繊細です。小さい上に先端はとても薄いので、リードに髪の毛が触れたり服に擦れたりしただけでも、すぐに割れたり欠けたりしますので細心の注意が必要です。また、リードの開き具合を調整するために、指でリードを押さえたりしますが、丁寧にしないとリードを割ってしまうので気をつけましょう。リードがズレてしまった場合には、プラーク(※1)をリードの間に挟んでズレを修正します(口に入れる部分なので、手はいつも清潔にしておきましょうね)。


音を出してみよう!

①まずはリードのくわえ方ですが、難しく考えずに「リードを自ら唇で巻き取る」ような感じでくわえます。閉じた口にリードを押し込んだ場合は、指でリードを持っておかなければリードに息を入れたときに「プッ」とリードが飛び出してしまいますが、「自ら唇で巻き取った」場合、リードは唇で保持されたままなので、飛び出しません(唇で巻き取ったときの状態は、鏡で見ると唇の赤い部分が見えないぐらいの感じです)。リードを指で持たずに、そのままで「ピーッ」と音が出せるといいです。

②音の出し方についてですが、最初は楽器を持たずに息を吸って「喉も口も閉じずに」そのままゆっくりと吐き出してみてください。吸った息を、口をすぼめて「ふぅー」と持続して出す感じです。違和感はありませんでしたよね。

その次に、同じ息の吸い方をして「はぁー(Ha-)」と声を出します。この時、息は一気に出すのではなく、ソフトに出して「はぁー(Ha-)」と持続した声を出します(そのときも、吸ったあとに喉も口も閉じずにその息を出してください)。こちらも、違和感はありませんでしたか?

そして、リードをくわえて同様の息の出し方をしてリードに息を入れてみてください。音が出ないときは「頑張って」音を出してみてください(音を出すレベルの支えや息が伴っていない場合には、音が出ないのです。どれくらい必要かがわかると思います)。それを確認してから、再びリードに息を入れて吹いてみてください。吸った息は、喉でも口でも塞がずにそのまま出します(音が出るための条件がそろったら、音は出そうとしなくても出ます)。うまくいきましたか? 違和感は? 大切なのは、「息だけ(声だけ)出したときと同じ感覚であること」です(簡単にいえば、気分が同じであるということです)。

③それができたらリードを楽器につけ、同様に息を入れて音を出してみてください。ここで大事なのは“音を「出す」のではなく、音が「出る」という状態”でなければならないということです。“支えられた息100%で音を出す(音が出る)”ことが、声を出すときと同じであるということです。

感覚を掴む(実感・体感する)までは難しいかもしれませんが、これが解れば音を出すことが自在になりますので、是非トライしてみてくださいね。



※こちらの記事は、Wind-i vol.5を一部抜粋し掲載しています。

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